弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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弁護士法人四谷麹町法律事務所 地図

2013-12-23 | 日記

弁護士法人四谷麹町法律事務所

〒102-0083
東京都千代田区麹町5丁目2番地  K-WINGビル7階
TEL:03-3221-7137 FAX:03-3221-7138

新宿通り(麴町大通り)に面しており,四ッ谷駅側の隣はオリコ本社ビルです。
1階はいずみ薬局,2階は富士通訳アカデミー,5階は麹町公証役場です。

■アクセス

麹町駅から徒歩3分
・有楽町線・・・4番出口
四ツ谷駅から徒歩5分
・JR中央線・総武線・・・麹町口
・丸ノ内線・・・赤坂口(1番出口)
・南北線・・・3番出口(四ッ谷口)経由・JR線麹町口
事務所ビルとオリコ本社ビルの間にある時間貸し駐車場をご利用下さい。

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「雇用する労働者」(労働組合法7条2号)

2013-12-23 | 日記

「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「雇用する労働者」に該当するかどうかは,どのような基準で判断すればよいのでしょうか?

 最高裁は「雇用する労働者」に該当するかどうかの具体的判断基準を明らかにしていませんが,『労使関係法研究会報告書』が提示した労働組合法上の労働者性の判断基準が参考になると思います。
その他,会社との業務委託(請負)の契約形式によって労務を供給する者については,新国立劇場運営財団事件及びINAXメンテナンス事件において最高裁が検討した要素との類似性が見られることから,ソクハイ事件中労委平成22年7月15日命令の示した以下の基準が参考になると思います。

 労働組合法第3条にいう「労働者」は、労働契約法や労働基準法上の労働契約によって労務を供給する者のみならず、労働契約に類する契約によって労務を供給して収入を得る者で、労働契約下にある者と同様に使用者との交渉上の対等性を確保するための労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められるものをも含む、と解するのが相当である。
 本件のように会社との業務委託(請負)の契約形式によって労務を供給する者にあっては、
(A)
  ① 当該労務供給を行う者達が、発注主の事業活動に不可欠な労働力として恒常的に労務供給を行うなど、いわば発注主の事業組織に組み込まれているといえるか
  ② 当該労務供給契約の全部又は重要部分が、実際上、対等な立場で個別的に合意されるのではなく、発注主により一方的・定型的・集団的に決定しているといえるか
  ③ 当該労務供給者ヘの報酬が当該労務供給に対する対価ないしは同対価に類似するものとみることができるか
という判断要素に照らして、団体交渉の保護を及ぼすべき必要性と適切性が認められれば、労働組合法上の労働者に該当するとみるべきである。
 他方、
(B)
当該労務供給者が、相応の設備、資金等を保有しており、他人を使用しているなどにより、その業務につき自己の才覚で利得する機会を恒常的に有するなど、事業者性が顕著である場合には、労働組合法上の労働者性は否定されることになる。

 本件メッセンジャーの労働者性を検討すると、
 ① メッセンジャーは会社の企業組織から独立した立場で本件書類等配送業務の依頼を受けているのではなく、会社の事業の遂行に不可欠な労働力を恒常的に供給する者として会社の事業組織に強く組み込まれており
 ② メッセンジャーの報酬等の契約内容は会社が一方的・定型的・集団的に決定しているといえ
 ③ メッセンジャーの収入は、本件書類等配送業務に係る労務供給に対する対価である
とみるのが相当である。
 他方、メッセンジャーは、配送業務の手段の一部を所有し、経費を一部負担しているが、それらは事業者性を基礎づけるものとはいえず、むしろ自己の才覚で利得する機会は全くない点で、事業者性は認め難い。
 以上からすれば、メッセンジャーは、労働契約又は労働契約に類する契約によって労務を供給して収入を得る者として、使用者との対等な交渉を確保するための労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切であると認められ、労働組合法上の労働者に当たる。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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派遣先事業主の労組法7条の使用者性

2013-12-23 | 日記

派遣先事業主の労組法7条の使用者性の判断基準を教えて下さい。

 近時の中労委は,労組法上の使用者性を,以下の基準を用いて判断しています(「労組法第7条の使用者性を判断するための一般的な法理」)。
 労組法7条は,労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進するために,労働者が自主的に労働組合を組織し,使用者と労働者の関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること,その他の団体行動を行うことを助成しようとする労組法の理念に反する使用者の一定の行為を禁止するものであるから,同条にいう「使用者」は,「同法が上記のように助成しようとする団体交渉を中心とした集団的労使関係の一方当事者としての使用者」を意味し,
 ① 労働契約上の雇用主
が基本的にこれに該当するものの,必ずしも同雇用主に限定されるものではなく,雇用主以外の者であっても,例えば,
 ② 当該労働者の基本的な労働条件等に対して,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているといえる者
 ③ 当該労働者との間に,近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存する者
もまた雇用主と同視できる者であり,労組法7条の「使用者」と解すべきである。

 そして,中労委は,労働者派遣法に基づく派遣先事業主の使用者性に関し,労働者派遣法は,明文の規定は設けていないものの,同法上の枠組みに従って行われる労働者派遣の派遣先事業主については,当該派遣労働者(その属する労働組合)との関係において労組法7条の使用者に該当しないことを原則として立法されたと解するのが相当であるとして,派遣先事業主の使用者性を制限的に捉えています。
 もっとも,原則に対する例外として,例えば,
 ① 労働者派遣が,労働者派遣法の枠組み又は労働者派遣契約で定められた基本的事項を逸脱して行われている場合
 ② 労働者派遣法上,派遣労働者の労働条件や雇用について,一定の責任を負わされたり,義務を課されたりしている場合
については,労働条件や雇用に関する団体交渉等を保障する労組法の趣旨にかんがみ,上記の一般的な法理のうち,雇用主以外の場合に関する法理に従い,当該派遣先事業主に労組法7条の使用者性を認める余地があると解するのが相当であるとしています。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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労組法上の「使用者」

2013-12-23 | 日記

「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「使用者」とは雇用主のみを指すのですか?

 「使用者」の判断基準としては,朝日放送事件最高裁第三小法廷平成7年2月28日判決が,「雇用主以外の事業主であっても,雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ,その労働者の基本的な労働条件等について,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合」には,その限りにおいて,右事業主は同条の「使用者」に当たるものと判示しています。
 つまり,雇用主でなくても,基本的な労働条件等について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合には,当該労働条件等との関係に限っては,「使用者」に該当することになります。

 近時の中労委は,労組法上の使用者性を,以下の基準を用いて判断しています(「労組法第7条の使用者性を判断するための一般的な法理」)。
 労組法7条は,労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進するために,労働者が自主的に労働組合を組織し,使用者と労働者の関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること,その他の団体行動を行うことを助成しようとする労組法の理念に反する使用者の一定の行為を禁止するものであるから,同条にいう「使用者」は,「同法が上記のように助成しようとする団体交渉を中心とした集団的労使関係の一方当事者としての使用者」を意味し,
 ① 労働契約上の雇用主
が基本的にこれに該当するものの,必ずしも同雇用主に限定されるものではなく,雇用主以外の者であっても,例えば,
 ② 当該労働者の基本的な労働条件等に対して,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているといえる者
 ③ 当該労働者との間に,近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存する者
もまた雇用主と同視できる者であり,労組法7条の「使用者」と解すべきである。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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教育・研修の内容と業務との関連性,業務に対する具体的な支障

2013-12-23 | 日記

研修等の労働時間性を判断するにあたり,「教育・研修の内容と業務との関連性が強く,それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か」が問題とされているのはどうしてですか?

 研修等の内容が業務遂行上必要な知識技能の習得を目的としており,研修等に参加しないと業務遂行自体が不可能または困難になるような場合は,業務遂行のためには研修等に参加するほかありませんから実質的にみて出席の強制があると評価することができるのに対し,研修等に参加しなくても業務遂行に格段の支障は生じないような場合には,実質的にみて出席の強制があるとまでは評価することができないからです。

 私の個人的な感覚では,研修等の内容が業務遂行上必要な知識技能の習得を目的としており,研修等に参加しないと業務遂行自体が不可能または困難になるような場合は,研修等への参加それ自体が労働契約の債務の本旨に従った労務の提供(業務の遂行)であり,それに要する時間は労基法上及び労働契約上の労働時間に該当するように思えます。
 他方,研修等に参加しなくても業務遂行に格段の支障は生じないような場合には,当該研修等は福利厚生のようなものに過ぎず,研修等への参加は必ずしも労働契約の債務の本旨に従った労務の提供と評価することはできませんから,研修等に要する時間が労働時間と評価されるのは,使用者により明示又は黙示に参加を命じられた場合に限られるように思えます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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