7月24日NPO法人光と風は令和5年度通常総会を開催しました。4議案とも承認されましので報告します。
また、総会の終了後、復興と観光でまちを元気にする集い(ミニ円卓会議)を開催しました。
第1号議案
事 業 報 告 書
令和4年7月1日より令和5年6月30日まで
特定非営利活動法人 光と風 理事長 渡邉 義美
- 事業報告の経緯
本法人は、東日本大震災における被災者聞き取り調査記録集「語り継ぐいいおか津波」の考えのもと、旭市及び隣接地域の復興観光まちづくりに寄与することを目的に活動をして来ています。
令和4年夏、コロナ禍もやや沈静化が見え始め、対面による総会も開催でき、コロナ禍以前に戻れるかと安堵しつつありました。しかし、震災から12年を経過し、風雨にさらされ老巧化が目立つ保存中の仮設住宅を解体するのか、それとも修繕し展示公開を継続するのか。重要な分岐点に直面しても、なかなか決心がつきません。
そこへ仮設住宅を展示している場所の地権者から、本法人へ無償で土地の譲渡(寄付)する申し出が届きました。それに呼応するが如く、「ちばのWA地域づくり基金」から助成金の話が舞い込んできたのです。令和2年末にNPO法が改正され、不動産の寄付が税法上の優遇措置の対象となることを知りました。天の声が「修繕し公開展示をする道を選べ」と聞こえます。
助成金で仮設住宅を塩害防止の塗装をしました。合わせて、宅地に残されていた不用品の整理やゴミや雑草を処分し、更地にして耕し、菜の花の種をまきました。目標は、仮設住宅と津波被災の場所での「3.11の集い」開催です。菜の花が咲き、竹の灯篭の献灯。万葉集の第一首「こもよ みこもち ふくしもよ みぶくしもち この岡に 菜つます児 家告らせ 名告らさね」に応え、飯岡津波の犠牲者の芳名を読み上げ。「震災を振り返る―モノが語り部ひろば」として「モノひろ」をお披露目ができました。
仮設住宅と津波跡地の一体的利活用を目的とした「モノが語り継ぐプロジェクト」として、助成金の継続が決まりました。それを原資とし、水道の配管工事を行い、4月~5月に開催された「2023あさひ芸術祭」の展示会場の一つ(仮設住宅 3.11震災遺構)として活用してもらいました。現在、夏・ヒマワリの苗を約2,000本植えたところです。
阪神淡路大震災の「はるかのひまわり」、上皇の御歌「贈られし ひまはりの種は 生え揃ひ 葉を広げゆく 初夏の光に」に因みますが、ヒマワリは「緑肥」、開花後すき込みことで土地改良に資することも選定理由です。ところで、地域の人口減少・高齢化は加速されている一方、在住外国人は増えています。このような社会環境の激変が、本法人の活動へ大きな影響を与えることは必定です。黄色いヒマワリの花言葉「未来をみつめて」を心にして、復興観光まちづくりの活動を次世代へバトンタッチを志向しています。
- 事業実施報告
- 東日本大震災メモリアルとその教訓を活かした防災教育に関する事業
- いいおか防災教室
令和2年からの新型コロナウイルス感染症で「防災教室」は休止してきましたが仮設住宅の修繕が終了し、また自粛要請の解除に伴い令和2年末、再開しました。個別的なオファーに対応したほか、団体としては、R3年11月9日千葉市花見川区の民生委員28名を対象に行いました。7月以降の活動の予約として、R4年7月7日地域づくり協議会「ふらっと」11名、8月3日江戸川大学隈本ゼミ6名などを、日程等を調整しいます。
- 復興かわら版
第68号と、69号を発行しました。各号6000部発行、旭市飯岡地区は全戸配布、旭地区及び干潟地区、海上地区は区長会経由で町内回覧を行っています。また、本法人が主催等の各種イベント等で、その都度、配布しています。
- 復興まちづくりに資する事業
復興お土産品として地元の産品を活用し、製造・販売する活動は、飯岡菓子研究会が道の駅「季楽里」を中心に活動を行っています。
- 復興観光に資する事業
- 紙芝居劇団「ふく」の活動
*3.11 ライオンズクラブ(刑部岬) 3.11集い(モノひろ)
*千葉県生涯大学校(銚子)
*旭市社協(飯岡地区・三川・・・)
- 旭市防災士・サービス介助士ネットワーク
コロナ禍以降活動は事実上休眠状態でしたが、7月19日、千葉県消防学校(市原)の研修会へ参加協力する予定で準備中です。
- 飯岡土人形保存会
「ドガミシモ飯岡土人形まちづくり隊」に移譲し、2023あさひの芸術祭(あさげー)2023年4月1日~5月7日において、第7会場 仮設住宅 3.11震災遺構(観覧 土日祝10時〜17時)出展者は、本法人会員 モンゴルマン斉藤俊一でした。
- 郷土史料の活用
「飯岡助五郎」に関して、郷土の民話紙芝居を作成できないか企画しました。
「義経伝説と佐貫城」、「頼朝による九十九里の地名の由来」など、検討中です。
「飯岡石」に関する小冊子を編集中です。
- 旭地域における円卓会議を運営する事業
円卓会議の運営方針を継承する意味を込めて、7月24日、総会終了後、ミニ円卓会議を開催する予定で順次しています。
- その他、本法人の目的を達成するために必要な事業(仮設住宅の活用)
- 仮設住宅の設置場所の地権者からの土地無償譲渡・所有権移転登記
法務局へ法人所有として登記が完了しました。
旭市萩園字下山1409-2 宅地 663,14㎡
1409-5 宅地 24,31㎡
- 租税特別措置法第40条による承認申請手続きについて
税務署へ、税法の優遇措置を申請は最終段階にあります。ただし、地域では、改正NPO法の適用が初例のため、手続きが遅延しています。会計年度を越えると、更に、書類が追加しなくてはならないかもしれません。
- 仮設住宅の修繕、保存・敷地の一体的活用
「ちばのWA地域づくり基金」からの助成金2回を活用しています。
2019千葉台風・豪雨災害支援基金第5次助成 助成金額250,000円
2019 千葉台風・豪雨災害支援基金第 6次助成
2023年4月1日から9月30日まで 助成金額393,000円
- 他団体との交流
- 旭市文化祭への参加
令和4年11月5日から6日「海への会」として「旭市を文化の盛んなまちへ」として展示で参加しました。
- 千葉県生涯大学校東総学園の講座
令和4年11月16日「地域活動実践者との意見交換会」で文化・芸術でまちおこし *読み・書き・歌い・語り継ぐなど活動報告を行い、ボランティアの実践例として、紙芝居劇団ふくによる上演を行いました。
以上
第3号議案 令和5年度 事業計画書
令和5年7月1日から令和6年6月30日まで 特定非営利活動法人 光と風
事業展開の基本方針
◆「子育てしやすい自治体」ランキング(東京圏30位、千葉県内7位)
毎年6月、東洋経済新報社から都市データが公表されています。「子育てしやすい自治体ランキング(東京圏)」は1位、2位は千葉県の印西市、流山市、そして、旭市は渋谷区に次ぐ30位!なお、前年は圏外でした。「住みよさランキング」「財政健全度ランキング」を千葉県内37市で比較しました。 それぞれ県内20位・22位。財政の「収支」評価は、全国2位!!県内1位!!住みよさにおける「安心度」6位、「利便性」10位。でも「財政力」「将来負担」はともに32位、「快適度」33位。なお、人口は10年ごと1割減少と予測されていた。また、「子ども(15歳未満)」3人に対して「高齢者(75歳以上)」4人いる感情になります。
◆旭市の特徴
「病床数・医者数」はともに鴨川市に次ぐ2位だが、平均寿命は男・女がそれぞれ32位・29位。そして「刑法犯罪率」は最も少ない大網白里市の1.8倍も高い4位。「地価」は1位の浦安市の20分の1以下の安い35位、一方、「水道料金」は最も安い習志野市の2倍以上も高い6位。
◆旭市地域防災計画の現状分析
「着実に回復」と総括し、「東日本大震災の教訓を生かし、旭市をより住みやすく安全なまちにする」と記述していていることは、旭の特徴と整合しません。
◆地域おこし協力隊
旭市でも昨年秋、始まりました。旭市のHPにある隊員からのコメント「10月より地域おこし協力隊に着任・・・大阪生れの大阪育ちの長江純一・・・。主な任務は、移住者・定住者へのサポート、フォローアップ」。そして、「まずは、旭市のことを知る事、旭市の皆さまのことを知る事」と述べている。この姿勢は期待できると思われます。ところで、総務省の資料『協⼒隊導⼊の効果』として、協力隊・行政・地域の「三⽅よし」が下記の通り提示(改編)されています。
○⽣き甲斐があればこそ ○⾃⾝の才能・能⼒を活かしたやる気がでる ○熱意と⾏動⼒が地域に⼤きな刺激を与え ○⾏政ができなかった柔軟な地域おこし策が生まれる。従前の失敗を繰り返さないため ○斬新な視点(ヨソモノ・ワカモノ)が肝心だ。その最終ミッションは ○住⺠が増えることによる地域の活性化
◆旭市の協力隊設置要綱
「人口減少及び高齢化が進む本市」とした上で、解決策を「市外の人材が地域の資源を活用した活動を行うことにより地域力の維持強化を促進、定着・定住を図る」(抜粋)。主な活動は「商品開発」「移住者の受け入れ」「地場産業の振興」「都市との交流」「住民の生活支援」を列挙しています。
◆統計あさひR4年版
人口データによれば、出生数が減り、死亡数が増えていますが、転入も転出も増えたため、人口減の速度が遅くなりました。その主原因は外国籍者の動態。転入者に占める外国籍者の割合は前年の2倍以上42%に急増したのです。ところで、JICAが、日本社会を維持するため、20年後は現在の約4倍の外国人労働者が必要と試算していますが、すでに旭市の地場産業では先取ししているのでしょう。
◆第2期旭市総合戦略
「東日本大震災を契機として、地域住民やNPO・ボランティア団体による地域貢献活動が活発(になった)」と位置づけた上で、「住み良い地域社会を築くため、各種イベントを通して、住民相互のふれあいを深め、自主的な活動を支援し、市民参加型まちづくりに取り組む必要性」を指摘しています。その際、まちづくりにおいて「円卓会議」が極めて有効であることを指摘させてください。
◆地域コミュニティの崩壊の防止策
『旭市国土強靭化計画』によれば次の3点、事業計画立案の柱でもあります。
- 被災経験を風化させない
- 地域の連帯感やコミュニティの醸成
- 有形無形の文化財を通じて郷土への愛着や誇りを育む郷土教育
- 東日本大震災のメモリアルとその教訓を活かした防災教育に関する事業
- 「復興かわら版」の発行
被災経験を風化させないため、後世へ語り継ぐ灯を絶やさない活動として年2回以上の発行を目指す。
- 「防災教室」
2023年9月1日(防災の日)は関東大震災百周年であり、防災教室へ依頼の件数が少しずつ増えつつある。
- 飯岡へ来る受入型
◇ 7月 7日(金) 南房総市冨山地区 10名
◇ 8月 3日(木) 江戸川大学隈本ゼミ 6名
- 講師派遣の出張型
◇ 7月19日(水) 千葉県消防学校(市原市)
◇ 9月 2日(土) 台東区防災フェスタ 関東大震災百周年
- 11語り継ぐいいおか津波集い
2024年3月11日(13周年祈念)。実施:仮設住宅と津波跡地の一体的利活用「モノが語り継ぐプロジェクト」。会場:飯岡(萩園)震災を振り返る―モノが語り部ひろば(モノひろ」。菜の花畑(千葉県の花、花言葉:小さな幸せ)。内容:黙祷・献花・献灯・唱名など
- 復興まちづくりに資する事業
- 土産品の開発・販売を中心として来た事業
- 飯岡菓子組合の活動の支援を継続する。
- 浅草今戸焼にならい飯岡でも制作されていた「飯岡土人形ドガミシモ」を継承。三人官女や五人囃子などの制作に発展できないか検討
- 地域の伝統的な子ども遊び「ひいな遊び、ドーロクジン」を復活
- 日本国籍減少・外国籍増加の社会環境変化に対応する検討
- 地域おこし協力隊とのコラボ
- 未交渉、円卓会議の範囲で
- 復興観光に資する事業
- 防災教室に寄与するツーリズムを担う紙芝居の活動
- 紙芝居劇団ふくが紙芝居上演活動支援
10月以降 旭市社協 (飯岡地区・三川)計6回 上演
- 新作オリジナル紙芝居の作成を検討
- 天保水滸伝外伝 ―助五郎と大漁節― (試作中)
- 海成りした佐貫城 ―義経― (検討中)
➁ 文化・芸術でまちおこし
- 有形無形の文化財を通じて郷土への愛着や誇りを育む郷土教育
- 小冊子「飯岡石」の編集と発行を検討中
- あさひの芸術祭(あさげー)の活動に協力
- 本年度は準備年、統廃合後の小中学校の跡地再利用を検討
- 旭地域における円卓会議を運営する事業
地域のビジョンが、隊員の夢やスキルとのミスマッチが生じるリスク回避に、地域の連帯感やコミュニティの醸成が不可欠であり、円卓会議は効果的である。
- 7月24日、総会終了後、ミニ円卓会議を1回目として複数回開催
- その他、この法人の目的を達成するために必要な事業
- 仮設住宅と津波跡地(モノが語り部ひろば)の一体的利活用
「ちばのWAの助成金」を原資として「モノが語り継ぐプロジェクト」に取り組む。
- 7月29日(土) いいおか花火大会。新旧のお盆の中間、迎え火と送り火と位置づけ、会場の隣接地「モノひろ」を関係者へ開放
- 阪神淡路大震災「はるかのヒマワリ」運動や土地改良、風害・塩害の耐久性を検討し、ヒマワリ約2千株を選定
- ヒマワリを緑肥としてすきこみ、秋、コスモス、冬、水仙、春菜の花を選定。「モノひろ」を花と緑で飾り、防災教室における心の癒しのエリア
- 他団体との交流
旭市文化協会へ「海への会」を通じて、旭市文化祭等の活動に積極的協力