浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

侵略国家の末路は民族の崩壊が歴史の常である

2015-04-24 08:58:19 | 資料

もうどの国にも止められない中国の人工島建設

米海軍に手出しをさせない仕組みとは

2015.4.23(木) 北村 淳 JB PRESS

米大統領、南シナ海問題で中国に警告


南シナ海・南沙諸島(スプラトリー諸島)のジョンソン南礁で中国が進めている工事を写したとされる写真。フィリピン外務省提供(撮影日不明)。(c)AFP/DEPARTMENT OF FOREIGN AFFAIRS (DFA)〔AFPBB News〕

 中国がすでに736億元を投入して建設を推し進めている南沙諸島のファイアリークロス礁人工島で、3000メートル級滑走路の本格的な建設がいよいよ始まった。

 本コラムでもたびたび取り上げているように、この他にもクアテロン礁、ジョンソンサウス礁、ヒューズ礁、ガベン礁、スービ礁が“人工島”として生まれ変わりつつあり、ミスチーフ礁も中国がコントロールしている(参考:「中国のサラミ・スライス戦略、キャベツ戦術の脅威」「人工島建設で南シナ海は中国の庭に」「結局アジアは後回し?中国の人工島建設を放置するアメリカ」など)。

 このような動きを受けて、先週ドイツで開かれたG7外相会合で発せられた声明には、南シナ海や東シナ海での中国による軍事力を背景にした拡張主義的海洋戦略に対する“強い懸念”が盛り込まれた。当然のことながら、中国外務省はじめ中国共産党政府はこの声明に対して反発し、とりわけ日本とアメリカに対して強い不満を表明している。



中国に自制を求めたG7外相会合

 G7外相会合声明では、以下のように南シナ海と東シナ海での領域紛争に関連する懸念が書き込まれている。

「G7(アメリカ、日本、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア + EU)は、領域あるいは海洋(における権益)に関する紛議を威嚇、強制、軍事力を用いて解決しようとする試みには断固として反対する。関係諸国には、国際法や国際調停システムを利用するなど平和的な紛争解決を図ることを呼びかける。G7は、永続的な地形の変化を海洋環境に加えてしまうような一方的行動に対する沿岸諸国の反対意思を尊重する」

 こうした原則的表明に加えて、次のように具体的な“名指し”に近い表現で中国に強く自制を求めた。

「G7は、東シナ海と南シナ海における、大規模な埋め立て作業のような、現状維持を崩して緊張を高める一方的行動を憂慮し観察を続ける」

アメリカに対する中国の反駁

 このG7外相声明が発せられる直前にも、アメリカのオバマ大統領やケリー国務長官らが、南シナ海での中国による軍事力を背景にした威圧的政策を批判した。それらの批判に対して、中国外務省や共産党系メディアは下記のように強く反駁していた。

「南シナ海での領域紛争では、中国こそが被害者なのだ。中国の領域である南シナ海のいくつかの島嶼をフィリピンやベトナムは占領しており、飛行場まで設置している島嶼もある。ところが、これら諸国はあたかも中国の圧迫を受けているかのように見せかけることにより国際社会にアピールしている。そして、その見せかけを百も承知でアメリカ政府は南シナ海の領域紛争に干渉しようとしている。アメリカ政府は、第三国間の領土紛争には関与しないとしているにもかかわらず、南シナ海だけでなく東シナ海でも日本と中国の領域紛争に口出ししている」

「このようにアメリカ政府が干渉する真意は、南シナ海や東シナ海での紛争をあおり立てて、アジア太平洋地域におけるアメリカの影響力を確保しようという魂胆からであることは誰の目にも明らかである。アメリカの政治的指導者たちによる無責任な主張は、南シナ海での領域紛争をさらに引っ掻き回して地域の平和と安定に打撃を加え緊張を高める以外のなにものでもない」

日本に対しても強烈に非難

 G7外相会合声明が発せられると、中国共産党系英文メディアは上記のようなアメリカへの反駁に加えて、日本に対する強烈な非難を展開している。

「G7外相会合声明に、わざわざ南シナ海における領域紛争が取り上げられたのは、日本がこの問題を書き込むように執拗に根回しをした結果である。日本はG7外相会合という多国籍枠組みを利用して、南シナ海で中国が周辺諸国を脅かしているかのごとき印象を国際社会に宣伝することによって、東シナ海でも日本が圧迫されているかのごとき演出をなそうとしているのだ」

「このような動機に加えて、日本は、安倍首相による第2次世界大戦降伏70年声明や、戦時の残虐行為に対して懺悔をしないという方針から国際社会の関心を薄れさせる、という意図もある。日本政府が自己中心的な利益と目的のためにG7という国際的舞台を利用したことは、まさに恥ずべき行為と言えよう」

「このような日本の動きは、中国が最近、ASEAN諸国、とりわけベトナムと平和的に領域紛争を解決しようとしている努力に水を指すものである。日本による南シナ海問題への介入は地域の安定と平和の維持を危殆(きたい)に瀕せさせようとするものである。・・・日本は、再び、誤ったタイミングで誤った地域に口出しするという愚かな過ちを犯しているのだ」

「人工島には民間施設を設置する」と説明

 上記のような日本やアメリカに対する反論・非難と同時に、中国共産党政府は「南シナ海に建設中の人工島には数多くの民間用施設が設置されることになり、中国のみならず南シナ海周辺諸国や南シナ海を利用する国際社会にとり大きな貢献をなす」という説明も公表した。

 中国当局による人工島建設に関する公式発表は極めて珍しい。中国外務省によると、南シナ海のいくつかの環礁での埋め立て作業によって誕生する人工島では、科学的研究活動、気象観測、環境保護活動、漁業活動などが許可されることになるという。

 そして、それら非軍事的諸活動のために、航海用設備や施設、緊急避難施設、捜索救難用施設なども建設されることになることが明らかにされた。

中国海警や公船を配して「中国の海」を拡大

 もちろん、南シナ海に続々と誕生する中国人工島が、中国海軍を中心とする軍事拠点として利用されることは当然である。ただし、それらの人工島に非軍事的な民間施設が多数建設されることにより、人工島は単なる軍事施設ではなくなることになる。したがって人工島には海軍施設が存在することになるものの、人工島周辺海域の警備は第一義的には人民解放軍ではなく「中国海警(China Coast Guard)」が任じることになる。

 中国海警は法執行機関であるとはいうものの“第2海軍”として位置づけられている。実際に中国海警の巡視船は質量ともに強化され続けており、第5軍と位置づけられている「アメリカ沿岸警備隊」を凌駕して“世界最強”の沿岸警備隊になりつつあるとアメリカ海軍では警戒を強めている。

 しかしながら、中国海警はあくまで法執行機関である以上、中国海警の公船に米海軍や自衛隊の軍艦が先制的にアクションを起こすことは絶対に避けねばならない(たとえ防御的攻撃をなしても、軍艦による“非軍艦”に対する先制攻撃となってしまう)。

 したがって、人工島の“運用”が開始され、中国海警による警戒活動が実施されると、たとえ人民解放軍艦艇や航空機が人工島を本拠地にしていても、南シナ海周辺諸国やアメリカなどの軍艦は、中国人工島周辺海域に接近することをためらわなければならない状況となってしまうのである。

 そして、尖閣周辺海域のように人工島周辺海域にも中国海警その他の中国公船や民間船が常時姿を見せつつある状況を続けることにより、名実ともに「中国の海」は拡大していくのである。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43589

フィリピン船の接近を阻止する中国海警監視船(写真:WestPhilippineSeaFB)

◆ 中国のサラミ・スライス戦略、キャベツ戦術の脅威
チッポケな岩礁を次々と手中に、米国はいつまで傍観するのか

2015.4.2(木) 北村 淳 JB PRESS

 アメリカ連邦議会上院のジョン・マケイン(軍事委員会、共和党)、ジャック・リード(軍事委員会、民主党)、ボブ・コーカー(外交委員会、共和党)、ボブ・メンデネス(外交委員会、民主党)の4名の上院議員は、超党派書簡をアッシュ・カーター国防長官とジョン・ケリー国務長官に送りつけた。

「このまま中国の行動を見逃していると、アジアの同盟諸国の安全保障や、石油をはじめとする年額5兆ドルに上る物資の自由航行、それに南シナ海周辺諸国の間の平和的が交渉は危殆に瀕してしまう。・・・アメリカがダラダラしている間に、中国はいくつかの人工島まで建設してしまっている。アメリカはこのような中国の埋め立て作業を押しとどめるための具体的行動をとらなければならない」

 実際に中国は海洋戦力を背景に、南シナ海に対する“積極的”海洋政策に打って出ている。だがアメリカはそれに対しておざなりな外交的警告を発してはいるものの、具体的かつ効果的な反対行動はとっていない。オバマ政権は中国の拡張主義的海洋政策に対して何らの戦略も打ち立てていないのが現状だ。

 このような状況は、まさに中国共産党政府が過去20年近くにわたって実施してきた南シナ海を手中に収めるための“サラミ・スライス戦略”が目論見通りに功を奏してきたことを意味している。

 そして、中国海洋戦力のますますの充実とアメリカ極東戦力の相対的低下を追い風にして、中国は人工島建設戦術や“キャベツ戦術”を使用し始めて、サラミ・スライス戦略の完成を加速させている。

小さな攻撃を小出しにしていく「サラミ・スライス戦略」

 サラミ・スライス戦略とは敵側の大反撃を招かないような“小さな部分”に対する攻撃を小出しに積み重ねることにより、徐々に敵側の抵抗努力が功を奏さないような状況に持ち込んで、最終的には敵側を封圧したり征服したりしてしまう、という流れの方針を意味する。

 もともとは1940年代にハンガリー共産党が政敵を殲滅するために用いた戦術に名付けられたのが起源とされている。このような比較的スケールの小さな“戦術”レベルのみならず、現在中国が南シナ海“征服”のために用いている“戦略”レベルの方針にも用いられている(したがってサラミ戦術と呼ばれたりサラミ・スライス戦略と呼ばれたりしている)。

 サラミソーセージを薄切りにするサラミ・スライサー

 中国が南シナ海の大半を“征服”するにあたって、最大の障害として立ちはだかるのがアメリカである。世界中の海洋における公海自由航行原則の維持を最高の国是の1つに掲げ続けてきた海洋国家アメリカにとって、南シナ海のほぼ全域が“中国の海”となることは絶対に看過できない(であろうと中国側は考えた)。したがって、中国としては、極力アメリカの干渉を避けるような手段によって南シナ海を手中に収めていかねばならないのである。

 そこで中国共産党政府が用いているのがサラミ・スライス戦略である。すなわち、アメリカの一般世論、すなわち連邦議会の主流、が大きな関心を示さないような“取るに足らないチッポケな島嶼や環礁”に対する実効支配を少しずつ拡大していくのだ。

南シナ海でのサラミ・スライス戦略の進展

 まず手始めに1988年3月には、南シナ海南沙諸島のジョンソンサウス礁をめぐってベトナム海軍との間に軍事衝突を引き起こした。中国は、ベトナム戦争の苦い経験が身にしみているアメリカが、ベトナム救援のために介入する恐れはないと踏んだ。その目論見は的中し、アメリカから遠く離れた南シナ海に浮かぶ“チッポケな環礁”での中国海軍とベトナム海軍の戦闘に、アメリカが口出しすることはなかった。

 結局、中国はベトナムからジョンソンサウス礁、ファイアリークロス礁、ガベン礁、クアテロン礁、渚碧礁という“アメリカがさして関心を示さないチッポケな環礁”を奪取して、今日に至るまで実効支配を続けている。

 1992年に、アメリカ軍がフィリピンの南シナ海に面するスービック基地から撤収し、南シナ海方面に対するアメリカ軍の最前線拠点が沖縄まで後退した。すると94年、以前よりフィリピンと中国の間で争議が続いていたミスチーフ環礁を中国が占拠してしまった。その後、99年までには、“アメリカがさして興味を示さなかった環礁”であるミスチーフ環礁に永久建造物が設置されてしまい、中国による実効支配状態が今日も続いている。

 2012年になると、アメリカにとっては“取るに足らないチッポケな環礁”にすぎないスカボロー環礁を中国漁船が占拠し、出動したフィリピン海軍と中国監視船の間で睨み合う状態が勃発した。アメリカは外交的和解を提案し両者の撤収を促したが、フィリピン側だけが撤収し、中国側は居座ってしまった。翌年には、中国によって多数のコンクリートブロックが設置された。フィリピンの同盟国であるアメリカは、しかしながら、何ら中国に対して強硬な姿勢を示していない。

 そして、その頃から南沙諸島での人工島建設計画が打ち立てられ、実際にいくつかの人工島の埋め立て建設が実施され始めた。本コラム(「着々と進む人工島の建設、いよいよ南シナ海を手に入れる中国」「人工島建設で南シナ海は中国の庭に」)でも取り上げたように、わずか数年の間にファイアリークロス礁、ジョンソンサウス礁、ヒューズ礁、ガベン礁、クアテロン礁などは、満潮時は波の下に隠れてしまうような環礁であったものが立派な島へと変貌を遂げつつあるのだ。

「キャベツ戦術」が登場

 2010年頃になると中国海洋戦力(海軍、空軍の一部)は質量共に極めて充実してきた。そのため海軍戦力とは呼べない程度のフィリピン海軍はもちろんのこと、戦力増強に努めているベトナム海軍も、中国海洋戦力に立ち向かうことは不可能となった。そして、中国海洋戦力は、アメリカ極東海洋戦力に対しても南シナ海海域においては決定的劣勢という状況ではなくなるに至った。このような軍事力を背景に、中国が南シナ海でのサラミ・スライス戦略を実施していくために用い始めたのが「キャベツ戦術」である。

 この戦術は、奪い取ろうとする(中国に言わせれば不当に主権を主張する勢力を排除する)島嶼・環礁に対して、直接的な攻撃(ミサイル攻撃、爆撃それに引き続く上陸侵攻部隊の投入)はなさずに、それらの目標を、武装民兵が乗り込んだ漁船、海洋調査船、海警関係艦艇、それに海軍艦艇などで幾重にもびっしりと取り囲んでしまい、そのような状態を継続させることによって結果的に実効支配状況をつくり出してしまう、というものである。芯を葉が幾重にもビッシリと取り巻いているキャベツになぞらえてこのように呼ばれているわけだ。

 この戦術が最初に用いられたのは、2012年のスカボロー環礁事件である。すなわち、中国が領有権を主張してきたスカボロー環礁を防衛するため、フィリピンが沿岸警備隊部隊を送り込んだところ、中国は多数の漁船や沿岸監視船などでスカボロー環礁を幾重にも取り囲んでしまった。結局、上記のように、フィリピン沿岸警備隊艦艇と中国側艦艇が睨み合う中、フィリピン側が撤収して、スカボロー環礁は中国側が占領するに至った。

 翌2013年からは、セコンド・トーマス礁をめぐって中国はより露骨なキャベツ戦術を実施している。フィリピン沿岸から105海里(中国の海南島からはおよそ600海里)に位置するセコンド・トーマス礁には、領有権を確保するために環礁内に座礁させた第2次世界大戦時代の揚陸艇にフィリピン海兵隊小隊が交代で陣取っている。中国政府はフィリピン政府に対して「中国領内から座礁船を撤去せよ」との要求を突きつけた。そして、中国海軍はセコンド・トーマス礁周辺海域に艦艇を派遣して「中国の要求に従わないと、環礁への補給を遮断してしまう」と脅迫した。フィリピン政府は「最後の一兵になるとも環礁は死守する」との意思を示した。

 

フィリピン海兵隊が陣取る揚陸艇(写真:WestPhilippineSeaFB)

 2014年3月になると、中国沿岸警備隊艦艇がセコンド・トーマス礁のフィリピン海兵隊員に補給物資を運搬する輸送船をブロックしてしまい、海兵隊員たちは危機的状況に陥った。フィリピン海軍はなんとかして補給を試みたものの中国側により阻止されてしまい、ようやく空中から補給物資を投下する方法が功を奏した。

 このように、同盟軍であるフィリピン海兵隊員たちがセコンド・トーマス礁防衛のための座礁船に閉じ込められてしまっても、オバマ政権は“形式的”な外交的警告は発したものの、フィリピン海兵隊の“兄貴分”として常日頃指導・共同訓練に励んでいるアメリカ海兵隊を投入して救出する気配すら見せなかった。

 以上のように、アメリカからはるか遠方の“取るに足らないチッポケな環礁”での揉め事などには、アメリカの一般世論も連邦議会もほとんど関心を示さないことが、セコンド・トーマス礁事件でも実証されたのである。

南シナ海の次は東シナ海

 南シナ海での状況とは異なり、中国による東シナ海でのサラミ・スライス戦略は、いまだに初期段階である。すなわち、東シナ海の大半を“中国の海”にするという戦略目標を達成する第一歩として、最大の障害であるアメリカにとっては“チッポケな岩礁”にすぎない尖閣諸島での揉め事を足がかりにしようというのである。

 これは何も尖閣諸島を占領してしまうというのではない。このようなことをすればアメリカが何らかの形で介入することは避けられず、サラミ・スライス戦略の鉄則に反することになる。そうではなく、アメリカをはじめ国際社会に「尖閣諸島を巡って日本と中国の間で領有権紛争が存在している」という“事実”が横たわっていることを知らしめることが第一歩なのだ。そしてその第一歩は成功したと見なさざるを得ない。

 ただし日本の場合は、沖縄にアメリカ軍が陣取っているだけではなく、フィリピンやベトナムとは違い自前で強力な海洋戦力を保持している。当然、日本に対する中国のサラミ・スライス戦略は、南シナ海とは違った流れにならざるを得ない。しかしながら、アメリカに遠慮してサラミ・スライス戦略を実施したり、軍事力を用いるといってもせいぜいキャベツ戦術程度にとどめている、といった状況がいつまでも続くわけではない。

 中国海洋戦力の飛躍的な強化と、それに反比例してアメリカ極東戦力が相対的に弱体化することで、中国の南シナ海“征服”に引き続いて、東シナ海“征服”活動はますますスピードアップするものと考えられる。日本としては、東シナ海で中国が繰り出しつつある新手のサラミ・スライス戦略とキャベツ戦術への効果的な対抗策を打ち出さねばならない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43349?utm_source=editor&utm_medium=self&utm_campaign=link&utm_content=recommend

◆【世界を斬る】AIIB「新シルクロード」構想は不可能なほど困難 プーチン大統領が壁

2015.04.22 zakzak

 中国によるアジアインフラ投資銀行(AIIB)構想について、習近平主席が「シルクロードを再現する物流ルートの建設に力を入れる」と言い始め、日本の一部メディアや財界が無様な慌て方を見せている。

 「北京からヨーロッパへ至るシルクロードの再現、つまり新しくアジアを横切る一大物流ラインを建設することは、地理的に見ても安全保障問題を考えても、不可能なほど難しい」

 かつてタジキスタンに1年ほど滞在、現地の情勢を探った友人の元米国家安全保障局長官のウィリアム・オドム中将が私にこう言ったことがある。

 また、米国家安全保障局の元分析官の知人はこう話している。

 「シルクロードを再現するアジア横断物流ルートは、中国のゴビ砂漠からクンルン山脈の麓を抜け、アフガニスタンからイラン、イラクを通りイスタンブールまでのルートがある。もう一つ全く新しい構想として、カザフスタンからヴォルゴグラード、キエフを抜け、ヨーロッパに入るルートが考えられる。そのいずれも地政学上、あるいは安全保障上、大規模な工事を行うことはとてもできない」

 シルクロードといえば、私が親しくしていたNHKの名プロデューサー、玉井勇夫氏が作った歴史的なテレビの名作が思い出される。私は玉井氏の依頼を受け、外交上の問題を解決するために協力したことがある。番組制作にあたって、最も難しかったのは、中国奥地を横切るシルクロードが秘密のミサイル基地や核兵器基地の周辺を通っているため、撮影の許可をとりつけることだった。

 玉井氏の意図は、北京からローマに至るシルクロードの完全なロードマップをなぞることではなく、中国奥地の砂漠に残された文化を美しく描き出すことだった。アフガニスタンから先は全て省略し、続編としてシリア、レバノン沖からローマに至る海のシルクロードを制作した。

 古い話は別として、習主席が新しくシルクロードなるものを作ろうとした場合、カザフスタンやその他の旧ソビエト内を通そうとすれば、ロシアのプーチン大統領が立ちはだかって、許さないであろう。

 アフガニスタンやイラン、イラクに工事を行うため、中国の建設会社や工兵隊を送りこむことも安全保障上、全くと言っていいほど不可能だ。ロシアはAIIBの創設メンバー入りしているが、現実問題として考えた場合、習主席のシルクロード構想は中国国境で終わらざるをえない。

 習主席は海軍の増強に失敗し、海上ルートによる世界貿易が今後、危険になってくるという見通しのもとで、アジアを横断するシルクロード構想を打ち出したと考えられる。だが、実現のメドはどこにもない。この構想の情報に踊らされている日本の財界は、世界の現状にまず配慮することが必要である。

 ■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150422/dms1504221140005-n1.htm

◆世銀やIMFに対抗し肥大化するAIIB 中共の思惑はずれ、支配への努力は無駄に

2015年4月20日 大紀元日本

米国サウスカロライナ大学の謝田教授はこのほど、中国共産党政権が主導する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)について、中国語週刊誌「新紀元」(423期)に評論を寄稿した。

 謝教授は、国際ルールに従わず世界規模の「中国式銀行」であるAIIBを通じて、欧米や日本が主導する世界銀行および国際通貨基金(IMF)に対抗するとの狙いは、最終的に無駄になるとの見方を示した。下記は謝教授の見解。

 中国共産党(中共)が主導するAIIB設立について、最近多く議論されている。現在の状況からみると、中共はより多くの西側諸国が参加するよう、当初の計画や狙いについて少しずつ妥協しているようだ。しかし最終的には、この「ごった煮」的な銀行の設立について、思い通りに運営したいとの中共の苦労は無駄になるだろう。

 なぜならAIIBの設立準備において、「中国共産党化」を取り除こうとする過程が徐々に強まっているからだ。つまり、中共の投票権、決定権、影響力が少しずつ弱められているのである。

 現在表ではますます多くの国が創立メンバーとして加入したと見えるが、中共のコントロール力と支配力は多くのメンバー、特に欧州各国の参加によって、絶えず弱められている。中共が世界銀行、IMFに対抗する目的が実現できる可能性がなくなっている。

 4月末、AIIBは北京で創設に向けて首席交渉代表会議を開催される予定だ。その際、参加国は出資比率や、総裁および副総裁の選出、本部所在地、運営ルールなどについて協議する。これからまさに面白くなるところだ。

 中共はより多くの難題に直面する。イギリス、ドイツ、フランスなどの西側諸国がAIIB加入時に中共に十分の面子を与えたが、銀行の構造、組織および運営など具体的な事項になると、欧州主要国の加入を後悔することになる。なぜなら、アジアの数カ国だけが参加するなら、他の国より大部分の出資比率を持つ中共はAIIBを海外版の中国建設銀行のように、意のままに運営することができる。しかし西側諸国が入ってくると、銀行内部の構造や運営ルールについて「ロバート議事規則」にしたがって進行するなど、理事会での議席、貸出の透明性、環境保護、人権などに関する条件を求めるからだ。

 『AIIB覚書き』では、創設メンバー国の国内総生産(GDP)に応じて出資比率が決められる。これによると最大出資国は中国となる。その次にはインド、ドイツ、フランス、韓国、イギリス、イタリアなど。しかし、中国GDPの信ぴょう性について絶えず問われており、現在の中国首相でさえ中国GDPデータは信用できないと認めている。この嘘に基づいた出資比率の決定だから、AIIBは創立当初からトラブルが起きそうだ。もし将来、中共の嘘が見破られた時、他の国々はどのように対処するだろうか。

 思惑通りにならないAIIB 中共の努力は水の泡に

 見栄を張り面子にこだわる中共は、国際社会においてその統治の合法性を証明するために、AIIBを大きく強くするため、利益で多くの国を騙した。中国には「招き入れるのが容易だが、追い払うのは難しい」とのことわざがある。欧州主要国の加入は、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)のように、西側のルールに則って運営すると厳しく要求する。したがって、中共の努力は水の泡となる。そもそも中共がAIIBを設立したのは、国際ルールに従いたくないからだ。計略は失敗し、損失を招くだろう。

 中共の目的はIMFでの発言権を強め、IMFのガバナンス構造を改革することにある。それと同時に米国に対して、人民元の特別引き出し権(SDR)構成通貨としての採用を支持することと、中国企業が米国での投資条件や中国のハイテク技術の輸出規制を緩和するを求め、米国を強く意識したものだ。

 しかし中共は自らAIIBの否決権を放棄した。このことは、米国盟友であるイギリスやフランス、ドイツを加入に踏み切らせたきっかけとなった。AIIB創立に関わる情報提供者によると、中共が否決権を放棄したことの代わりに、オーストラリアがAIIBに加入した。このことから、世界経済力が「2位」と称される中共の影響力は米国に全く及ばない、ということが明白になった。米国の覇権的地位に対抗するはずだが、道のりは長い。

 世界各国は中共のAIIBの管理運営基準、投資プロジェクトに関する環境保護の基準に関して疑問を呈している。AIIBが運営し始まると、中国当局はGDP成長率ばかりを追求し、環境汚染の拡大を無視し、どんどん建設工事を進めるのではないかと考えるのは間違いだ。なぜならイギリス、フランス、ドイツやオーストラリアなど各国政府は環境保護の点では譲歩しない。あるいは譲歩する勇気がないと言ってもいい。各国の環境保護団体は、政府の行動を見逃さないからだ。

 フランス紙「ル・モンド」は、欧州各国はなぜAIIBに参加したのかについて「理由は簡単だ。その中にいれば、発言権があり干渉することができる」と分析した。中共はその「干渉」のメッセージ性を把握できていない。

 アジアの発展途上国でも多くの国は民主的国家で、その国民は中国特色のある汚染や浪費、建設プロジェクトにおける腐敗行為や、工事中の材料のごまかしを許すことができない。またアジア各国は債務者で、AIIBからの融資を返済しなければならない。中国特有のずさんな工事を招くようなことを防ぎ、慎重に融資を判断するだろう。

 したがって、中共がアジア各国に国内の過剰生産能力、過剰の建築材料、過剰労働力を押しつけるのは難しい。その時になってはじめて、莫大な資金を出しても最終的な決定はできないし、世界銀行やADBのように運営しなければならないと、中共は気付くだろう。中共にとって、AIIBを支配しようとする努力は、無駄になる。

 (翻訳編集・張哲)
http://www.epochtimes.jp/jp/2015/04/html/d15295.html

◆ジャカルタでみせた習近平の傲慢と無礼

宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)4月24日(金曜日)
   通算第4524号  <前日発行>
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 ジャカルタにおける習近平の非礼、安部演説前に席を立った
   反省を求められているのは日本ではなく、中国だ
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 ジャカルタで開催されたバンドン会議を記念する「アジア・アフリカ首脳会議」。
4月22日に習近平と安倍首相との会談は25分間だけ実現したが、日中関係は「改善されつつある」、「多少の進歩がある」などと無内容な修辞に終始して実質の上の成果はなかった。

日中首脳会談で中国は「AIIBは世界多数から賛同を得られた」などと自画自賛、安倍首相は「ガバナンスに問題がある」としたが、習近平は聞く耳を持たなかった。

 そして本会議で安倍首相の演説が始まる前に、習近平は傲然と席を立って、会場を跡にした。安倍首相の積極的平和主義に、この軍国主義のくにの指導者は背を向けたことを意味する。

 習近平は何を訊きたくなかったのか。
 それは安倍首相の演説に「強い者が弱い者を力で振り回すことはあってはならない。法の支配が大小に関係なく国家の尊厳を守る」
 そして「侵略または侵略の脅威、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を冒さない。国際紛争は平和的手段によって解決される等としたバンドン会議の原則を、日本は先の大戦の深い反省とともに、如何なる時でも守りぬく国であろうと誓った」
 この日本の積極的平和路線を習近平は受け入れることができないのである。

 なおインドネシアで開催された、この「アジア・アフリカ首脳会議にインドのモディ首相と韓国の朴大統領は欠席した。

 (余談。この100ヶ国もの代表が集まる大会議はバンドンでは無理で、ジャカルタで開催された。会場となったコンベンションセンターはジャカルタ市内のど真ん中に位置し、大統領主催のパーティ会場、安倍首相の宿泊した豪華ホテル「ムリア」も近い。
 バンドンへは二年前に筆者もバスで行ったことがある。早朝にジャカルタをたって、昼過ぎにバンドンへ到着。静かな大学町、芸術の街、そしてグルメの街でもあり、バンドン会議を記念するホールは入場無料、スカルノの蝋人形がおいてあった。
帰路は繁華街から雑然とした駅前通をぬけ駅で列車の時刻表を確認して鉄道を利用した。途中の田園風景はノスタルジアを感じる。にわか雨になった午后7時頃、ジャカルタに着いた記憶が蘇った。筆者が宿泊したのは市内のやや南側のビジネスホテル、周囲は日本企業が多く、鉄板焼き、居酒屋、焼き鳥などが揃っていて目を丸くした)。

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日本と米国がAIIBへ同時参加するシナリオもある

 (承前)
 さてAIIBへの日米参加だが、日本は四月初旬になって米国との綿密な連絡をもとに、もし参加した場合の条件を同時に模索しはじめている。
米国が厳しい条件付きで参加する可能性を示唆したからで、「透明性」と「審査方法の公平」など、出資金は15億ドルと想定された。

要点をまとめると、日本の要求は
(1)融資審査能力への疑問がある
(2)公正なガバナンスへの不安が残る
(3)既存の国債機関との関係をどうするかが不透明である

米国が態度を軟化させたのは、想定外の西側諸国の参加というドミノ現象をまのあたりにして外交的失点と認識したからだ。ルー財務長官が急遽北京を訪問したのも、その変化の表れであり、つづけて来日した李婦近国務次官補も「AII場が高いレベルで運営されるにはAD美並びに世界銀行との共同プロジェクトに取り組むのも一案だ」とし、AII場の設立に米国は反対していない」ことを強調した。潜在的加盟申請国に圧力をかけていた米国が態度を豹変させているのである。

もっとも、これはシナリオの一つであり、4月28日の日米首脳会談、五月の日中韓三ヶ国の財務相・中央銀行総裁会議などを経て、五月下旬のドレスデンでのG7財務省・中郷銀行総裁会議、さらに六月の日中財務対話(北京)、引き続くG7首脳会議を経て、六月下旬の正式態度を表明する。

議論の中心は組織運営の透明性、審査基準などで、煎じ詰めて言えば「西側のルール」に従った、シティ発祥のグローバリズムに準拠するか、あるいは中国の言う「アジア独特のルール」(つまり華夷秩序的な金融ルール)の傾くのか、なのである。
AIIBに先に参加表明した欧州勢は設立協定の討議にすでに加わっているので、もし中国側が西側の要求とあまりにかけ離れたルールになる場合、米国も日本も議会が予算を承認しないことになる。

http://melma.com/backnumber_45206_6198070/

Minoru Hamada氏のFBより転載

◆中国は日本に感謝し、靖国に参拝せよ
黄文雄(評論家)
各位
過激な事を言っているように感じる方もおられるかと思います。しかし、黄文雄氏のこの主張は、明確な論拠をもったものです。
 黄文雄氏は言ってます。「日本軍は中国やアジアに対して侵略、虐殺、暴行、略奪を働いたというのが中国側の主張であると同時に、戦後日本人の一般的な歴史認識でもあるが、台湾では違う。」なぜ違うかというと、「台湾人は幸い、東京裁判史観に染まることがなかった」からであるというのです。
 「日本の戦争が、まさしくアジアのレコンキスタ(失地回復)であり、それによって欧米植民地勢力が駆逐された史実を”率直“に受け止め”日本が負けたことが悪かった“」と黄文雄氏は台湾の識者と共に認識しているわけです。
 この論文は、『歴史通』3月特集号に掲載されたものですが、『歴史通』の許可をいただき、英訳文とともに冊子として刊行することにしました。これを読めば、日本が謝罪するどころではなく、中国こそが感謝して靖国に参拝しなければならないのが筋であるということが理解できると思う次第です。

 http://hassin.org/01/wp-content/uploads/China.pdf

(是非一度お読み下さい)