司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

建物表題登記と抵当権設定契約の日付

2020-08-28 16:13:49 | 不動産登記

建物表題登記完了前に既に(根)抵当権設定契約を締結しているのは問題ないのか、というケースにあたり調べてみたところ、「登記簿に記載された建築年月日以前の日付で締結された抵当権設定契約の場合には、登記簿上の建築年月日以前に建物が完成している場合もあり得るので、便宜当該契約を登記原因証明情報とする抵当権設定の登記は申請することができる(昭和39年4月6日民甲1291号回答)」という先例があったので、問題ないと確認。

今回のケースは、①令和1年12月25日(根抵当権追加設定契約締結)②令和1年12月15日新築 ③令和2年1月17日表題登記 でした。表題登記が遅くなっただけで、実際の建物は契約日以前に存在していましたから問題ないですね。

ちなみに将来建築する建物を目的とする抵当権設定契約をした場合には、目的物が存在しないので物件契約としては成立せず、抵当権設定の登記をすることはできない(昭和37年12月28日民甲3727回答)。


根抵当権の債権の範囲の変更

2020-08-27 11:12:30 | 不動産登記

令和1年7月16日、地元の静岡信用金庫と焼津信用金庫が合併し、しずおか焼津信用金庫が誕生しました。

静岡信用金庫と焼津信用金庫どちらとも取引のあった人または会社は多いかと思います。

そのどちらとも取引があったケースで、焼津信用金庫を根抵当権者とする担保があり、債権の範囲の中に静岡信用金庫と取引していた分も含めたいという案件がありました。

合併前の静岡信用金庫との取引に関しては根抵当権で担保されませんので、債権の範囲に追加する変更登記が必要になります。

そこで、それをどのように記載すればいいのかが問題になります(焼津信用金庫が被合併法人で静岡信用金庫が合併法人)。

色々考え法務局に問い合わせてみたところ、「令和1年7月16日合併前の静岡信用金庫が取得した債権」と記載するという回答でした。

今後、このようなケースも増えそうです。

 

 


選任懈怠

2020-08-26 11:26:29 | 商業法人登記

あ~、またありました!

役員変更登記をほったらかしてしまっているケースが・・・。

とある仕事でご一緒させていただいた会社ですが、会社の登記簿を確認してみたところ、会社設立以降10年以上経過していますが、役員変更登記をしていないことを発見したので、それを指摘させていただいたところ、会社設立登記をお願いした司法書士は既に亡くなっていて、それ以降特定の司法書士とのお付き合いはないとのことでしたので、私の方で手続きをさせていただきました。

一人代表取締役の一人株主という会社という会社でしたので、役員の任期など気にしたことがなかったと思います。それでも、法律上は変更があった時から2週間以内に登記手続きをしなければならないという規定がありますからね。1年ちょっとブランクが開いてしまったでしょうか。過料の対象ですから、あとは裁判所の判断です。

今回は、登記懈怠ではなく典型的な選任懈怠でした。

退任を証する書面の議事録には、「取締役(全員)が〇年〇月〇日終了の事業年度にかかる定時株主総会の開催されるべき満了日〇年〇月〇日をもって任期満了退任したので・・・・」という記載を忘れずに。。

 


ボロボロの権利証

2020-08-25 11:26:29 | 不動産登記

以前登記済証を添付する案件で、所有者の権利証はあるものの、誤って(?!)洗濯機の中に入れて洗ってしまい、ボロボロになっている状態というものがありました。

法務局の受付印と受付番号ははっきり残っていましたが、物件の記載や割り印があるところは無くなっている状態でした。受付番号がわかれば権利証として使えるのかな?念のため、法務局に確認したところ、「受付番号だけではなく、物件に記載や割り印もないと権利証として使えない」という回答だったので、本人確認情報を作成することになってしまいました。

ちなみにその場合、登記済証を添付できない理由は「紛失」。

滅失だと思ったら補正になってしまいました。。


固定資産評価通知書

2020-08-24 10:22:20 | 登録免許税

司法書士が土地建物の所有権移転登記手続きをする場合、登録免許税を計算するにあたり、その根拠である固定資産の評価額を確認するのに市町村役場で固定資産評価通知書(証明書)を取得する必要があります。

私の近隣の役場では、司法書士が登記用の固定資産評価通知書を取得する場合は、申請書に職印を押せば出してもらえるので面倒ではないのですが、中には、法務局で固定資産評価証明交付依頼書を提出してから役場で発行してもらうというちょっと手間のかかることをする必要があるところもあり、役場によってケースバイケースです。

先日、某県のとある役場で登記用の評価通知書を取得する必要があり、そこに問い合わせたところ、専用の用紙をFAXしてくれて、そこに必要事項を記載して取得したケースもありました。しかも司法書士の身分証明書の写しを添付してもしなくてもいいようで(私は一応同封しましたが)、なんだか緩々な感じで逆にこちらが心配になるくらいでした。

それからこの暑さで頭がぼーっとしていたのか、静岡の本局では不動産登記は葵区駿河区だけの管轄なのに、清水区の物件の固定資産評価証明交付依頼書を本局で交付してもらえると勘違いしていました。それも不動産の管轄法務局でないとダメした。。たまに扱うケースだと本当にうっかりしてしまうことが多く気を付けないとですね。