司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

40年前の書類を使って相続登記

2022-03-07 10:36:15 | 不動産登記

「昔相続登記をしたが、一部相続をしていない不動産を発見したのでその手続きのお願いをしたい」という依頼はたまにあることだと思います。

今回もそのような依頼で、相続をしていなかった不動産とは、数年前に何かの手続きの際に測量士に指摘を受けて初めて気が付いたとのこと。その不動産は本人の居住している場所とは少し離れたところにあり、現況道路で(台帳も公衆用道路)市役所の課税も非課税になっているため、本人は所有している認識はなく、指摘を受けて初めて気が付いたようです。後から一部相続登記の漏れがあったというのは、このように役所で非課税扱いになっている不動産のケースが多いように思います。

相続人の調査をしたところ、比較的若くして他界した人も何人かおり、2次、3次の数次相続が発生しているところもありました。元々の相続関係も複雑で、会ったことのない知らない相続人も何人かいる状態でした。そこで、昔相続登記を行った際の書類を探していただきました。数年前の登記であれば残っているケースが多いと思いますが、このケースは被相続人が死亡したのは昭和45年だったので、残っているかわかりません。正直あまり期待はしていなかったのですが、比較的奇麗で、内容も判別できる状態で残っていたので、それを使って登記申請をしたところ無事登記は完了し、ホッとしたところです。

ちなみに遺産分割協議ではなく、特別受益証明書を使って登記をしていました(昔はこのように手続きをすることも多くあったようですね)。特別受益の証明書の記載日は、昭和57年から58年の間だったので、相続開始から12年近く経過してから登記手続きをしたようです。

たとえ大昔の相続書類でも無効になることはなく、内容が判別できる限り登記手続きに使用は可能です。今回は登記原因証明情報として、当時相続登記の手続きを行った司法書士の相続関係説明図を使用、相続する人の戸籍謄本及び住民票のみ最新のものを使用、特別受益証明書及び印鑑証明書、その他戸籍謄本は当時のものを全て使用しました。