くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

よもよも

2016-04-12 06:32:48 | Weblog
なんとも、

寒いわあ。。

昨日はそんなこったで仕事帰りの温泉がしみしみ。

生きかえるぅー、なんて独りごちてた。

性格悪いからだろうけど、

事務所にいて外に雪が降ってると、

夏タイヤに履き替えてたやつは悲鳴。

ずぼらなのかタイミング逃したのかでまだ冬タイヤを履いてるヤツは

イヒヒ・・・。

ってもちろんその中の一人で少数派だけどさ、

言葉にすると

ざまあ見ろってとこかな・・・。

変なトコで意地張ってもだめだワナ。

トホホ・・・。
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夢の彼方に(67)

2016-04-12 00:01:58 | 「夢の彼方に」
 青騎士は、湖の上を走る馬を操り、又三郎を助けようと必死に泳いでいるサトルを狙って、高々と槍を掲げた。雷鳴に似たトッピーの声は、サトルの耳にも届いていた。しかし、又三郎を助けたい一心で、夢中になって水を掻いているサトルは、間近に迫っている青騎士にまるで気がついていなかった。

 ―――歌が、聞こえていた。

 サトルは、泳ぎ始めた時から、風の音に混じって、小さな声が聞こえているのに気がついていた。はじめは、風博士のラジオから、音楽が聞こえてくるのだと思っていた。しかし、浮き輪がわりになっているランドセルの中で、ラジオもすっかり水に浸かっているはずだった。では、どこから聞こえてくるのか? 風に揺られた森の木々が、梢を鳴らしている音ではなかった。風に乗って、だんだんと大きく、はっきり聞こえ始めた歌声は、風博士の家で耳にした、不思議な歌声に間違いなかった。暖かな羽毛に包まれるような歌声は、聞いているだけで心地よく、泳ぎ疲れてパンパンに張った腕の痛さも、すっかり忘れさせてくれた。
 歌がはっきりと聞こえ始めたとたん、青騎士の動きが急にぎくしゃくし始めた。目にもとまらぬ早さで水を蹴っていた馬が、小さな波につまづいて、何度も足を踏み外しかけた。
 トッピーは、鋭い牙を剥きだして、サトルの直前まで迫った青騎士に噛みついた。強い顎にがっちりと青騎士をとらえ、長い体をくねらせながら空高く昇ると、大きく左右に頭を振って、青騎士の鎧をバラバラに噛み砕いてしまった。
 手綱を持つ青騎士を失うと、馬はとたんに勢いを失い、体を硬直させたまま、ズブズブと湖底に沈んでいった。
「中は空っぽだったんだ――」と、湖に落ちていく青騎士の鎧を見ながら、サトルは言った。
 青騎士を退けたサトルは、再びトッピーの背に揺られ、湖のそばに建てられた砦にやってきた。
 急いで又三郎を地面に寝かせると、ほどなくして又三郎は息を吹き返し、口から水を吐き出してむせ返った。
「鍵は開いているはずだぜ」と、トッピーが空を飛びながら言った。「一緒にいてやりたいが、オレの寸法にゃ砦は小さすぎる。なにかあったら、すぐ助けに来てやるよ――」
 じゃあな、と言って、トッピーは湖の彼方へ飛んでいった。
 砦は、三階建てのビルほどの大きさだった。けして大きいとは言えなかったが、ねむり王の城にも負けないくらい、頑丈な城壁に守られていた。しっかりと閉じられた厚い木の扉には、トッピーが言ったとおり、鍵はかけられていなかった。
 サトルは、恐る恐る扉をくぐった。すると、小さな公園ほどの広場には、赤々と燃える火が点々と灯されていた。明かりに照らされた砦の入口は、広場の奥にあった。サトルは、又三郎を抱いて中に入ると、意外に広い砦の中を、迷いながらも小走りで寝室を探した。白いシーツを敷いたふかふかのベッドを、二階の部屋で見つけた。又三郎は、サトルの腕の中で、いつの間にかすやすやと寝息を立てていた。サトルは、起こさないようにそっとベッドに又三郎を寝かせると、足音を忍ばせて、部屋の外に出た。
 城壁に急いで駆け戻ったサトルは、開けっ放しだった扉に重い鉄のかんぬきをしっかりとかけた。砦の中の戸締まりも、すぐに見て回ったが、正面の扉以外は、どこもしっかりと錠が下ろされていた。これで、外から侵入することはできないはずだった。
「くしゅん……」
 砦の階段を降り、一階の広間に戻ったサトルは、ひとつくしゃみをした。気がつけば、頭から足の先まで、どこもかしこもびしょ濡れだった。
 サトルは、砦に用意されていた服に着替えると、地下の食堂に降りていった。パルム大臣が言っていたとおり、食堂の隣にある調理場には、食べ物が山ほど用意されていた。ただし困ったことには、どれも料理をしなければ、おいしく食べられない食材ばかりだった。とりあえず、見慣れた果物を手に取ると、サトルはムシャムシャと頬張った。お腹が一杯になると、夜もすっかり更けているせいで、急に眠気が襲い、サトルは食堂のテーブルに突っ伏したまま、グッスリと眠ってしまった。
 眠りにつく直前、サトルは砦の外観が、自分がよく知っている建物にそっくりなのを思い出した。
(そう言えば、この砦みたいな家に住んでる田舎のおばあちゃんって、なんて名前だったっけ……?)
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夢の彼方に(66)

2016-04-12 00:01:02 | 「夢の彼方に」
「マジリック……」と、サトルが聞いた。
「もともと、オレはこの湖に住んでいたんだ。だけど、大きな体が邪魔をして、どこにも行けなくってね、ずっと退屈してたのさ。たまたま城に立ち寄ったマジリックが、湖で暇そうにしているオレを見つけて、とっておきの手品を考えたから、ぜひ手伝ってほしいって、声をかけてきたんだよ。どんなことをすればいいんだって話を聞くと、しばらくの間、魔法で金魚の姿に変わっていてくれないかって、そう言うんだ」
「それで、一緒に旅をしていたの」
「金魚になってあげてもいいけど、そのかわり、一緒に旅をさせてくれるならって条件で、引き受けたのさ」と、トッピーが言った。「だけど、湖に戻ったら魔法が解けるなんて、ぜんぜん知らなかったよ――」
「見て、トッピー」と、サトルが眼下の湖を指さした。
 湖に目をやったトッピーが、あわてたように言った。
「大変だ、すぐに助けなきゃ。振り落とされないように、しっかり髪につかまって――」
 サトルがうなづくと、トッピーが長い体をくねらせて頭をめぐらし、湖に向かって急降下を始めた。目指す湖には、青騎士と共に湖の中に沈んだ又三郎が、仰向けに気を失って浮かんでいた。
 風を切るように飛ぶトッピーが、大きな口を開け、又三郎をくわえようと近づいた。しかしそのとたん、青騎士が待っていたかのように湖の中から飛びあがり、切っ先が鈍く光る槍を突き出した。トッピーは、すぐに体をねじって避けたものの、又三郎を助けることはできなかった。
「くそっ、どこまでもしつこいやつだぜ……」トッピーが、口惜しそうに言った。
「……」サトルは、トッピーの髪にしがみつきながら、遠ざかっていく又三郎から目を離さず、ぐっと唇を噛んでいた。
 と、再び空に昇るトッピーの背中から、サトルが言葉にならない叫び声を上げ、湖に飛び降りた。驚いたトッピーが怒ってなにかを叫んだが、大きな水しぶきを上げて湖に落ちたサトルの耳には、なにを言ったのか聞こえていなかった。
 サトルは、バシャバシャと水を蹴りながら、ぐったりとしている又三郎の所まで泳いでいった。柔らかな毛に覆われた顔からは、人のように顔色をうかがうことはできなかったが、かすかな呼吸しかしていない又三郎の体は、湖の水よりも冷たくなっていた。サトルは、又三郎が水を飲まないように顔を上向きにさせたまま、空から見えた岸を目指して、泳ぎ始めた。
 湖が、モコモコと泡を吹くような波を起こし始めた。いち早く気配を察知したトッピーが、うねうねと長い体をくねらせながら、鋭い鈎爪の伸びた手で何度も宙をつかみ、青騎士と対決するタイミングを今か今かとはかっていた。
 津波のような波が、湖の上をすべるように立ち上がった。波は、小さなしぶきとなってちりぢりに風に吹き飛ばされると、中から、まとわりつくヴェールを脱ぎ去るように青騎士が姿を現した。
「まさか、こんなわずかの間でまた強くなったのかよ――」トッピーは、雷鳴が轟くような咆吼を上げると、青騎士に向かって矢のように空を駆け下りていった。
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夢の彼方に(65)

2016-04-12 00:00:03 | 「夢の彼方に」
 又三郎が、その背にサトルを守るようにして後ろに下がった。ズルッと舟底をこする音を立て、突き刺さった槍が引き抜かれると、ぽっかりと口を開けた穴から、湖の水がゴボゴボとボートの中に流れこんできた。
 水を掻き出す暇もなく、ボートはみるみるうちに速度を落とし、あっという間に半ばまで沈んでしまった。
「泳ぎは、得意ですか」胸の近くまで水につかった又三郎が、サトルに聞いた。
 腰まで水につかったサトルは、両手でボートをつかんだまま、口を真一文字に結んで、首を横に振った。
「そうですか――実は私も、水は大の苦手なんです」
 えっ? とサトルが言いかけると、ズバンと水しぶきを上げて、湖の中から、青騎士が姿を現した。馬の体当たりを真横に食らったボートは、ゴロリと転覆し、サトルはその勢いで湖に投げ出されてしまった。
 又三郎は、青騎士が姿を現したとたん、槍を突き出す暇を与えず、振り上げた腕に爪を立ててしがみつくと、青騎士と共に湖に沈んで見えなくなった。
「プハッ!」と、サトルが水面に顔を出した。水を含んで体にまとわりつく服の重さに耐えながら、転覆して浮かぶボートまで泳いでいった。ひっくり返ったボートの上で、むなしく空回りしていたスクリューが、プスンプスンと乾いた咳をするように白い煙を噴き、身震いするように動きを止めた。トミヨからもらった帽子は、湖に落ちた拍子にどこかへいってしまった。ボートのそばには、蓋が開いた水浸しのランドセルと、穴の開いた国語の教科書が浮かんでいた。サトルは、なんとか両方とも拾い上げると、片手を伸ばして、ボートの縁につかまった。
 と、月明かりに照らされた遠くの湖面が、ムクムクとうごめくように盛り上がり、徐々に大きな波を起こしながら、サトルの背後に近づいてきた。
 サトルは、後ろから近づいてくる大きな波に気がつくと、振り返ったまま目をそらさず、ボートをつかんでいる手に力をこめて、鼻の下まで湖に顔を沈めた。
 ザバッ――とサトルの体がボートごと水面に持ち上がった。青騎士が襲いかかってきたものとばかり思ったが、すぐにそうではないのがわかった。サトルがしがみついているのは、硬いウロコに覆われた大きな龍の背中だった。
 グングンと空に昇る龍を追いかけて、湖の中から飛び出した青騎士は、ひっくり返ったボートを足場にして、宙を飛んだ。しかし、突き出された槍の一撃は、空を飛ぶ龍にはかすりもしなかった。
 真っ逆さまに落ちた青騎士は、水しぶきを高く上げ、馬もろとも湖の中へ没していった。
「サトル、怪我はないかい」と、どこかで聞き覚えのある声が言った。
「誰、トッピー……?」
「ああ」と、龍が答えた。「とうとう元に戻っちゃったよ。もう少し、金魚の姿のままで旅をしていたかったんだけどね、しょうがないや。またマジリックが城に来たら、一緒に旅をさせてくれるように頼んでみるさ」
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