真の動物福祉牧場を目指して

戦争とロック

前回の続きで「Atom Hart Mother(原子心母)」から入らせて貰います。
このアルバムの二曲目「If」は大学のギターサークルで弾き語りした思い出があり、ラストナンバー「アランのサイケデリックな朝食」もインドでの思い出に経がるのですが、ここでは表題作「原子心母」に絞って語ります。

この曲はよくロックとクラシックの融合と言われ、四部構成になっているのは確かにクラシックっぽいのですが、エネルギーの強さはそれを遥かに上回っており、プログレッシブ ロックの金字塔とも言われてます。

曲のテーマは戦争と、帰還兵の苦悩および葛藤です。
このテーマはフロイドの最後のアルバム「ファイナル カット」で更に深められていますが、これはロジャーの人生経験から生まれた作品です。

「原子心母」の第一楽章のタイトルは「父の叫び」で、ロジャーの父は第二次世界大戦で戦死しております。
これはかなり激しい曲で、爆撃音やバイクの唸り声がフィチャーされており、ロジャーの管楽奏も迫力があります。

第二楽章は「母の登場」で、一転して穏やかなメロディーとなります。
しかし徐々に母は奇怪な発声(スッカッパーとか)で歌い出すようになり、それは男達の声とも混じって戦争を完遂させるムードが高まって行きます。

曲の紹介はここまでとしますが、ロジャー自身も空軍パイロットとして戦渦をくぐった経歴があり、その苦悩と葛藤をロックに昇華できた事は彼にとっては救いで、他の多くの戦争経験者にもその救いは伝わったかと思います。

こうした戦争とロックの経がりは他のアーティストにもしばしば見られ、有名処ではブルース-スプリングスティーンが挙げられます。
彼のアルバムは以前「Ghost of Tom Jord」(トム-ジョードは「怒りの葡萄」の主人公)を紹介しましたが、これよりもずっとポップで明るいアルバム「Born in USA」でベトナム帰還兵としての自らの経験を歌っています。

スプリングスティーンはフォーク-ロックが基調で、フォークの神様ピート-シーガーをカバーしたアルバム「Seeger Sessions」も聴き応えがあります。
そこでも、シーガーの曲の中ではそんなに多くない戦争のフォークソング(古えの歌)を特にカバーしており、彼のブルース シンガーとしての立ち位置をよくアピールしています。

もう一人フォーク-ロックのアーティストを戦争と絡めて紹介したいと思います。
ニール-ヤング(バッファロー スプリングフィールド)はオリンピック開会式(バンクーバー)のトリを務めたほどのベテラン アーティストで、「Living With War」というアルバムを2000.9.11のすぐ後に出しています。

ヤングはヒッピーとして徴兵から逃れて戦争には行きませんでしたが、周りの友達の多くが戦争のスティグマ(烙印)を抱えて生きるのを、自分の事のように歌っております。
特に一押しの曲は「After the Garden」で、「ボンボン野郎が回す政府なんかいらない 腐った臭いの戦争もいらない」と歌い出し「ガーデン(楽園)が消え去った後に人々は何を語るだろう」というのがサビとなる渋い反戦歌です。

イラクやシリアでは楽園が消え去ってしまい、アフガニスタンも昔はシャングリラと呼ばれた楽園でしたが、ソ連が革命を輸出して戦渦に呑み込まれてしまいました。
この戦渦は今でも渦巻いており、中村哲さんのNPOグループがこれからどうなるのか心配です (母が継続的に支援してる)。

話しが逸れたついでに物語に経げますと、希聖と沢東は共にイヤというほど戦渦をくぐって来ており、そうした人物を描く上で私は「戦争とロック」を参考にしますが、現実をより深く知る為に本でも勉強しなければと思ってます。

最後にまた歌に戻り、日本にも戦争を歌った骨のあるアーティストが居たことを紹介します。
河島英五('52~'01)はヤングと同世代の元ヒッピーで、平和だった頃のアフガニスタンを旅して歌を作っています。
「モサクどんの運動会」ではアフガンでの米ソ冷戦を歌っており、モサクとアメサクが勝手に他人の庭で運動会を開いて、住民はエライ迷惑やわと大阪人らしいウィットをもって歌ってます。

骨のあるアーティストとして、アメリカのジョニー-キャッシュ('32~'03)も外せません。
彼の「Drive On」はベトナム帰還兵への応援歌で、苦悩や葛藤を乗り越える為のパワーを持たせようとする歌です。
これほど破天荒な歌もなかなか無いかと思え、Spotifyなどのアプリでタダで聴けるので是非聴いてみて下さい。






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