さてさて「非合法大陸」の話のつづきです。
※この話は1993年の春頃の話で、今から22年も昔の話です。
当時の人気バイク雑誌「ミスター・バイク」を読んでいた人にしか
わからないことも多いと思うので興味のない人はスルーして下さいね。
「非合法大陸」のことは俺も雑誌「ミスター・バイク」で知りました。
ミスター・バイク1993年の4月号で出演者募集の記事を読んだのです。
何っ?! マッドマックスを超える映画にするって?!
佐藤信哉がバイクアクションを監修するって?!
プロ・アマ問わず出演者募集っ?!
これは俺も絶対に参加したい!
マッドマックスが大好きで
佐藤信哉のファンでもあった俺は
この記事を観た時、身震いするほど興奮しました。
当時、上京して1年目の
駆け出しのスタントマンだった俺は、
何としてもこの「非合法大陸」参加するべく
佐藤信哉さんに
直談判しようと
自分のプロモーションビデオを持って
当時、大田区雪ケ谷にあった
ミスター・バイクの編集部にのりこんだのだ!
いやいや、のりこんだ!というのはウソで、
普通に礼儀正しく訪問しました。
もちろん佐藤信哉さんには会ったこともなかったし
雑誌以外では見たこともなかったし・・・
ミスターバイク編集部の人から見れば
俺は突然やってきた怪しい(?)一読者にすぎないからね。
「〇○と申しますが、佐藤信哉さん、いらっしゃいますか?」って。
信哉さんはいなかったので
応対してくれた方に
「非合法大陸の件で…このビデオを信哉さんに渡して下さい。」と言って
自分の名刺とプロモーションビデオと
「非合法大陸に出たい!」という熱い思いの手紙を渡して帰りました。
プロモーションビデオといっても
俺が大阪で8mmフィルムやホームビデオで撮っていた
マッドマックスもどきのバイクアクション自主制作映画の
ええところを繋ぎ合わせただけのもので
今みたいにパソコンでノンリニア編集なんてない時代だったので
VHSのビデオデッキでダビングを繰り返して編集した
ガビガビの映像の粗悪なプロモーションビデオでしたw
まあでも俺の“情熱”とか“行動力”だけは
十分に伝えれる映像だったと思います。
自主制作ながらも
俺と大阪の仲間たちと撮った映像は
そんじょそこらのバチもんマッドマックス映画にも負けてなかったと自負しています。
こんな感じの映像です。
20代前半の俺です!
そして数日後・・・
なんと俺の自宅に佐藤信哉さん本人から電話がかかってきたのです!
ちなみに携帯電話なんてまだほとんど普及していない時代でした。
信哉さんは
「ビデオ見たよ。バイクうめえじゃねえか。」
と言ってくれたと思います。
はっきり憶えていませんが・・・
信哉さん本人からの電話にめちゃめちゃ感激しました!
とりあえず一度会おうということになって
後日会うことになりました。
当時俺は東京都板橋区成増に住んでいたのですが
信哉さんは近くまで来て下さるというので
練馬区か和光市か忘れたけどそのたりの
環八沿いのファミレスで待ち合わせするこになりました。
あの佐藤信哉に会える!
俺は緊張と興奮でガチガチになりながら
当時乗っていた
カワサキGPZ750で
待ち合わせ場所のファミレスに向いました。
ファミレスには信哉さんは先に到着していて席につかれていました。
俺を見つけた信哉さんは
「ようっ!」っと片手を上げてくれました。
おわっ!本物の佐藤信哉や~!
俺の緊張と興奮はピークに達していましたが
できるだけ冷静を装い挨拶して席に着きました。
そこには信哉さんと、
ゴッドスピードの中川真由美さんもいました。
当時俺は25歳、信哉さんは35歳だったと思います。
信哉さんは「非合法大陸」での
バイクアクションのアイデアを
いろいろ話してくれました。
もう22年も前のことなので
何を話したのかは一語一句までは憶えていませんが
一つだけはっきりと憶えているのが
信哉さんが俺に
「お前よう、俺に背格好が似てるから俺の吹き替えやれよ。
髪、伸ばせよ。」って言ってくれたのです。
(信哉さんは非合法大陸にはバイクアクションの監修と
暴走族のリーダー役として出演することにもなっていました。)
俺は内心「えっ、吹き替え?バイクのテクニックは信哉さんの方が絶対上手いのに!」と思ったけど
これは、駆け出しの新人スタントマンの俺にチャンスをくれているんだ!と解釈して
「はい、なんでもやります!」と答えました。
俺は当時25歳でまだまだ
世間知らずの若僧やったけど
勢いとか
情熱だけは凄かったからねー
それにバイクスタントの他にも
飛び降りもバク転でもバク宙でも
格闘技アクションでもなんでもやってたからね!
(今思うと全部中途半端やったけどw)
1時間くらいいろいろ話して
信哉さんは
「また連絡するよ」と言ってハイエースに乗って帰っていきました。
俺は憧れの信哉さんにも会ったし、
こらから信哉さんと一緒に映画も撮れる!
よーし、マッドマックスを超える凄い映画にしてやる!
と熱く誓ったのです!
しかし・・・
その後、しばらくしても信哉さんからは連絡はなく
後日発売されたミスターバイクに
映画「非合法大陸」製作無期延期!の記事が!
俺はショックで目の前が真っ暗になりました・・・
気を落としていた俺に
当時所属していたワイルドスタントの先輩たちが
「残念だったな・・・
でも突然、制作中止になることなんてこの業界ではよくあることだよ。
まあまたいつか凄い話もくるって。」
と励ましてくれました。
信哉さんが連絡をくれなかったことに関してはいい気はしなかったけど
あの時は信哉さんも方々で
怒り狂ったり謝罪したりで大変だったのだろうと思います。
そして数年後、信哉さんとは
また別の業界で
再会することになるのです!
その時は朝まで思いっきり飲みました!
話が長くなるので再会のことはまたの機会に書きますね。
一番上の画像は若いころの佐藤信哉さん
KADOYAの広告です。
めちゃめちゃかっこええ!
バトルスーツと
V-MAXに憧れた人も多いのでは?
信哉さんも今は58歳になられて
ちょっと小太り気味になられてしまいましたがw
まだまだバイク業界で活躍されています。
モーターサイクリスト誌などで
信哉さんの記事を読むとわかりやすいし
やっぱりおもしろいのよ!
でもバイクジャーナリストとしては
異彩を放つ人なので
バイク乗りの中にも
佐藤信哉さんのことをキライっていう人もたくさんいると思います。
人の好み、考え方はそれぞれ違うので
論争はしたくありませんが
俺は佐藤信哉さんのことは大好きです。
その生き方や発言には共感することも多いし
俺の人生に大きな影響を与えた人です。
今でも「オーバー300km/hプロジェクト」のミスターバイク持ってますよ!
信哉さん、またいつかお会いすることがあれば
また朝まで飲みたいです!