弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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団体交渉の行き詰まりと団体交渉の打ち切り

2012-05-24 | 日記
Q128 団体交渉が行き詰まった場合でも,団体交渉を打ち切ることはできないのでしょうか?

 労使の主張が対立し,いずれかの譲歩により交渉が進展する見込みがなくなったような場合は,団体交渉を打ち切ることができるものとされています(池田電機事件最高裁第二小法廷平成4年2月14日判決)。
 ただし,交渉が進展する見込みがなくなったといえるかどうかは,問題となり得ると思います。
 また,団体交渉が打ち切りとなれば,労働組合による街宣活動が行われる可能性が高くなります。

弁護士 藤田 進太郎

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手続の相当性

2012-05-24 | 日記
Q15 ④手続の相当性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ④手続の相当性についてですが,裁判所は,使用者は労働者に対して整理解雇の必要性と時期・規模・方法について説明を行った上で,誠意を持って協議すべき信義則上の義務を負うと考える傾向にあります。
 要するに,使用者が労働者の理解を得るための努力をどれだけしたのかが問題となるわけですが,説明に十分な時間をかけず,資料の提示を行わず,抽象的な説明に終始したような場合には,この要素を満たさないと判断されることになります。
 会社の財務状況が極めて悪く,整理解雇自体は不可避であったとしても,労働者に対して人員削減が必要な理由の説明をすることはできるはずです。
 労働者にとって,失業するということは,労働者本人及びその家族にとって極めて重大な問題ですから,労働者の納得を得られる見込みであるかどうかにかかわらず,よく説明を行うべきと考えます。

弁護士 藤田 進太郎

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人選の合理性

2012-05-24 | 日記
Q14 ③人選の合理性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ③人選の合理性に関しては,人選基準そのものの合理性と実際のあてはめの合理性を検討する必要があり,その基準は使用者の恣意が入らない客観的なものであることが必要です。
 人選基準を設けなかった場合や客観性・合理性を欠く人選基準に基づいて整理解雇がなされた場合は,③人選の合理性を欠くと判断されるリスクが高くなります。
 したがって,まずは客観的で合理的な人選基準の設定を行い,人選基準に基づいて整理解雇の対象となる労働者を選定して,後日,訴訟になった場合には,客観的で合理的な人選基準に基づいて整理解雇を行ったことを説明できるようにしておく必要があります。
 人選基準の設定を行わずに整理解雇し,紛争が表面化してから後付けで人選基準を考えるというのでは,訴訟の見通しは暗いと言わざるを得ません。

弁護士 藤田 進太郎

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解雇回避努力

2012-05-24 | 日記
Q13 ②解雇回避努力については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ②解雇回避努力として,使用者は,整理解雇を行うに先立ち,希望退職の募集,配転,出向,一時帰休などの他の手段によって整理解雇回避の努力をする信義則上の義務を負うと考えられており,他の手段を十分に検討せずにいきなり整理解雇を行った場合,解雇権の濫用と判断されるリスクが高くなります。
 この要素が否定された事案では,そもそも解雇回避措置の検討すらされていない事案が多いので,使用者としては,たとえ人員削減の必要性がそれなりに高い事案であっても,整理解雇を回避する努力をする必要があるのだということを,まずは理解する必要があります。
 整理解雇を回避する検討すらせずに整理解雇し,紛争が表面化してから後付けで解雇回避努力の説明をしたのでは,訴訟の見通しは暗いと言わざるを得ません。

弁護士 藤田 進太郎

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人員削減の必要性

2012-05-24 | 日記
Q12 ①人員削減の必要性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ①人員削減の必要性は,整理解雇が有効とされる上で必要不可欠の要素であり,他の要素の要求水準を設定する役割も有しています。
 裁判所は,人員削減の必要性の有無について詳細に検討しますが,使用者の経営判断を尊重する傾向にあり,明白に人員削減の必要性がない場合を除けば,人員削減の必要性自体は肯定されるのが通常です。
 ただし,人員削減の必要性がそれ程高くないにもかかわらず実施された整理解雇は,人員削減の手段として整理解雇(指名解雇)を選択することの必要性を欠くなどの理由から解雇権の濫用と判断されることが多いため,人員削減の必要性の程度についても慎重に検討した上で,整理解雇に踏み切るかどうかを判断する必要があります。
 ①人員削減の必要性では,整理解雇の前後で新規採用を行っている事実が問題とされることが多く,整理解雇の有効性を判断する上で不利に斟酌されることがありますので,注意が必要です。

弁護士 藤田 進太郎

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整理解雇において解雇権濫用の有無を判断する際の要素

2012-05-24 | 日記
Q11 整理解雇において,解雇権濫用の有無を判断する際の要素としては,どのようなものが検討されますか?

 業績不振による事業場閉鎖,企業経営の合理化等,会社の存続を前提としつつ経営上の理由から人員削減を行う整理解雇は,労働者には必ずしも責任がないにもかかわらず行われるものであることもあり,有効な整理解雇を行うことは通常の解雇以上に難しくなっています。
 整理解雇については,一般に,①人員削減の必要性,②解雇回避努力,③人選の合理性,④手続の相当性,の4要素を考慮して,証拠上,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合に該当するかどうかが検討され,その有効性が判断されることになります(労働契約法16条)。
 ①②③の要素は解雇権濫用の有無を判断する際の評価障害事実,④の要素は評価根拠事実と考えられますので,①②③について使用者側が主張立証し,④については労働者側が主張立証する必要があることになります。

弁護士 藤田 進太郎

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