麻生財務相が「森友学園」をめぐる国内メディアの報道姿勢について、「森
友の方がTPPより重大だと考えている。これが日本の新聞のレベルなの
か!」と批判したとか。きょうの本ブログでは、この麻生氏のトンデモ発言
について取り上げようと思っていた。だが、日々書きつづるブログには、そ
れなりのつながりがあり、つながりから来る成り行きというものがある。き
のうの記事とのつながりから考えて、成り行き上、無視できないネット記事
を、きょうの朝見つけた。急きょ当初の方針を変更し、きょうはこの記事
(現代ビジネス3月30日配信《「佐川氏証人喚問」と「金正恩電撃訪中」
報じられないそれぞれの核心》)を取り上げることから始めよう。
さっそく問題にしなければならないのは、北のドンの訪中を「(北と中国の)
どちらが望んだのか」ということである。きのう本ブログで、私は次のよう
に書いた。この訪中は、中国側の招待に応じて、北のドンが(あくまでも受
動的に)行ったものだ、と。しかしこの記事の筆者・長谷川 幸洋氏は、反対
に、「正恩氏(北のドン)が中朝会談を望んだ」ために、この訪中は行われ
たと記すのである。
氏がこの見解の根拠としてかかげるのは、朝鮮中央通信が伝えた「正恩氏の
あいさつ要旨」である。それによれば、北のドンは「我々の訪問提案を快諾
してくれた習近平国家主席に感謝している」と述べたという。今回の訪中は、
あくまでも北朝鮮側の「提案」によって行われたというのである。(この訪
中は習近平側の要請に応じたものだとする朝日新聞の記事を、長谷川氏は無
根拠だとして強く批判し、「今後、北朝鮮問題では朝日の報道を信用しない」
とまで言い切っている。)
すると問題になるのは、北のドンが訪中の「提案」を行ったのはなぜか、つ
まり「正恩氏が中朝会談を望んだのはなぜか」だということになる。長谷川
氏によれば、米国のトランプ大統領は、米朝首脳会談を受け入れながらも、
対話派と目されたティラーソン国務長官を更迭し、強硬派のポンペオ中央情
報局(CIA)長官に交代させた。さらにマクマスター大統領補佐官も更迭し、
後任に同じく強硬派のボルトン元国連大使を起用した。
北のドンはこの人事をみて「5月に予定される米朝会談が不調に終われば、米
国は軍事攻撃に踏み切るのではないか」と震え上がったのだ。そのために中国
に頭を下げてでも、冷え切っていた関係を修復し、できれば中国を味方につけ
て米国の軍事攻撃を回避しようとしたのだ、というのである。
うむ、たしかに良くできた話だ、・・・と言いたくなるが、説得力がいま一つで
ある。この話の発端となる「根拠」が、「朝鮮中央通信が伝えた『正恩氏の
あいさつ要旨』」だけというのが腑に落ちない。朝鮮中央通信といえば、国
内向けの宣伝色が強い報道機関である。対外的な宣伝の意味を持つとしても、
それはあくまで「宣伝」の域を出ず、キム体制翼賛的なバイアスが掛かって
いると見なければならない。ある意味、これは北の報道の常套手段なのであ
る。「我らが首領様が、隣の大国から呼び出されてはるばる出向いた」とい
うのでは、どうにも様にならない。(とはいえ「我らが首領様が米国の軍事
力にビビって、助っ人を頼みに中国に出かけた」というのも、これはこれで
充分カッコ悪い話なんだけれどね。)
ところでこの記事は、そのタイトル(「佐川氏証人喚問」と「金正恩電撃訪
中」報じられないそれぞれの核心)が示すように、佐川前理財局長の証人喚
問の問題点についても言及し、佐川氏の答弁の、そのマヤカシの核心部分を
グサリとえぐり出している。私には、こちらの話題のほうがずっと読み応え
があるように思えた。TPPなんかよりもこっちのほうが問題だと思う読者は、
ぜひこの記事を一読されるよう、強くおすすめする。
友の方がTPPより重大だと考えている。これが日本の新聞のレベルなの
か!」と批判したとか。きょうの本ブログでは、この麻生氏のトンデモ発言
について取り上げようと思っていた。だが、日々書きつづるブログには、そ
れなりのつながりがあり、つながりから来る成り行きというものがある。き
のうの記事とのつながりから考えて、成り行き上、無視できないネット記事
を、きょうの朝見つけた。急きょ当初の方針を変更し、きょうはこの記事
(現代ビジネス3月30日配信《「佐川氏証人喚問」と「金正恩電撃訪中」
報じられないそれぞれの核心》)を取り上げることから始めよう。
さっそく問題にしなければならないのは、北のドンの訪中を「(北と中国の)
どちらが望んだのか」ということである。きのう本ブログで、私は次のよう
に書いた。この訪中は、中国側の招待に応じて、北のドンが(あくまでも受
動的に)行ったものだ、と。しかしこの記事の筆者・長谷川 幸洋氏は、反対
に、「正恩氏(北のドン)が中朝会談を望んだ」ために、この訪中は行われ
たと記すのである。
氏がこの見解の根拠としてかかげるのは、朝鮮中央通信が伝えた「正恩氏の
あいさつ要旨」である。それによれば、北のドンは「我々の訪問提案を快諾
してくれた習近平国家主席に感謝している」と述べたという。今回の訪中は、
あくまでも北朝鮮側の「提案」によって行われたというのである。(この訪
中は習近平側の要請に応じたものだとする朝日新聞の記事を、長谷川氏は無
根拠だとして強く批判し、「今後、北朝鮮問題では朝日の報道を信用しない」
とまで言い切っている。)
すると問題になるのは、北のドンが訪中の「提案」を行ったのはなぜか、つ
まり「正恩氏が中朝会談を望んだのはなぜか」だということになる。長谷川
氏によれば、米国のトランプ大統領は、米朝首脳会談を受け入れながらも、
対話派と目されたティラーソン国務長官を更迭し、強硬派のポンペオ中央情
報局(CIA)長官に交代させた。さらにマクマスター大統領補佐官も更迭し、
後任に同じく強硬派のボルトン元国連大使を起用した。
北のドンはこの人事をみて「5月に予定される米朝会談が不調に終われば、米
国は軍事攻撃に踏み切るのではないか」と震え上がったのだ。そのために中国
に頭を下げてでも、冷え切っていた関係を修復し、できれば中国を味方につけ
て米国の軍事攻撃を回避しようとしたのだ、というのである。
うむ、たしかに良くできた話だ、・・・と言いたくなるが、説得力がいま一つで
ある。この話の発端となる「根拠」が、「朝鮮中央通信が伝えた『正恩氏の
あいさつ要旨』」だけというのが腑に落ちない。朝鮮中央通信といえば、国
内向けの宣伝色が強い報道機関である。対外的な宣伝の意味を持つとしても、
それはあくまで「宣伝」の域を出ず、キム体制翼賛的なバイアスが掛かって
いると見なければならない。ある意味、これは北の報道の常套手段なのであ
る。「我らが首領様が、隣の大国から呼び出されてはるばる出向いた」とい
うのでは、どうにも様にならない。(とはいえ「我らが首領様が米国の軍事
力にビビって、助っ人を頼みに中国に出かけた」というのも、これはこれで
充分カッコ悪い話なんだけれどね。)
ところでこの記事は、そのタイトル(「佐川氏証人喚問」と「金正恩電撃訪
中」報じられないそれぞれの核心)が示すように、佐川前理財局長の証人喚
問の問題点についても言及し、佐川氏の答弁の、そのマヤカシの核心部分を
グサリとえぐり出している。私には、こちらの話題のほうがずっと読み応え
があるように思えた。TPPなんかよりもこっちのほうが問題だと思う読者は、
ぜひこの記事を一読されるよう、強くおすすめする。