司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

取締役会設置会社の定めの廃止後の取締役の地位

2023-07-07 11:14:18 | 商業法人登記

先日、取締役会設置会社の定めの廃止の登記手続きを行った会社がありましたが、廃止した後の取締役会非設置会社の取締役の地位について、改めて整理しておきたいと思います。廃止後は「取締役は3人以上置かなくてはならいない」という縛りはなくなるので、何人置いても自由になります。廃止して取締役会非設置会社になると、取締役が各自会社を代表することが原則となり、全員が代表取締役になるわけです。その中で敢えて、代表者であるものとそうでない者を区別する場合には、取締役会設置会社の廃止の決議とともに、代表取締役の選定方法を変更した上で、改めて代表取締役改選の決議が必要になります。そのケースの方が多いと思うのですが、今回の取り扱ったケースは、代表取締役が2名、取締役1名の取締役会設置会社が、取締役1名が辞任し、取締役会設置会社の定めを廃止しました。元々の代表取締役2名が引き続き代表者になるので、代表取締役の選定方法の定めを廃止し、新たに「取締役が2名以上ある場合には、各自がそれぞれ会社を代表する。」の条文を新たに設けました(この条文は入れる必要はないかもしれませんが、一応念のため)。

会社法が改正された当初は頭に入っていましたが、月日が経ち久しぶりに取り扱うと混乱してしまうこともありますので、備忘録として残しておきます。


利益相反議事録に署名した者の住所が登記簿上と違うとき

2023-07-06 11:13:03 | 不動産登記

最近不動産の売買で、利益相反に該当するケースが続きました。その中で代表取締役個人の所有する不動産を会社に売却するものがあり、その行為は利益相反に該当するため、第三者の承諾を証する情報が必要になります。登記簿上の代表取締役の住所が、現在の印鑑証明書の住所と一致していなかったため、先に会社の代表取締役の住所変更登記が必要?確かずっと以前に同じようなケースを取り扱った時、住民票を添付すればよかったと記憶していましたが、曖昧だったため、再度調べてみました。

登記研究531号に「有限会社の社員総会の議事録に添付する印鑑証明書の住所又は氏名と、有限会社の商業登記簿謄本の記載が一致しない場合、当該議事録に変更証明書を添付すれば、当該不動産登記の前提として、商業登記の変更の登記は要しない。」とありました。これは有限会社のケースですが、株式会社も同様です。そういうわけで、当該代表取締役の住所の変遷がわかる住民票を添付して登記手続きが完了しました。とりあえず備忘録として残しておきます。