浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

イスラムの民に日本人が嫌われていることを知らない日本

2013-02-05 11:49:53 | 資料

◆イスラムの民に日本人が嫌われていることを知らない日本



イスラムに敵対した小泉政権

以前、日本という国は中東の国から尊敬され、好かれていた。

 アルジェリア情報の中に「日本人を人質にしろ」という指令が、襲撃側の狙いの一つだったことが明らかにされている。 ここに問題の核心が存在している。 「日本人殺害の本質」を見極めることが、教訓の最たるものなのだ。

 安倍内閣のすり替え論に誤魔化されてはなるまい。 肝心要をはずすことに熱心な、いわゆる新聞テレビに登場している浅はかな専門家に振り回されてはなるまい。

 過去を振り返れば、すぐに理解できることである。

 中東・イスラム圏での抗争に日本は、欧米の植民地・侵略国家・国民と異なる立場にあった。

 イスラムの人々は、そんな日本に対して友好的な認識を抱いてきた。 そのはずで、日本はイスラム圏に対して、欧米と全く異なる過去を有していた。

 それが小泉―ブッシュの体制の下で、日本は欧米の路線に深く関与してしまった。

イラク・アフガン戦争に自衛隊を派兵してしまった。欧米の侵略・植民地の側についてしまった。

 日本のそれまでの、中立的スタンスを小泉内閣は一変させてしまった。 イスラムの過激派からすると、日本は欧米諸国と同列に看做されてしまったのだ。

<安倍・麻生も小泉路線>

 ご存知、安倍も麻生も小泉路線を踏襲してきたことで知られる。 無力・無能の政治屋・安倍は、小泉内閣のもとで官房副長官・官房長官・自民党幹事長の要職に就いて、そのお陰で頭角を現すことが出来た。 それだけのことだ。前回の自民党政権がなぜ崩壊したか最早日本の国民は忘れて仕舞っている。

 小泉・安倍に追随したのが、副総理の麻生である。 この3人の政治屋には、リベラルな政治路線はない。 内外の日本研究者は、この点に対して甘い見方をしている。自民党崩壊が決定的になったのが、麻生政権である。

  今回の安倍政権の公約に「集団的自衛権」がある。いわば自民党の目玉政策である。小泉政権の時から、アーミテージに集団的自衛権の行使が出来ないことが日米安保の障害になっていると指摘されていた。だから先の衆議院選挙の公約に掲げたのだろう。米国がこれで満足するという解釈で。

だが訪米を控えて、「集団的自衛権」などと近隣国を刺激する余計なことはするなとオバマに言われて仕舞った。安倍や麻生の前政権の時には共和党政権であった。オパマは民主党の大統領である。米国内の企業経営者、指導者層では、東アジア地域で最も重要な国は『中国』との見方が支配的である。落ち目の日本など眼中に無いと言うことだ。

日米首脳会談で、集団的自衛権を高らかに宣言して、というもくろみが、訪米前に崩れてしまった。では、何しに行くと言うのだろう。現状の米中関係というものを何一つ把握していないのだろう。

 それは自民党に屈してしまった公明党・創価学会も、である。 公明党は、今回安倍親書を託されながらも、すぐには習近平党主席に会えなかった。帰国の間際だけである。

 いわんや遠来の客人に対して、3月まで任期のある胡錦濤国家主席も温家宝首相も相手にしなかった。 もはや40年前の公明党ではない、異質の政党であることを熟知した上で、次期党主席は今回の会談を行っている。

 歴史を鑑としようとしていない安倍内閣である。 過去を正当化することに懸命な極右内閣である。

 中国の人民はネット情報で熟知している。 従軍慰安婦問題に対する河野談話を「見直す」と公言する安倍に、隣国民の反発は根強いものがある。日本に理があろうが彼らには関係がない。 アメリカの高級紙も、過去を正当化する安倍に怒りの論説を発表している。 1月訪米計画を蹴飛ばしたワシントンに安倍の衝撃は大き過ぎたろう。 ソウルも察知して大統領就任式典の安倍訪韓を断っている。日本の外務省も在日本大使館も役立たずというわけである。

<ワシントンのネオコンに屈した小泉・安倍・麻生>

 安倍を国際社会は認知していない。 12・16選挙で10%台の得票しかなかった安倍・自民党を、マスコミは必死で持ち上げているが、世界はイカサマ選挙に目を向けて政権の正当性に躊躇している。棄権票や白票の方がはるかに多い。

 そもそも小泉・安倍・麻生の過ちは、ワシントンの戦争屋・ネオコンとの密度な深い関係にある。それは反イスラム路線であり、武器弾薬メーカーとの癒着政治である。

 こうした当たり前の分析をしているイスラム過激派なのだろう。 それが「日本人を狙え」なのだ。自衛隊法に問題があるのではない。 武器弾薬で身を固めたアメリカ人が、いま一番危険な状態に置かれているのではないか。 それはフランスやイギリスも同様である。だから傭兵ばかりが最前線に居る。

 本来、イスラム圏で人気だった日本は、過去のものとなってしまった。 そこをカバーしているのが中国なのである。 中国が欧米の侵略路線にはまることはないだろう。 

<軍事云々は間違い>

 軍事力で自国民を守るというのは、アメリカ人の置かれている現状からしてみても間違いだ。銃でイスラムの人から身を守れと言うのはイスラムを日本が敵とみなしているということになる。日本から自衛隊を送るという事が、イスラム各国からどう見られているかと言うことが欠落している。
拳銃で身を固めても、身を守ることは出来ない。 他者から敵対される行為をやめることが先決だろう。事実日本は、敵味方双方から狙われる存在となっている。

日本は米国だけしか見ていない。イスラム諸国からは日本が嫌われていることを自覚していない。それに乗じて中国が煽っていることも。

日本のメディアは、中国が人民解放軍をアルジェリアに送り込んでいることを全く報じない。

 いかに日本のマスコミがこぶしを振り上げる論調で報じても、この過去を消し去ることは出来ない。第一日本のマスコミは現地には行かずに記事を書く。特派員と言っても臨時雇いのフリーライター、現地の人脈や情報など持ち合わせてなどいない。

 真っ当な歴史認識を隣国に対しても実行できない日本と日本人に問題の根源がある。 今回、イスラム圏でそれが表面化したものだ。

 45年当時の日本政府は、ワシントンの意向も受けたかもしれないが、平和憲法を制定した判断は正しかった。 この憲法でアジアと世界と友好を構築すると誓った。 これは正しい選択だった。それを覆そうとしている安倍内閣である。 摩擦が起きて当然だろう。

 アジアどころか中東・北アフリカとも友好が確立できない日本政治の悪化原因と真剣に見つめ直す、今が好機なのだ。

◆アルジェリア事件の裏事情ーアルジェリア事件は仏のマリ侵攻を正当化する

 フランス軍はマリの空爆に際してアルジェリアの空軍基地から戦闘機を送り出していた。

 これはアルジェリア政府がフランスのマリ介入に反対できない立場にあることを意味し、そのマリ介入の正当化の切り札なるであろう今回の事件に、アルジェリアが関与していることをも意味する。

イスラム武装勢力側は、これはフランスのマリ侵攻への報復行動であったと声明を出した。

 マリはどこにあるのか、なぜフランスはマリにちょっかいを出すのか。

 

今回のアルジェリアの事件は、フランスのマリ侵攻(マリはアルジェリアと国境を接し、豊かな地下資源に恵まれた国)を正当化する切り札になる、アルジェリアも関与したテロの自作自演であるという。

アルジェリアは地中海に面する北アフリカの国である。

 去る十六日、この国にある石油関連施設をイスラム武装勢力が襲撃し外国人を含む作業員数十名が人質にとられた。

 この施設は英国のブリティッシュ・ペトロール、ノルウェーのスタトイル、そして現地企業の提携で運営されていたため西洋人の技術者が多く派遣されており、中には施設建設に携わる邦人も十数名含まれていた。
人質の国籍国政府からは慎重な行動が求められていたにも関わらず、翌日はアルジェリア軍によるテロ撃退攻撃がはじまり、犯人側と人質側双方に多数の死傷者をもたらしたと伝えられている。

イスラム武装勢力側は、これはフランスのマリ侵攻への報復行動であったと声明を出した。

 マリはどこにあるのか、なぜフランスはマリにちょっかいを出すのか。

 サハラ砂漠の西にあり、アルジェリアとは国境を接するこの国は豊かな地下資源に恵まれた。
いや、呪われたというべきか。

 金の産出量はアフリカ第三位、ダイヤモンド・鉄・リンなど多種の鉱物が産出され、今後も増産が見込まれている。 燃料は石油の発掘が進められており、欧州へのパイプライン構想が打ち立てられるほどの期待がかけられている。 そしてウランが大量に埋蔵されている。

 フランスに限らず欧米の各国は、以前からマリの主導権を得るべくそれぞれに好機を伺っていた。

 フランスはかつてマリの宗主国であり、前大統領が自ら手を汚し率先してリビアを攻撃したのも手伝い、軍事行動ではフランスが存在感を見せ付けていたが、王手をかけるために国内紛争の解決と称し今年の初めからマリに侵攻していた。

そのころ世界はシリアのあたりを向かされていた。

アルジェリアのガス田を襲った武装勢力は、人質の命と引き換えにマリへの脱出を要求している。 できるだろう。 あるいは仲間と称する武装勢力がマリで同様のテロ活動を開始するだろう。 
それはフランスにマリ総攻撃の免罪符を授けるだろう。

 そもそもこの事件の詳細はアルジェリア政府筋の発表を鵜呑みにするしかない。 世界から隔絶された砂漠地帯で起きていることなど誰にもわからない。

だからどんな出鱈目でも「報道」できる。

 「アラブの春」とは資源権をめぐって欧米列強がかつての植民地に残した傀儡政権を一新し、あるいは不満分子を懐柔または粛清するための一連の暴力行為を指す。 ソーシャルメディアは「暴力」を「正義」に塗り替える塗料である。 だからして、もっと距離を置くべきである。

 フランス軍はマリの空爆に際してアルジェリアの空軍基地から戦闘機を送り出していた。 これはアルジェリア政府がフランスのマリ介入に反対できない立場にあることを意味し、そのマリ介入の正当化の切り札なるであろう今回の事件に、アルジェリアが関与していることをも意味する。

西欧の多国籍企業のエネルギー施設などは最大限に警備されていなければならず、「警備に問題点があった」などという間抜けな指摘はありえない。 あるのはテロの自作自演である。

西洋からすれば「イスラム武装勢力」と名がつきさえすればそれだけで悪の象徴であり、西洋人(+日本人)の被害者が多く出ればそれだけ西欧の世論をマリ介入支持へと引き込むことができる。

 人質の命をまったく顧みない強行な作戦がとられたのも、「テロに屈するわけにはいかない」を無理に納得させようとする報道姿勢もそれを裏付ける。

自由と平等と友愛の生まれたフランス本土では、市民は不景気に苦しみ移民に対する悪感情を顕わにしている。 こういう時節は国粋主義が台頭し、国政が右に傾きやすくなる。 海外派兵も容認される。 若者たちの職を奪う憎らしい移民たちの国を攻める兵士の姿に市民は胸を熱くする。 景気対策をすることなく国民の不満を逸らした政府は支持率を上げることに成功する。

シリアの戦火が下火になりつつある。 もう用が済んだのだろう、マリという火薬庫に着火が完了したからだ。

 紛争地域の成り行きを「管理」するのは国連である。 大戦争を回避しながら小競り合いを長期化させることでより多くの武器売買を促し、同時に先進国の覇権を拡大させる。

 カダフィやアサドを糾弾し欧米の軍事介入を支持し、あるいは国連軍を派遣することがあっても、そこで生まれた難民にたいしては援助と呼べる活動はろくに行いはしない。 地域の飢餓や貧困は国連には「あたりまえ」のことである。

 むしろ先進国の資源庫として、安い労働力の宝庫として今の貧しい状態を維持させることこそが国連の職務なのである。

 国連はフランスのマリ介入に続くかたちでマリでの紛争解決とテロ撃退を協議する委員会を立ち上げ、マリ周辺諸国の要請により英国軍・独軍の派兵を承認した。 日本はまた何らかの支援を要求されるかもしれない。

日本政府はこういった問題には徹底的に無力である。 国民がさらわれようと殺されようと「遺憾」としか言えない。 政府ならともかく企業から海外に派遣された日本人の皆様は一日も早く帰国されてはどうか。

 アフリカからは遠く離れてはいるものの、日本の日本人がすべきこと、少なくとも考えるべきことはあるはずだ。

 今の消費社会が貧しい国々を踏み台に成立していることに目を向けることである。使い捨てにしているポリ袋から自動車に至るまでその生産に必要な資源はどこでどう調達されているのか、足元を直視する必要がある。

大金を払って輸入したとしてもそれを生産する国に、いや国民に還元されているわけではない。むしろ消費経済社会の最下層に組み込むことで地獄の責めを与えている。

 石油やガスだけではない。 最先端の情報端末機の部品も、日本で使用されている建築資材もそのほとんどが輸入品、ひどい条件のもとで低賃金で働く労働者の、時には未成年である彼らの生産品である。

そしてわが国の国土は処分しきれない産業廃棄物で埋め尽くされようとしている。いったい何をしようとしているのか。

  因果は必ず輪を描く。使い捨てを繰り返すことで経済を盛り立てることができると信じるならば、いつかは自らが使い捨てにされることを覚悟の上でそうするべきである。
砂漠の国で犠牲になった技術者たちのように。 

 

※参照

日本に未来はあるのか? 2013-01-25 

◆アルジェリア人質事件

http://blog.goo.ne.jp/yamanooyaji0220/e/2b2df874b02e795fb149d944c9f1eeca


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