MAX真吉の中年真っ只中~!

バイク大好き!映画大好き!
アクション大好き!文鳥大好き!

「ブラック・レイン」 ~撮影編~③

2010-05-30 08:42:03 | 元スタントマン
実は俺、撮影の時までマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアって知らなかったのよ、マジで。

若い頃の俺はブルース・リー、ジャッキー、スタローン、シュワちゃんのような
肉体系アクション俳優にしか興味がなかったからね~
マイケル・ダグラス? カーク・ダグラスは知っていたのでその息子というくらいしか知識がなかった。
アンディ・ガルシアのことに関しては全く知らなかった。

だからリハーサルの時にスタンドインの外人を見て ???

※スタンドイン=スターの代わりに撮影の準備が整うまで、俳優の代役を務める人。
        同じ体つきで同じ衣装を着ているのでカメラのピントや露出、照明の具合を調整するまでの代役。
        日本の映画では助監督がやることが多いけどハリウッド大作などではスタンドイン専門の役者がいるのかな?

この時は映画撮影におけるスタンドインの存在も知らなかったのでスタンドインの外人を見て
「あれがマイケル・ダグラスか?あんまりカッコよくないやん」なんて思ってた。
しかしリハーサルの回数を重ねていよいよ本物のマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアが登場した。

「おわ~、やっぱりカッコええー!!」

2人ともさっきまでのスタンドインの役者とは全然違う雰囲気、ありきたりな言い方やけど“オーラが違う!”

マイケル・ダグラスは劇中の“右目のキズ”メイクをしていたので余計に凄みがあった。
アンディ・ガルシアは「なんっちゅう男前やっ!」っと思った。

外人にしてはちょっと小柄なリドリー・スコット監督が気難しい表情で演出する。
監督の傍らには「PANAVISION」のロゴが入ったでっかい撮影カメラがある。
※ブラック・レインはスーパー35mmフィルム作品

それまで自主制作映画のちっこい8mmフィルムカメラか
大阪のローカルTV制作会社のちゃちな業務用ビデオカメラしか見たことのなかった俺は
このでっかい「PANAVISION」のカメラや撮影用クレーン、もの凄い数の照明をまじまじと見て

「うわ~、なんか夢の世界におるみたいや・・・」と素直に感動していた。

“映画大好き少年”だった俺の夢がほんのちょっとだけ叶った時間。。。

感傷に浸っている場合ではない、しっかり仕事をしなければ!


(リドリー・スコット監督と“PANAVISION”)



撮影準備が整うまで待機してると
野次馬がどんどん増えてきて、制作スタッフさんも現場の整理が大変そうだった。
深夜だというのに野次馬がめちゃくちゃ多かった。

「何の撮影?」「誰が出てるの?」とか聞いてくるので

制作スタッフさんは丁寧に答えたり、時には毅然とした態度で注意したりとほんまに大変そう。

十三という大阪有数の繁華街のため本物のヤ○ザっぽい人が

「今日は健さんおらんのかー?!」 とか 「任侠物やったらわしが出たろかー!」とか言うてくるし。。。

野次馬の中に見たことのある大柄な人物を発見した。
なんと漫才師の“オール巨人”が野次馬と一緒になって撮影を見学してたのだ!
周りの野次馬も「うわー巨人や、巨人や」っていうと
オール巨人は照れくさそうに手をふったりしてた。

十三の夜は賑やか過ぎる・・・さすが大阪。
           
         
          つづく・・・次回「ブラック・レイン」~撮影編~④ お楽しみに!
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「ブラック・レイン」 ~撮影編~②

2010-05-28 21:19:53 | 元スタントマン
待機場所から撮影現場の商店街までのわずか数百メートルの道に、
野次馬がビッシリいてビックリした。
撮影時間は深夜だというのにほんま“天神祭り”みたいな人の量やった。

スタッフさんがバイクが安全に通れるように交通整理をしてくれていたので
道路の中央部分はガラ空き、

そんな野次馬の注目の中、マイクはド派手なウイリーで駆け抜ける! “のぼり”もはためく!

「パァォーーーーーン!!!」

野次馬からは「おおーっ!スゲーッ!」と歓声が上がる。

暴走族の他のメンバーたちもテンションが上がったのか
みんなウイリーやホイルスピンをやりはじめた。
さすがオーディションに合格した連中なので上手い。
マイク以外はみんな初めて乗るバイクなので
ブレーキの効き具合やパワーの出方を試していたのだ。

俺もちょこっとウイリーしたり急ブレーキをかけたりして
RHの特性を体に覚えこませた。

撮影とはいえノーヘルで大勢の人の前をバイクで走り回れるなんてめっちゃ気持ちよかった。


撮影現場の商店街に着き、バイクを停めて撮影現場を初めてじっくり見た。

普段は人々がたくさん行き交う商店街やけど
今夜は撮影のため、商店街は通行止めにされ映画クルー以外誰もいない。

無人の商店街だがネオンは煌々と点灯している・・・
ところどころでスモークがたかれている・・・
商店街の路面には大量の水が撒かれビショビショに濡れている・・・
その塗れた路面に色とりどりのネオンが反射して幻想的な空間を作り出していた・・・

これぞ“リドリー・スコットの映像美の世界”   

っとその時は冷静にそこまでは観察できなかったけど

ただ路面がビショビショに濡らされていたので (散水車で水を撒いていた)

「うわーっ、こりゃ滑るわ・・・」と思った。

ボビーがバイクの動きの説明を始める。
俺たちも歩いて自分の走るコースを確認する。

「とにかく滑るから気をつけて下さい!」

三上博史に似た男前の通訳さんが(←ほんま俺記憶力抜群かも!)
大きな声でボビーの忠告を伝える。

「足をついてもかまわないので転倒しないように気をつけて下さい!」

ようやくあの砂地でクルクル走らされたオーディションの意味がわかった。
滑りやすい路面でバイクをコントーロールできるというのが条件だったのね。

バイクに乗って何度かテスト走行をした。
ボビーが男前の通訳を通じていろいろ指示をするのだが
やはり8台ものバイクが狭い商店街の中を蛇行したりクルクル回ったりするのは
想像以上に難しいものなのです。
それに路面が濡れて滑りやすいともなれば
暴走族の一人一人が、スピード調整、ブレーキのタイミング、車間距離などを
合わせて走らないと転倒したり、NGを出してしまう可能性が高くなってしまう。

そんな時、東京から来ていた一人が(「とんぼ」に出演してるって言ってた人)
リーダーシップをとってくれて
「もう少しスピード抑えよう」とか「あそこは特に滑るから気をつけて」とか
いろいろ的確なアドバイスをしてくれた。

本当にあの時のアドバイス、リーダーシップには助けられたし感謝しています。
東京の「若駒」に所属してると言っていたけどお名前は残念ながら思い出せない(←俺はしょーもないこと憶えてるくせに!)


路面ビショ濡れで滑るし、チャリンコが邪魔やった。“がんこおやじ”がエエ感じ。
両端の先頭の2人がリーダーシップをとってくれたおかげで撮影は事故もなくスムーズにいきました。ありがとうございました。



さていよいよハリウッドスター☆マイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアを交えての
リハーサルが始まるのであった・・・・

             つづく・・・「ブラック・レイン」~撮影編~③
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「ブラック・レイン」 ~撮影編~①

2010-05-26 23:35:42 | 元スタントマン
いよいよ俺たち暴走族の撮影の日がやって来た。1988年12月初めやったと思う。
ヒルトンプラザに集合し、衣装に着替えてメイクも済ませ
ロケバスに乗って撮影現場に向かった。

撮影場所は大阪市淀川区十三、十三(じゅうそう)の一番大きな商店街(十三栄町商店街)でした。

映画の中ではニックとチャーリーが
心斎橋のクラブミヤコ(今は無きキリンプラザ)から歩いて道に迷った場所という設定なので
心斎橋か道頓堀あたりの商店街と思っていた人も多いでしょうが
撮影場所は十三だったのです。

映画のパンフレットの表紙や
DVDのパッケージやその他のスチール写真にも
「十三ホール」のネオンが映っているので
「あっ、ここ十三や」と気づいた大阪人も多いでしょう。
大阪をよく知らない人にはわからないでしょうが・・・。


(「十三ホール」をバックにポーズを決めるニック・コンクリン、渋い!)


ロケバスから降りて初めて自分たちの乗るバイクと対面した。

「おおーっ!GSX-R400とRH250や!」 (GSX-Rが3台、RHが5台、DVDで再確認しました)

※バイクに興味の無い人にはよくわからないでしょうが・・・
スズキGSX-R400は88年モデルの当時バリバリの最新型、
(オールブラックのカラーリング、このノーマルのカラーリングのまま劇中で使用。)
一方、スズキRH250も当時の250ccオフロードバイクの中で最高のパワーを誇ったバイク。
RHは真っ黒にカラーリングされていたが“SUZUKI”の文字だけはくっきり白で描かれていた。

ちなみに“セイトー”のバイクは88年式GSX-R1100、当時最速の市販バイク。
この映画におけるスズキのスポンサー度はかなりのものだったのでしょう。

驚いたことにどの車両もピッカピカのほぼ新車に近いバイクだった。

劇用車担当のスタッフさんが

「凄いやろ、やっぱりハリウッド映画は金のかけ方がちゃうなー」と言っていた。


☆今、DVDを見直して(笑)だんだん記憶が甦ってきたわ。
 このシーンの暴走族は全部で8人で、東京の人が3人、大阪が俺を含めて2人、
 あとの2人は京都か名古屋の人やったかな・・モトクロスのレースをやってるとか言ってたと思う。
 残りの1人はアメリカ人のマイクというスタントマンでした。
 
マイクはこの映画でマイケルダグラスのバイクのシーンのスタントを全て演じてましたが
このシーンでは一番最後尾で黒のヘルメットを被って暴走族の1人を演じています。

マイクはオーディションの時にもいたけど
派手なバイクテクニックを披露していなかったので
「どれだけ凄いスタントマンなんやろ・・」と興味津々やった。

スタントコーディネーターのボビーがGSX-RかRH、どちらかのバイクを選べというので
暴走族役のみんなで話し合って決めた。

チビで短足の俺はGSX-RもRHも跨るとツンツンの爪先立ちやったので
どっちでも不安やったけど結局、車重の軽いRHを選んだ。
マイクは“マイク専用”のRHだった。

各自、それぞれのバイクに跨り、クラッチやブレーキの調整をして準備を始める。
だんだん緊張感が高まってくる。
そこへ美術さんか劇用車担当の人がやってきて
一台一台のバイクに大きな旗を取り付けはじめた。

旗には“蠍”が描いてある。

「なんやこれ・・? なんでサソリやねん・・・?」

リドリー・スコットのセンスなのかアートディレクター(美術監督)のセンスなのかは
わからんけど“ショッカー”っぽいこのサソリマークの意味は今でもわからない。

サソリマークよりもなによりもバイクに大きな旗を取り付けるということは
空気抵抗も増えるし、重心もくるってくるので走りにくくなってしまう。
けど、レースするわけちゃうしまあ大丈夫やろっと思った。

DVDのメイキング映像かなんかでリドリースコットか誰かが
あの“大きな旗”は日本の時代劇での合戦シーンによく登場する
“のぼり”をイメージしたものだと言ってましたね。


“のぼり”をイメージしたというのは納得できるけど“サソリ”の意味がわからない・・・やっぱショッカー?



バイクが置いてある場所から撮影場所までは数百メートル離れていた。
リハーサルの時間が近づき各自バイクに乗って移動して下さいという指示があり
一斉にエンジンをかけた。

「ファオーーーン!」「ファオーーーン!!」(GSX-R)

「パァーーン!」「パァーーン!」 (RH)

高鳴る気持ちを冷静に抑えながら
ゆっくり移動しようとしたところ

アメリカ人スタントマンのマイクがいきなり

「パァォーーーーーン!!!」と急発進し高々とウイリーしたまま走りだした!

俺は唖然とした。

劇用車担当のスタッフさんが

「あいつに勝とうなんて思うなよ。アメリカのモトクロスのチャンピオンらしいで」と言った。

うわー、やっぱ凄いわーっと思いながら撮影場所に移動しました。


        つづく・・・「ブラックレイン」 ~撮影編~②
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「ブラック・レイン 」~衣装合わせ編~

2010-05-24 21:38:38 | 元スタントマン
「ブラック・レイン」の衣装合わせは
大阪駅前の『ヒルトンプラザ大阪』で行われた。

ヒルトンプラザ大阪はブラックレインの撮影時の約2年前に(1986年)オープンしたばかりで
当時の大阪駅前では一番最先端でゴージャスなホテルだった。

おおーっ、ヒルトンで衣装合わせとはさすがハリウッド映画や!っと
高鳴る気持ちを抑え、いざ衣装合わせへ向かった。

「ブラック・レイン」の製作チームはヒルトンプラザの2フロアーくらいを
貸切っていたようで、マイケル・ダグラスやらアンディ・ガルシア、
高倉 健さんや松田優作さんなんかも大阪ロケ中は宿泊していたんじゃないかな。

暴走族役のオーディションに合格した8人全員のことは憶えていないけど
東京から3人、大阪から2人、あとどこから来たのかわからないけど2、3人の役者さんがいた。
お互い挨拶したり軽く会話もした。

東京から来た3人はいかにも悪役俳優って感じで体も大きく顔も厳つかった。
当時放映中のドラマ、長渕 剛さんの「とんぼ」にも出てるって聞いて
「うわー、さすが東京の人は違うわー」っとちょっと動揺したけど
「へえー」っと平静を装った。

衣装部屋に通され、
外人の男女のスタイリストさんらしき人が数人と
日本人のスタッフ、計5人くらいがいたと思う。

暴走族たちそれぞれに、革ジャンやスカジャンのようなものがあてがわれた。
普通の黒い革ジャンもあれば
“唐草模様”のような“刺青”のようなド派手なペイントが施された革ジャンもあったし、
背中に“お経”のような文字の書いてある気持ち悪い(?)革ジャンなんかもあった。

「うわー、なんやこれー!こんな革ジャン着てる暴走族なんかおらんぞー」っとみんな突っ込んでた。

スタイリストらしき人がいろんな柄の革ジャンをとっかえひっかえし
英語で何やらしゃべりながら一人一人の衣装を決めていく。
俺の衣装は一番派手っぽいペイントの革ジャンと黒の革パンに決まった。

今度は外人のメイクさんらしき人がやってきて
俺の顔にメイクをはじめた。
数人のメイクさん同士が何やら英語で会話をしながら、時折、笑ったり
「オオーッ!」とか「ワオーッ!」とか楽しそうに。
俺は英語がわからんので「何言うとんねん、人の顔で遊ぶな」とも思った。

眉毛を太く画かれ“もみあげ”をつけられ最後に“ドクロ模様”の布を頭に巻かれた。

鏡に映った自分の姿を見て

「うわー、変な奴!」 と思ったけど

こういうのがリドリー・スコットのイメージする“ジャバニーズ・バイカーズ”“暴走族”だったのね。

スタッフに写真を数枚撮られて、後日、撮影に臨むことになりました。


“光と影の映像の魔術師”リドリー・スコット監督の映像は暗い映像が多いので
派手な衣装もはっきりくっきりと映っているカットがないのですが、
俺の衣装はこれです(パソコン画面の写真ですみません)



        つづく・・・次回「ブラック・レイン」 ~撮影編~
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A・RA・SHI

2010-05-23 18:15:34 | 日記
大好評の(?)「ブラック・レイン」のお話は今回はお休みします。

今回は昨晩の話を
昨晩、会社の飲み会があって20代~60代の老若男女で飲んでいました。
盛り上がって2次会のカラオケにも老若男女十数人でなだれ込みました。
あらゆる年齢層でカラオケに行くといろんな曲が聴けておもろいですね。

俺は得意の(?) 嵐の「A・RA・SHI」を熱唱しました。
もちろん動きまくり、踊りまくりでです。
いつもは酔っぱらってもその場の雰囲気や空間の広さを冷静に判断して

「ここではバク転は無理やな・・」「ターンはできるな・・」

と考えながら動いてるんですけど昨晩はちょっとやっちゃいました・・・

マイケル・ジャクソンかトシちゃんばりに足を何度も高く上げて
調子にのってたらテーブルの端を蹴っ飛ばしてしまい(軽く擦ったくらいやと思う)
テーブルの上にあったお皿が床に落ちて割れてしまいました。。。

大事には至らなかったけどもしグラスなんかが割れて破片が飛び散って
周りの人にケガでもさせてしまったら大変。

酒に弱くなったのか、目測を誤ったのか、やっぱり歳だわ。
これからはもう少し大人しくはしゃぎます。


ぴーちゃんの体重測定~!
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