本件は,被告に勤務していた原告が,その退職後,在職中に行った時間外・休日労働につき,労働基準法37条所定の割増賃金等の支払を求めた事案です。
労働時間に関し,タイムカードの打刻がある部分については,その時刻を前提とした時間外労働等を認めましたが,タイムカードの手書きの部分や,原告の手帳の不自然な修正がある日時については,時間外労働等を認めませんでした。
割増賃金の基礎となる賃金については,家族手当,住宅手当が,扶養家族の有無・数,持ち家・沈滞の別や,住宅ローン・家賃の額等の個人的事情に基づき定められたことを窺わせる証拠が全く存しないことなどを理由に,住宅手当及び家族手当の全額が基礎賃金に含まれる(除外賃金には該当しない。)とされました。
原告が管理監督者に当たるかという問題については,業務内容等を検討した上で,管理監督者には該当しないとしています。
除外賃金に関する判断については,やむを得ないでしょう。
管理監督者性に関する判断についても,従来の裁判例と同様,厳格に解釈させており,使用者側としては負けやすい論点です。
結局,労働時間を削る作業が中心となってしまうところ,本件では,それなりに成功したと言えるのではないでしょうか。
とは言っても,付加金(267万余)の支払が命じられていますので,このまま判決を確定させた場合は,金額が高くなってしまうのですが…。
弁護士 藤田 進太郎
労働時間に関し,タイムカードの打刻がある部分については,その時刻を前提とした時間外労働等を認めましたが,タイムカードの手書きの部分や,原告の手帳の不自然な修正がある日時については,時間外労働等を認めませんでした。
割増賃金の基礎となる賃金については,家族手当,住宅手当が,扶養家族の有無・数,持ち家・沈滞の別や,住宅ローン・家賃の額等の個人的事情に基づき定められたことを窺わせる証拠が全く存しないことなどを理由に,住宅手当及び家族手当の全額が基礎賃金に含まれる(除外賃金には該当しない。)とされました。
原告が管理監督者に当たるかという問題については,業務内容等を検討した上で,管理監督者には該当しないとしています。
除外賃金に関する判断については,やむを得ないでしょう。
管理監督者性に関する判断についても,従来の裁判例と同様,厳格に解釈させており,使用者側としては負けやすい論点です。
結局,労働時間を削る作業が中心となってしまうところ,本件では,それなりに成功したと言えるのではないでしょうか。
とは言っても,付加金(267万余)の支払が命じられていますので,このまま判決を確定させた場合は,金額が高くなってしまうのですが…。
弁護士 藤田 進太郎