へるしーな日々

            やーやの日記
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汲む

2010-09-04 11:17:30 | Weblog

敬愛する、茨木のり子さんの詩に 「汲む」 という作品がある。
大人になるということは~ から始まる、この詩を思い出させてくれたのは、ネッ友のバジルさんのブログで、

駐車場を逆送してきた相手と向き合い
逆切れする相手に、ひょっとして、自分のほうが間違っていた?と思い、
言い返すこともままならず、帰宅して落ち込んでしまう・・・

と、いう記事を読んでからです。
世間にはいろんな人がいます。逆切れする相手に あなたが間違っている!
と言えなくて、あとでくやしい思いをすることもあります。
ひょっとして、自分のほうが間違ったの?と自省することも多々あるやーやです。

直接関係があるわけではないのだけど、なぜか、この詩が浮かんできたのです。
今日は、この詩をゆっくり味わいます。
バジルさんも、お気が向いたら一度お読みくださいね~

 汲む
 ―YY

大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始るのね 墜ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなかった人を何人も見ました

私はどきんとし
そして深く悟りました

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇  柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
える弱いアンテナが隠されている きっと……
わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです 

 茨木のり子さんの本

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