経営破綻した米シリコンバレー銀行本店にある看板=13日、カリフォルニア州サンタクララ(EPA時事) © 時事通信 提供 経営破綻した米シリコンバレー銀行本店にある看板=13日、カリフォルニア州サンタクララ(EPA時事)

 【ワシントン時事】米シリコンバレー銀行(SVB)と米シグネチャー銀行の経営破綻は、年金基金による運用資産の見直しにつながる可能性がある。全米各州の公的基金だけでなく、日本や韓国、スウェーデンの基金も関連資産に投資していた。リスク回避の傾向が強まれば、世界の投資マネーの流れに影響を及ぼしそうだ。

 日本の厚生年金や国民年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の公表資料によると、昨年3月末時点でSVBファイナンシャル・グループの株式を時価総額にして約238億円、債券を約199億円、シグネチャー銀の株式は約114億円保有しており、合わせて約550億円に上った。

 世界最大級の機関投資家であるGPIFの運用資産総額は約196兆円で、破綻2行の関連株式などの保有比率は全体の0.03%にとどまる。ただ、岸田政権は看板政策「新しい資本主義」の実現に向けてGPIFを活用する方針で、今回の破綻が将来の投資計画に水を差す恐れもある。

 韓国の国民年金公団(NPS)は昨年末時点でSVB関連の株式を約2320万ドル(約31億円)保有、スウェーデン最大の年金運用会社アレクタは2行に約11億ドル(約1480億円)投資していたとされる。地元メディアによると、いずれも運用資産全体に占める割合は小さい。

 ただ、アレクタのビリング最高経営責任者(CEO)は米メディアに「今回は投資家として大間違いだった。この教訓を踏まえて対応を決める」と、リスクの高い資産に対する投資行動を検証する必要があるとの認識を示している。