浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

米国には安全な食品を選ぶ自由も安全な薬を選ぶ自由もない

2014-09-01 00:44:22 | 資料

◆種子法違反

米国ペンシルバニア州の小さな町の小さな種子ライブラリーが種子法違反のアグリ・テロリズムとして閉鎖された。

このライブラリーは地域の伝統種子を地域の人びとに貸し出すもの。しかし、これが「アグリ・テロリズム」だというのだ。種子法では政府に登録された種子以外は販売してはならないとなっているが、これは販売ではない。こうしたライブラリーが大きくなればアグリ・テロリズムが現実となるというのがその閉鎖の根拠だが、実際、食べたら腫瘍ができる種子を販売しているモンサントなどの企業の存在こそがアグリ・テロリズムそのものであり、長年、この種子ライブラリーの種子を守る活動はそれへの当然の防衛行動だろう。

生命の支配を当然視するバイオテク企業からすれば、生命がわかちあわれる事態は企業へのテロに見えるのだろうが、それは長年人類が享受してきた自然な営みであり、それをテロ行為とすることは人類への挑戦以外の何ものでもない。

しかし、こうした行為すらテロリズムとして米国で攻撃されていることには十分注意が必要だろう。つまり、自由貿易交渉を通じて、この行為が世界に押しつけられる危険が高いからだ。

'Agri-Terrorism'? Town's Seed Library Shut Down
http://www.commondreams.org/news/2014/08/04/agri-terrorism-towns-seed-library-shut-down

◆米国には安全な食品を選ぶ自由も安全な薬を選ぶ自由もない。

元モンサント幹部だった連中が米国食品医薬品局(FDA)を運営している。
FDAは、公式記録された発表で、アメリカ国民には「自らの身体の健康に対する基本的権利」は無く、「希望する食品を入手するという基本的権利は無い」と述べた政府機関である。

アメリカでは食肉の供給は四つの巨大企業が独占していて食料と医薬品の安全を管理する政府組織FDA(食品医薬品局)の役員も食品会社や製薬会社の重役が兼任していることが多い。

中小規模の食肉加工業者は、食品安全を擬装して採用されたビル・クリントンのHACCP計画( Hazard Analysis Critical Control Point)〔原材料の仕入れから、調理、保管、出荷までの食品製造工程全般において、いくつかの重要管理点を設定し、病原菌や異物の混入などの危険を発見・分析・記録していく食品衛生管理システム〕によって滅びた。だが、それで食肉が安全になったわけではない。食肉加工業者の数が減った(独占が進んだ)だけである。


モンサントの影響は、保健社会福祉省(DHS)、労働安全衛生監理局(OSHA)、環境保護局(EPA)や他の政府機関をも動かしている。

2013年3月に成立したモンサント保護法には“裁判所が、モンサントの遺伝子組み換え種子の販売を差し止めることを禁止する”条項がある。

“モンサントのGM種子は環境に有害だ。例えば、科学者達は、それが世界中の蜂の蜂群崩壊症候群の要因となっていることを示している。”

★食品安全近代化法

この「食品安全近代化法」は米国の歴史上で最も危険な法案と言われている。この食品「安全」法の制定の背後には、モンサントがいることを忘れてはいけない。

国民が自分で野菜を栽培することを禁止。
生鮮野菜直売所は禁止・種苗を持つこともできない。
政府が認めた種苗だけ公認機関から買うこととなっている。
違反すれば逮捕・投獄される。

アメリカ自家菜園禁止法(510法案)

・小規模・兼業農家経営や家庭菜園が違法となった。
・自給自足と種苗の保存・使用が“犯罪”として取り締まり対象となる。
・食糧生産者に農薬の使用が強制される。

もし、あなたがテラスで家庭菜園の鉢を所有していたら、恐らく隣人によって密告、通報されてしまうだろう。
米国は911直後に成立した愛国者法によって「隣人監視」と密告が奨励されている。
テロ防止の名目で、今や密告奨励社会に変容したアメリカ社会。

510法案により、自然の正常な食品は、犯罪になる。
すでに現在でも、自然食品の生産者や流通業者に食品の強制捜査が入っている。

510法案の追跡可能性(生産履歴管理)義務では、ナノ・トレーサーなどの技術(機器)を食品に組み込み、人間の胃の中の食品の生産履歴が追跡できる状態にすることが示唆されている。この暗黒のシナリオがすぐさま実行されることはないとしても、食品追跡義務に必要な書類作成の負担によって中規模の生産者や流通業者は壊滅的になるだろう。

★大々的に喧伝されている「適用除外」は、510法案が持つ以下のような数多くの深刻な問題から目を逸らすものである。

・本当の問題は、中央集約、工業化された食品供給体制にある。
・国際条約、貿易協定が、各国の国内法よりも優先されることになっている。
・食品の生産・流通がなされる文化的に適切な法的基盤を州が決定する権限を奪うものである。
・食品規制の執行権限をFDAから国土安全保障省に移すことになる。
・FDAの権限を大幅に増強することになる。

FDAと510法案のような法律は、食品を「管理・支配」するためにあるのであって、「安全」のためにあるのではない。
もし安全のためならば、家畜の集中給餌操業を禁止する法律が制定されるはずであり、抗生物質の無差別な使用が禁止されるはずであり、農薬やBPAが禁止されるはずである。だが、そうなっていないのは、FDAがもはや食品安全のための組織ではなくなっているからである。

◆アメリカの女子高生に巨乳が多いのは病気か?

 

リンゼイ・ローハンはご覧の通り、17歳にしてはあまりに巨乳なので、豊胸疑惑が起こった。
「フォーチュン・クッキー」「ミーン・ガール」で人気のティーン・アイドルだ。
結局、「天然よ!」ということで決着がついたが、最近はブリットニー・スピアーズやジェニファー・ラブ・ヒューイットなど巨乳ティーン・アイドルが多い。
いや、そこらを歩いているアメリカの女子高生も、やたらと巨乳になっているのだ。
もうホルスタインみたいなのがゾロゾロいる。

この背後には二つの原因があるという。
一つはアメリカでは日常茶飯事のように行われているホルモン投与。
ちょっと背が低いと親が医者に相談して成長ホルモンをもらって子供をバスケット選手のようにしてしまう。
このようなホルモンによって巨乳になったという説がある。

もう一つは牛乳である。

 アメリカではここ十年近く、牛乳業者によるGot Milk(牛乳飲んだ)? という大々的なキャンペーン広告が続いている。
 ブリットニーなどアイドルが次々に起用して莫大な金額を投じたこのキャンペーンは大成功して、子供たちはものすごく牛乳を飲むようになった。それが最近のアメリカのティーンの乳房がやたらと巨大化した理由だと言われている。
 牛乳飲めばおっぱい大きくなるの?
 実は、そんな簡単な話ではないらしい。

アメリカでは全乳牛の32パーセントにrBST(牛ソマトトロピン)が投与されている。
rBSTは、牛が乳を分泌するときに出す成長ホルモンから人工的に分離した遺伝子で作られた成長ホルモンで、牛に注射すると、乳を出す量が4割も増える。
アメリカでの牛乳の生産者価格はここ何年も上がっていないので、酪農家はrBSTによって一頭あたりから取れる牛乳の量を多くしないと暮らしていけない。
このrBSTを「ポジラック」という商品名で販売しているのが、農業とバイオテクノロジーの多国籍企業モンサントである。

ところがこのホルモンを投与された牛の乳を成長期の少女が飲み続けると、その乳房も成長が促進されるという説がある。
少女たちは実際にホルスタイン化されていたことになる。
http://www.freerepublic.com/forum/a393eaa6a4734.htm
しかし、ホルモン牛乳は女性の乳ガンを誘発するという説もある。

1997年、アメリカのFOXチャンネルのニュース取材班は、 モンサントのポジラックや、遺伝子組み換え野菜の危険性を告発する番組を制作した。
ホルモンのせいで奇形的なまでに巨大化した乳房をズルズル引きずりながら歩く牛や、
遺伝子組み換え野菜を食べた昆虫が死ぬ映像を集めた取材班は、スクープに興奮しながら放映を待った。
ところが、放送直前にストップがかかった。
FOXが属するメディア・コングロマリットのニューズ・コープ全体がモンサントとその関連会社から莫大な広告収入を得ているからだ。広告を停止されたらニューズ・コープ自体は莫大な損失をこうむるだろう。こうして全米を揺るがすはずだったスクープは企業名を消され、表現を和らげられて放送され、忘れられた。
ここに放送予定だった台本と事件のあらましがある。
http://www.foxbghsuit.com/

それでもホルモン入り牛乳の危険性は、子供を持つ親の間では知られるようになり、最近はホルモンの入ってないオーガニック牛乳を飲ませるようになった(うちもそうです)。
メイン州ポートランドの小さな牛乳会社オークハースト・デイリーは牛乳のパッケージに「ホルモンを使っていません」と書いた。

ところが、これをモンサントが訴えた。

モンサントの「ポジラック」が悪いものであるような印象を与えるから営業妨害だというのだ。
あまりにムチャな訴えだが、業界一巨大なモンサントは、莫大な弁護士費用を投入している。
彼らの要求は「ホルモン非使用」という表示をする場合「ホルモン注射を受けた牛の乳と受けていない牛の乳との間には人体に及ぼす影響の違いは科学的に立証されていません」という但し書きをつけることだ。

アメリカ政府のFDA食品医薬局は「rBSTは人間に一切影響はない」と公式に表明し、その使用を認可している。
しかしカナダやヨーロッパでは禁止されている。

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040619

 現在、種子の製造会社としてはモンサント、デュポン、シンジェンタそしてダウ・ケミカルが世界の市場をほぼ独占しており、遺伝子組換え作物に関する特許もほとんど彼らが押さえてしまっている。

 2007年、モンサントはアメリカ政府と共同でターミネーターと呼ばれる種子の特許を世界的に押えることに成功した。このターミネーターに関する特許を押さえたことでモンサントはかつて人類の歴史上ないことなのだが、一民間企業が農業生産すなわち食物の確保に決定的な支配力を持つことになったと言えるだろう。

◆米国でもやっと始まった「遺伝子組み換え食品」をめぐる戦い

2014年07月23日 新潮社フォーサイト 

 難航している環太平洋経済連携協定(TPP)交渉ですが、参加12カ国がカナダに集まって7月12日まで開いていた主席交渉官会合も、結局、様々な交渉分野で妥結の道筋すら見いだせないまま終わりました。日米間では、その2日後からワシントンで実務者協議を再開したようですが、まだまだ道は険しそうです。

 そのTPPで議論されているテーマの1つとして、遺伝子組み換え食品の表示基準の緩和問題が大いに注目されています。

気づかないまま流通

 そもそも遺伝子組み換え食品の表示の方針は、実は世界各国で大きく異なります。米国食品安全センター(Center for Food Safety: CFS)によると、日本も含め、64カ国が「表示」を義務化しています。ただし、注意しなければならないのは、表示の規制のレベルが異なる点です。

【Genetically Engineered Food Labeling Laws】

例えば、規制の厳しいEUでは、基本原則は、遺伝子組み換え技術を用いている食品はすべて表示の義務があります。表示が免除される偶然の混入率は、0.9%未満と設定されています。

【New Labelling Laws: What Has Changed?,GMO Compass】

 一方日本では、表示義務の対象になるのは、大豆、じゃがいも、なたね、とうもろこし、わた、てんさい、アルファルファ、パパイヤの8種類の農作物と、これらを原料として、加工後も、組み換えられた遺伝子やタンパク質が検出できる33食品などです。

【厚生労働省:遺伝子組換え食品の安全性について(消費者向けパンフレット・平成24年3月改訂)】

 このパンフレットには表示義務についても説明があり、そのまま読めば、あらゆる遺伝子組み換え食品には表示義務があるために、その食品に遺伝子組み換え技術が用いられているかどうか、一目瞭然だと思われがちです。

 しかし、実際には、たとえば豆腐、納豆、みそなどには表示の義務はありますが、しょうゆ、大豆油、異性化糖、コーン油、砂糖(てん菜が主な原材料)などには、表示の義務はありません。なぜなら、組み換えられた遺伝子やタンパク質がその食品を加工する過程で破壊され、検出不能となるためです。

 さらに、加工食品については、表示すべき基準がもっと緩やかです。というのも、1つの加工食品に使われているすべての原材料の総重量に占める割合が多い順から上位3位以内の原材料であり、なおかつ、重量の割合も5%以上のものでなければ、その原材料が「遺伝子組み換え食品」であると表示しなくてもよいことになっています。要するに、多種類の遺伝子組み換え食品を少量ずつ組み合わせて加工したものであれば、それを「遺伝子組み換え食品」と表示しなくてもよいわけです。例えば、冷凍調理食品のコロッケで、全原材料の重量に占めるコーンスターチの割合が多い順から4位以下なら、仮に10%含まれていたとしても、表示不要ということです。つまり、逆に言えば、遺伝子組み換え食品であっても、実際にはそれと表示されないまま消費者が手にしているケースがかなりあると考えてよいわけです。

【消費者庁HPより】

 現在、日本国内では遺伝子組み換え作物の商業栽培は行われていませんが、多くの食品を輸入に依存している日本は、世界一の遺伝子作物輸入国です。このように表示の規制がかなり緩いため、私たちが気づかないうちに遺伝子組み換え食品がたくさん流通しているのです。

科学的な安全性は不明

 一方、遺伝子組み換え食品大国である米国では、スーパーマーケットで売られている加工食品のうち、約70-80%が遺伝子組み換え食品と言われています。特に、豆やトウモロコシを使用した食品の約90%が遺伝子組み換えと言われています。ところが、米国には遺伝子組み換え食品の表示の義務がないため、消費者は自分が本当は何を食べているのかがわかりません。

 こうした現状に米国の消費者もようやく疑問を感じはじめたようで、最近になって、米国では遺伝子組み換え食品の表示に関する議論が白熱しています。

 問題の1つはその「安全性」ですが、実は、肝心のその点については科学者でも意見が分かれています。そもそも、1994年、遺伝子組み換え食品として初めて市場に「日持ちのよいトマト」が導入されてから、まだわずか20年しか経過していません。つまり、長期的な健康に対する影響のデータがまだまだ不足しており、実際のところはいまも不明なのです。

 そしてもう1つの問題は、「種子の独占」です。1990年代半ば以降、5つの多国籍バイオ企業が、種子の独占のために、200以上の企業を買収してきました。その結果、今では、「モンサント」「デュポン」「シンジェンタ」という3社だけで、実に世界の種子市場の約半分を独占しています。特に、遺伝子組み換え作物の種の世界シェア90%をもつ多国籍バイオ企業「モンサント」は、1社だけで世界市場の約4分の1を占めています。種子を独占すれば食の供給までコントロールできてしまうため、この状況は非常に危険だと思います。

【Global seed market dominated by Monsanto,COMPANIES AND MARKETS.COM】

 とはいえ、遺伝子組み換え食品の安全性が不明であっても、少なくとも消費者には「知る権利」があります。「表示」がなかったため、急速遺伝子組み換え食品は急速に普及しましたが、「表示」があれば、遺伝子組み換え食品を消費するかどうかは個人が決定できます。だからこそ、米国ではいま、表示の義務化をめぐって、知る権利を訴える消費者と食品産業やバイオ企業の間で大論争が巻き起こっているのです。

 2013年の米紙『New York Times』の世論調査では、93%の米国人が表示の義務化を支持しています。ところが、消費者の声が高まっても、なかなか表示の義務化の立法化までたどり着いていません。巨大な金属の扉を、米国民が必死になって押しても押しても、まったく動かない状況です。

【Strong Support for Labeling Modified Foods,The New York Times,July. 27,2013】

巨額の「義務化反対」キャンペーン

 実は2012年、カルフォルニア州で、表示の義務化に関して住民投票が行われています。この住民投票の期間中、義務化に反対する食品産業やバイオ企業らと、義務化を支持する消費者たちは、互いにキャンペーン合戦を繰り広げました。ただし、つぎ込まれた費用には大きな差がありました。反対派の筆頭である「モンサント」社は、約800万ドル(約8億円)を支出。他にも「デュポン」「ペプシコ」「クラフト・フーズ」「コカ・コーラ」や他の巨大食品メーカーも協力し、合計で約4600万ドル(約46億円)がキャンペーンに費やされました。それに対して、消費者側の資金は約900万ドル(約9億円)でした。

 さらに2013年には、ワシントン州でも同様の住民投票が行われています。その際も、モンサント社などは、キャンペーンに計約2200万ドル(約22億円)を投じています。それに対して、消費者側の資金は約770万ドル(約7.7億円)でした。

 そして投票の結果は、両州とも同様に、賛成49%に対し反対51%で、表示の義務化の実現には至りませんでした。米国人の9割以上が義務化を支持しているという世論調査がありながら、なぜこういう結果になったのか――。明確な理由は分かりませんが、食品業界の「表示の義務化によって食品の価格が上昇する」というキャンペーン広告の影響も少なからずあったと考えられています。

【California Proposition 37, Mandatory Labeling of Genetically Engineered Food (2012),BALLOT PEDIA】

【Prop.37:Genetically Engineered Foods,VOTER'S EDGE】

【Washington Mandatory Labeling of Genetically Engineered Food Measure, Initiative 522 (2013),BALLOT PEDIA】

【I-522:GMO Labeling,VOTER'S EDGE】

重い鉄の扉は開いた

 ただし、このカルフォルニア州やワシントン州の挑戦は、完全な敗北ではありません。なぜなら、この投票による敗北は、他の州の活動家の驚きと怒りによる行動を駆り立てるキッカケとなりました。さらに、全米のより多くの人々が、この問題に注意を払い始めたのです。

 そしてとうとう今年の5月、バーモント州で、重い鉄の扉が開きました。表示を義務化する法案が州議会で審議され、新たな法律が成立したのです。また、現在では、全米29州で遺伝子組み換えの表示義務化に関する84の法案が議会に提出されています。コネティカット州やメーン州では、法案はすでに可決されており、いくつかの近隣の州が参加すれば、法案が有効になります。米国では、各州における立法化は、他の州の状況を窺いながら進められます。特に、表示義務化のように、全米でこれまでに立法化した州がないケースの場合、ニューイングランド地方にある小さな州などは、近隣の州に協力を仰いで訴訟に備えなければなりません。さらにオレゴン州では、11月の住民投票にむけて、署名活動が行われています。

【Maine becomes second state to require GMO labels,The Washington Post,Jan.10】

【Malloy signs state GMO labeling law in Fairfield,CT POST.COM,Dec.11,2013】

【Oregon proponents of GMO labeling say expect ballot measure to qualify,REUTERS,Jul.1】

 しかしながら、こうした動きに反対派である食品業界も黙していません。2016年からバーモント州が表示の義務化を開始するまでに、なんとしても阻止するつもりのようです。一旦重い扉が開けば、他の州でも次々と義務化が決まることが予想されます。そうなれば、政治家(とくに民主党)も消費者側を後押しするでしょう。

 そこで現在、反対派の食品業界側は、バーモント州に対して訴えを起こしています。恐らく、2016年までには、この訴えが正式な裁判になるかどうかの判断が裁判所から下されるでしょう。ただし、どちらの側にとっても、裁判は時間、費用もかかり、巨額の損害の可能性があるため、裁判開始決定の前に和解となる可能性もあります。その判断がいつごろ下されるのかはまだ見通せませんが、間違いなく全米の注目を集め、他の州の行動に強く影響すると思います。米国でもようやく、遺伝子組み換え食品の安全性に対する消費者の意識が世界レベルになったようです。

日本も表示できなくなる可能性が

 さて、最後に、TPPの話題に戻ります。多くの米国民は、TPP交渉について怒りと不安を感じています。というのも、この交渉は内密に非公開で行われ、国民や政治家であっても交渉内容の情報にアクセスすることができません。ただし例外として、600人の大企業顧問は、交渉や提案に参加ができるのです。TPP交渉は自由貿易のためというより、大企業に有利のようです。

【Obama's Covert Trade Deal,The New York Times,June. 2,2013】

『ボストン・グローブ』紙では、「NAFTA on steroids(北米自由貿易協定にステロイド増強剤を使用したくらい最悪な協定)」とも批判されています。

【Take trade agreement off fast track,The Boston Globe,Dec.22,2013】

 遺伝子組み換え食品の表示義務に対する米国の現状や、少ない情報をもとに考えると、このTPP交渉次第では、逆に遺伝子組み換え食品の表示ができなくなる可能性もあると思います。その場合、日本のように遺伝子組み換え食品を表示していると、TPPに違反することになるため、 日本政府がTPPに参加している国の企業に訴えられる可能性もあります。『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、実際に過去の例として、貿易協定違反のため、大手タバコ会社が、タバコの箱の健康の害に対する警告について、ウルグアイやオーストラリアの政府を訴えたケースもあるのです。ひょっとすると日本は、現状のような規制の緩い遺伝子組み換え食品の表示すらできなくなる可能性もあるかもしれません。それだけに、TPP交渉の行方にも十分な注意を払っておくべきだと思います。

【Cigarette Giants in Global Fight on Tighter Rules,The New York Times,Nov. 13,2010】

【Trans-Pacific Partnership and Monsanto,Nation of Change,June.24,2013】

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/genetically-modified-food_b_5608162.html

今やモンサントの従業員食堂でも遺伝子組み換えを排除する時代になっている。インディペンデント紙の報道によると、英バッキンガムシャー州ハイウィカムにあるモンサントの製薬工場の食堂にはこんな掲示がしてある。「この食堂で提供する全食品からは、現実的に可能な限りGM大豆とGMトウモロコシが除去されています。私どもが提供する食品についてお客様が安心してもらえるよう努力しています」(掲示しているのはSutcliffe Catering Groupというケータリング会社) 日本のタネ業者と自然農家を、バカなグーミンたちから守りましょう♪。

果実のドール社は実質、モンサントの子会社である。 
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=265761&g=121101

 

 

◆インターネットから見るアメリカの現状
http://blog.goo.ne.jp/yamanooyaji0220/e/13594e342f6fe65234910a415ca6f90d