だいぶ「世界観」の前置きが長くなりましたので、そろそろ物語の登場人物を描きたいと思います。
章立てとしましては第一章「三」以来、「参」「酸」「惨」「傘」「散」「賛」と用いて来ましたが、第二章は「産」にするつもりです。
それは人類史上類を見ない「産次制限」を描くからで、これ程ムボーな政策が人民に押し付けられた歴史は、物語として深く刻み込まれるべきだと思います。
「産次制限」によって数千万人の「闇っ子」が産まれ、この政策は36年で弊害が大き過ぎるとして廃止されましたが、今でも「闇っ子」は心に闇を抱えたまま生きています。
中国政府は「闇っ子」の数を1300万人としていますが、この数は真の「闇」を照らし出しているとは言えず、実際にはその倍は居るとされています。
この「真実」は未だに、論文や文芸作品では描き出されていませんが、漫画「闇っ子」がそのリアルを垣間見せてくれます。
これは Kindle でタダ読み出来ますので目を通して頂きたく、物語の下敷きにもしたいと思います。
主人公の少女は農村の「闇っ子」で、そこの小学校は監視がユルかったので彼女は潜り込んで教育を受けられました。
しかし弟が産まれると彼女は当然の様に捨てられ、これは農家では致し方ないコトでした。(男しか家を継げない)
11才で「闇業者」に売られた少女は、売春宿に落とされる所をロリコンの金持ち男によって救われます。
そこで彼女は上手く立ち回り寵愛も受けますが、結局は金持ち男の妻に憎まれ滅ぼされてしまいます...
まったく救いのない物語のようですが、最後に彼女は逞しく立ち上がり、幼くして捨てられた「闇っ子」たちを世話する施設を立ち上げます。
これは勿論アンダーグラウンドの孤児院で、彼女を含めみんな非合法な活動で資金を得ますが、管理社会の中国で戸籍がなければそれは致し方ないコトでした。
この「闇っ子」組織のリーダーと成った彼女は、元々の姓「徳」は残して下の名を「流河」と改め、「遊女の女神」徳流河(ドゥルーガ)を名乗るように成ります。