昨夜wowowで「連合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」を見ました。中学生の頃にテレビでドキュメンタリー風のアニメと実写を合わせた番組「決断」を見ていたり、戦記物の本を読んでいたので山本五十六氏の言動はある程度知っています。戦闘における航空機の優位性に注目し日米の国力差を知った上で戦略を練られた立派な指揮官だった方です。
この映画で注目して欲しいのは当時の一般国民がいかに戦勝気分に浮かれて政府・軍部の戦争遂行を後押しする世論を作っていたか、この点です。当時の日本では情報統制が厳しく一般国民に対中国戦争における陸軍の硬直した戦況や、日ソ国境で起きた「ノモンハン事件」で陸軍が受けた大損害など知りようもなく、日本帝国軍の連戦連勝を信じていたので仕方のないことかも知れませんが、国民が政府と軍部の戦争遂行を後押しし、それどころか戦線の拡大を要求していました。
さて、現在日本と中国は尖閣諸島をめぐり険悪な状態が続いています。自衛隊の装備や隊員の練度の高さなどで、いざ自衛隊と中国人民軍が尖閣諸島で軍事衝突を起こしても自衛隊が有利と仰る方々がいます。はたしてそうでしょうか?
中国では先の日中戦争を侵略戦争として国民に教育し、一時的にしろ小国日本に国内を蹂躙されたことを恥とし、機会があれば汚名返上を国民に約束しているようなものです。
そのような中国と軍事紛争を起こし中国側に死者が出た場合、中国国民が一斉に蜂起することでしょう、それは日中戦争時の日本国民が戦勝気分で政府や軍部を後押しした世論とは比べものにならないほど強力なものです。そうなった場合に中国共産党に中国国民を押さえることは出来ません、無理です、国民の意思を押さえたら中国共産党が崩壊します。
このような理由で、もし尖閣諸島で軍事衝突が起きた場合は局地的な紛争の範囲を超えて全面戦争に発展する恐れが非常に高いと思いますし、中国軍にはその能力があります。
「な~に、そうなったらアメリカ軍が助けてくれるさ」と考えている方は思い出して下さい、日本は日中戦争で中国だけと戦争をしたわけではありません、中国に武器を提供して軍事的に協力していたのはアメリカです、中国とアメリカは当時は軍事的に現在は経済的jに蜜月関係にありますし、アメリカは尖閣諸島がらみでの中国との戦闘は望んでいません。
紛争を避けるためには外交が必要です、一国の首相たるものは外交の邪魔になるような言動は慎んでいただきたいし、国民はいかなる場合も軍事的な衝突を避けるように政府に要求する姿勢を持つべきです。