ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

麻生大臣のトンデモ発言

2018-03-31 10:26:10 | 日記
森友文書改ざんと、TPP報道とに関する麻生財務相のトンデモ発言。きょう
はこれをテーマに書くことにしたい。この話題は、テレビのワイドショーで
はだいぶ取りあげられたようだが、新聞の社説でこれをテーマに取りあげた
ものは一つもない。論評に値せず、ということなのだろう。ネットの評論サ
イトでは、「ゲンダイDIGITAL」がこれを取りあげている(3月30日配信
《麻生大臣は間違いだらけ “恫喝”答弁で晒した底抜けの厚顔》)。なかなか
力のこもった評論である。麻生お大臣に対する批判はこれでトドメを刺した
と言ってよい。

「ゲンダイDIGITAL」に掲載されたこの記事は、麻生お大臣の発言が「間違
いだらけ」だと指摘することに主眼をおいている。この記事によれば、お大
臣の発言は、
(1)「TPP11というのは日本の指導力で締結された」、
(2)「茂木大臣(敏充経済再生相)が0泊4日でペルーを往復していたが、
日本の新聞には1行も載っていなかった」、
(3)「日本の新聞のレベルはこんなもんだな」
というものだが、事実はどうかというと、
(1’)TPP11はまだ「締結」されていない。
(2’)茂木大臣がTPPの署名式に出席した場所は南米ペルーではなく、隣
国チリの首都・サンティアゴである。
また、TPP署名式に関する新聞報道について見れば、朝日新聞は10日付で
1行どころか4段組みでデカデカと報道している。毎日新聞、読売新聞など
も詳報した。日本の扱いの大きさは他国に引けを取らない。

「ゲンダイDIGITAL」の記事は、こうした事実を列挙した上で、ジャーナリス
ト・斎藤貴男氏の次のような意見を紹介している。
「『盗っ人猛々しい』とはまさにこのこと。そもそも、TPPを進める政権
の正当性が今問われているのだから、優先して扱うべきは森友問題です。行
政の信頼を失わせた連中がTPPなんて大それたことを推し進めようとして
いることが大間違い。民主主義をぶち壊しておきながら、経済連携を語る資
格はありません。気に食わないことを反射的に罵倒するような議員は、職を
辞すべきだと思います」

つまり、民主主義の価値を守ることのほうがずっと大事なのだから、これを
ぶち壊すような森友文書改ざん事件のほうをこそ、メディアは「優先して扱
うべき」だというのである。
「ゲンダイDIGITAL」の記事は、そんな基本も理解できない低能お大臣の
(3)の発言をとらえて、「日本の大臣のレベルはこんなもんだな」とお
ちょくっている。

反論する余地のない完璧な論理の展開だが、天邪鬼の私はこの記事をうけ、
あえて一つ問題を提起したい。今、どこかの国の政府が、民主主義を蔑ろに
して、独裁の度合を強めているとしよう。この政府のトップ、つまり独裁者
は、ところが国際的な舞台での交渉術に長け、貿易交渉を成功させるなどし
て、国家経済に大きく寄与し、国民生活を物質的に豊かにしているとしよう。
にもかかわらず、国内的にはこの独裁者は不人気で、民主主義の信奉者たち
によって今にも政権の座から引きずり降ろされようとしている。しかしこの
独裁者が政権を去れば、この国は再び貧乏国に舞い戻り、国内には失業者が
あふれると予想されている。

さてこの場合、あなたは民主主義よりも生活の物質的豊かさのほうを重視し
て、この政権の存続を望むだろうか。それとも、物質的価値よりも民主主義
の価値のほうを重視して、この政権を打倒しようとするだろうか。

北のミサイル攻撃から国民の安全を守ります!このキャッチフレーズに乗せ
られて、つい最近の総選挙のとき、独裁的な安倍自民党に1票を投じたの
は、我が日本の国民である。彼らは民主主義の価値よりも、我が身の安全保
障のほうを重視したのだ。この「国難」を乗り切れるのは、やり手の安倍さ
んしかいない、と。

人はパンのみにて生くるにあらず。人はパンだけで生きているのではない。
パンよりも大事な精神的価値というものがある。ーーこれは昔々イエス・キ
リストがいったとされる言葉であるが、あなたはこの言葉をどう受け止める
だろうか。

この問題は、掘り下げていけば、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
の「大審問官」のテーマにたどり着く。「大審問官」の問題にまで射程を広
げると、ことが大事になりすぎるので、きょうはこれまで。


コメント
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