司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

登記原因「年月日不詳弁済」

2021-12-20 10:14:12 | 不動産登記

先日、金融機関から「既に完済し債権はないが、弁済日がわからない」という抵当権抹消登記の依頼がありました。登記簿によると昭和49年に抵当権設定登記をしているのですが、その金融機関では昭和57年以前のものはデータに残っていないようで、当時債務者だった所有者も亡くなっていて相続が発生していたので、誰も全くわからない状況でした。

そこで「「弁済」を登記原因とする抵当権抹消登記手続きを行う際、完済年月日が確認できない場合には、申請書の登記原因に「年月日不詳弁済」と記載する(登記研究567号166頁)」という先例を思い出し、それで手続きをすることにしました。

登記原因証明情報は解除証書とし、他にして「既に完済し債権はないが、弁済日が明らかでない」旨の上申書を提出し手続きをしたところ、無事登記は完了しました。


株主総会議事録の就任承諾援用

2021-12-10 13:20:57 | 商業法人登記

会社の取締役の就任登記の際には株主総会議事録の記載を援用できるケースがあるので、その場合には別途就任承諾書の添付は不要となります。

その「株主総会議事録の記載を援用できるケース」ですが、①被選任者が株主総会に出席し、②席上就任を承諾する旨を述べたこと の2点が議事録の記載から明らかであることが必要です。

今回は臨時株主総会で取締役を1名増員するケースがありました。

株主総会開催日は令和3年11月24日ですが、令和3年12月1日から就任するというものです。これを就任承諾書を添付するのではなく、議事録の記載を援用していきたいと思います。

まず「就任の時点を明確」にする必要があります。

そのため議事録に「令和3年12月1日から就任」する旨を記載します。

次に「株主総会に出席した取締役」に該当しなければなりません。

それを議事録上どのように表現するのか。

議事録冒頭の「出席した取締役の氏名」に記載するか、出席した取締役として記名押印することになります(もちろん両方あってもいいと思います)。

私の方で議事録作成をする場合でこのように新任取締役が就任した時には、議事録冒頭の「出席した取締役の氏名」の方は記載せず、出席した取締役として記名押印していただいているのですが、今回もそのようにしましたが、補正もなく無事登記は完了しました。

議事録の就任承諾援用は何でもないことのようで、結構迷うことがあるように思います。

就任承諾書があれば何も悩むことはないですが。