皆さんは「茨城空港」を知っていますか?
羽田空港や、成田空港の慢性的な混雑を少しでも解消しようと、茨城県の小美玉市にある「航空自衛隊百里基地」の一部に民間機を就航させ、関東の第三の空港としての機能を目指す国策の一つです。開港予定までは残り2年をきっている今が旬の空港です。
さて、私が小川町に移り住んで、約2年となりますが、こちらに来るまで、茨城空港の事など何一つ知りませんでした。名古屋出身であり、京都、東京と生活をしてきた私にとって、空港といえば当然、名古屋空港、関西空港、羽田、成田空港くらいしか知りませんし、地方空港といっても北海道の新千歳空港くらいしか思い浮かびませんでした。
そんな私が何故、茨城空港と関係を持つようになってしまったのか?
それは、小川町商工会の提案した「おみたまブランドプロジェクト」に参加したからです。
空港ができて、茨城への観光客が増える期待があるのに、日本中に誇れる地元の特産品がないのは非常にもったいない、そんな気持ちから、商工会が有志を集い、始まったのがこのプロジェクトです。
現在我々の先輩がこのプロジェクトを立ち上げてから、すでに6年の月日が流れています。
おかげさまで、このプロジェクトは「日本一高級なプリン」「世界が認めたヨーグルト」など、話題性が豊富で、テレビ、新聞など、多岐に渡る活躍を見せ、昨年はつくばと水戸にパイロットショップを1店舗づつ展開し、また、物産展に参加すれば即日完売という実績を残し、ある程度の成功も収めているように思います。
今後の展開としましても、日本中からオファーがある中、とりあえず福岡や名古屋での販売が今年から始まる予定もあります。
さて、「おみたまブランド」での大きな実績を残した商工会ではありますが、果たしてこれだけで茨城空港に人が集まってくれるのでしょうか?私はそうは思いません。特産品だけで人が集まるのであれば、まちおこしなんて、非常に簡単な事のはずです。
そこで、飛行場は空に関係しているし、まちおこしの一環として、スカイスポーツでもやろうかと、商工会関係者だけでなく、小美玉や石岡の様々な職業の有志が集まって百里バルーンクラブを結成しました。
バルーンクラブはその名の通り、熱気球を楽しむ団体です。大きな熱気球が空を飛ぶ姿は、多くの人の目を引きますし、なにより、隣の栃木県と茨城県の協力で、大きな大会を運営していたので、以外にも身近なスポーツだったのです。
このクラブの活動は主に、イベント毎に熱気球の体験搭乗をしたり、小学校での理科の実験に呼ばれたりと、地元からの注目は非常に大きいようでした。
しかし、一つだけ弱点があったのです。
熱気球は風の少ない早朝での運営が絶対条件であった為、イベントによっては午前3時に小川を出発することも多く、それが1週間近く続く事もあったのです。
さすがにこんな状況だと、いくらガッツのある有志が集まったとはいえ、年々参加者は減り、最終的には3~4名で運営する状況になってしまいました。
考えても仕方がないので、苦肉の策として、昨今の報道でも騒がれているとおり、道路財源などの問題で、茨城空港は税金の無駄遣いだと、しきりに叩かれています。この不要の空港を、絶対必要な物にするにはどうすればいいのか。答えなどあるわけありませんが、先輩の一人が大きな野望を持ち上げました。
「茨城空港を日本初のローコストキャリアの飛行場に出来ないだろうか」
ローコストキャリアとは、簡単に言えば、作業の効率化を向上させ、低い運航費用を実現し、低価格でサービスが簡素化された航空輸送サービスを提供するシステムです。
つまり、機内食などのサービスを行なわず、スタッフの人数を減らして、コストを安くおさえる事により、低価格で外国に行ける様になるのです。私がざっとネットで調べた限りですが、バンコク~チェンマイ間1300円というびっくりする記事や、また、茨城でこれを行なった場合バンコクまで1万円を切るのではないか、という情報まであるようです。
しかし、ローコストキャリアを誘致したいなどと言っても、誰に対して、どのようにアプローチすればいいのでしょうか?もちろん、日本初の試みである為、誰一人知る由もありません。全てが八方塞がりなのです。正直、夢のまた夢でしかありませんでした。
そのころ、「これでは熱気球のガス代、トラックの維持費、パイロットの人件費など、運営にかかるコストの支払いが厳しい、次の大会を最後に活動停止をしようか。」と、メンバーからの声も上がり、やむなく、2008年の11月に栃木県の茂木で行なわれる日本ホンダグランプリを最後に活動休止で執行部では決定しました。(現在も活動しています)
しかし、この最後の大会でとんでもない奇跡が起こりました。
なんと、この大会に偶然にもアジアナンバー1のローコストキャリアエアラインであるエアーアジアの関係者が来ていたのです。
実は、茨城空港が一般の住民になかなか浸透していなかったので、イベントに来られるお客様に少しでも知ってもらおうと、茨城県にお願いして「2010年茨城空港開港」と気球に大きく書いてアピールしていました。
それを、偶然にエアーアジアの関係者が発見し、大会運営本部に「茨城に空港ができるのか?」 と、問い合わせをしてきたのです。
運営本部は、すぐに大会に参加していた百里バルーンクラブのスタッフを招集し、ついに、ローコストキャリアのエアーアジアXとのパイプが出来てしまったのです。
ここから先、茨城空港をローコストキャリアにする計画の早い事と言ったら、尋常ではありませんでした。県の空港対策課にアポイントをとり、事情を説明すると、3月には数名の議員さんがマレーシアに渡り、茨城空港のローコストキャリア化について話し合いを行い、5月半ばには、ほぼ決定した様な報道もされたからです。
最後に、私は思います。
おみたまブランドにしても、このローコストキャリアにしても、成功の秘訣は行動した事にあるのではないかと。もちろん初めから成功するなど考えてもみませんでしたが、何かしらアクションを起こせば、まわりの状況が変わり、物事は進んでいく事を私は学びました。失敗を恐れず、町の為にいい事だと思うことはどんどん行い、町全体をひっぱていく事、これこそが青年部のあり方ではないでしょうか?
お祭りや各種イベントなども、もちろん重要な青年部活動ですが、部員一人一人のキャパシティーを増やし、多くの事を経験させ、若者を一回りも二周りも成長させる事が、今の不要と言われる商工会にとって、一番大切な事だと思います。
では、我々にはいま何が出来るのでしょうか?
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