とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

音楽千夜一夜 ベルリオーズの「ファウストの劫罰」の聴き・観比べ

2017年04月26日 | 音楽千夜一夜

  正月に、暇に飽かしてNet検索をしていたら、下記のDVDが引っかかった。値段が1170円の安売りとあって、ポチってしまった。しかし、これはすでにNHKで放映された時に当時はVHSに録画し見ていたこともあって、ほったらかしていた。その後、My Blog(音楽千夜一夜 「The Making of the Ring 」ニーベルングの指輪が出来るまで その1)述べた時に、レヴァインのリングの演出が2012年のRobert Lepageで、どこかで聞き覚えのある名だと、調べるとNo.6の小澤征爾と斉藤記念オケの1999年松本での演出者だった。それで改めて、下記DVDの演出者を見ると、My Blog(今夜も夜更かしオペラ メータのニーベルング指輪ハイライト)でそれこそおどろき桃ノ木山椒の木ではないが、2007年のメータとバレンシアオペラのびっくりRingの演出を担当したCarlus Padorissaだった。

 そこで今回、改めてどちらも20世紀最後の1999年に演じられた、「ファウストの劫罰」の観比べをした、合わせ手もちのCDの聴き比べもしてみた

No.7の1999年20世紀最後のザルツブルグ音楽祭で上演された、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」だ。この曲のジャンルが、どのようなものかは定見はない。それこそが、枠を突き破った天才ベルリオーズの天才たる所以なのだろう。私の手持ちの三省堂の「クラシック音楽作品名辞典」では「独唱・合唱・管弦楽の曲」に分類されている。「The Penguin Guide」では単位「Vocal Music」として扱われている。この舞台はCarlus Padorissaの才能が全開した舞台がただただ素晴らしく、のちのRingとは違い「奇をてらったところ」が微塵もなく、作品に忠実にむしろベルリオーズの音楽を生かし、そこにかれの発想の広がりを取り入れた舞台はザルツブルグ祝祭劇場の横幅の広さを十分い生かし、しかもオペラハウスの高い天井空間を生かした、地獄への落ちるシーンでは映像・照明を効果的に使い、解りやすい演出で驚嘆させられた。

1999年松本では、1992年 ストラヴィンスキー 歌劇「エディプス王」1993年 オネゲル 劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」の歴史的名演に匹敵する素晴らしい舞台だった。ザルツブルグよりは主役の歌唱力演技力は文字通り、「オペラ」としての素晴らしい出来で、音楽的にはザルツブルグよりもまさるものの、わが録画したDVDはVHSからのダビングもあって音質はおとり、願わくは再度NHKの最新技術で、再放送を願いたい。(これがなぜBDとして市販されないのかが不思議だ、できれば火刑台上のジャンヌダルクも)ただ舞台に限れば、パドリッサの演出に軍配を上げる。決してルパージュの演出が悪いわけではなく、パドリッサの発想の飛躍が素晴らしいだけだ。

 この歴史的に素晴らしい両舞台に我がNHKはスポンサーとして名を連ねていながら、再放送をしないのは納得できない。最新の技術を駆使してリメイクして再放送を望みたいところだ。

 私の手持ち一覧 

 私がこの曲を全曲聴いたのは、1992年にサラリーマンになって、財布に余裕ができて、円高になり輸入盤のCDが安くなってからだ。しかも最初のCDはNo.4のシャルル・ミュンシュのモノ録音の2枚組だった。ステレオはその後に入手したNo.3マルケヴィッチの指揮する全曲だった。だがこの時までは、この曲の全曲を通して聴いたことはなかった。しかしこの二人の指揮者はLP時代の中学生の時から、今日まで聞き続けている好きな指揮者だ。またミュンシュ指揮するベルリオーズの幻想交響曲は、私の2番目に手にしたステレオLPだった。(1番目はワルターの運命+未完成)

 No.4はミュンシュの通例で、モノラル・スタジオ録音でありながら、Live録音さながらの熱気に包まれた爆演で、突き進む演奏がすさまじい。それに反してNo.3はあくまでもクールで、「フランス」そのものに冷たい(作品も演奏者に対しても)PENGUINガイド≪1996販)ではベルリオーズの独創的なスコアーから多彩な色彩を生み出し、素晴らしい効果的な音を作り出している。また歌手、合唱ともに優れた演奏とベタホメしているが、2006年度版ではNo.1が登場したことで、ここでは1973年録音のPhiips盤をすべてにおいて上回る名演としている。確かにこのデービスの演奏は、英国人でありながら、ベルリオーズ作品に情熱をもって取り組んだ指揮者の集大成だけにトロイの人から幻想交響曲までベルリオーズ6作品12枚CDの選集はどれも一聴の価値はあるが、私はNo.3のが上だと思っている。

No.2はマーラーの交響曲全集で、当てた日本コロンビアが二匹目のドジョウ狙いで版権を売り渡さずにライセンス契約で売り出したもの。トロイの人が抜け、レクイエムとテデウムが加えられた11枚組だが、私の安物のセットから出る音では、アナログかデジタルか?の音の違いはあまり関係がなく、演奏として出される曲へのアプローチが評価の対象で、ミュンシュの録音よりは良いが、聴く価値は今のところ他のものよりは少ない。

No.5は1973年録音のこのCDは38歳のOzawaが世界のOzawaとしてボストン交響楽団のシェフとして世界に躍り出た記念碑的なCDだ。特に主役3人が素晴らしくとくにエヂット・マティスのマルガリーテはベルリオーズは場違いな気がしたが意外に良いのに驚いた。私はマルケビッチ盤の次に推薦する。躍動感のある演奏がすべてだ。

 

    Berlioz,Hector   La damnation de Faust        
                   
  Con Orch   Time Faust Mephistoheles Margurite Choir Maker Rec Year
1 Davis,Colin London Sym 132.08 Giuseppe Sabbatini Michele Pertusi Enkelejda Shkosa Sabbatini,Shkosa LSO Live 00/10/15-17
2 Inbal,Eliahu Radio-Sinfonie Orch Frankfurt 128.07 Denes Gulyas  Robert Lioyd Maria Ewing Kolner Rundfunkchor BRILLIANT 1989/02/16-18
3 Markevitch,Igor Orch Lamoureux 112.52 Richard Verreau Michel Roux Consuelo Rubio Cho Ellisabeth Brasseur DG-Double 1958/00/00
4 Munch,Charles Boston Sym 121.20 David Poleri Martial Singher Suzanne Danco Danco,S RCA 7940-2 1954/02/21-22
5 Ozawa,Seiji Boston Sym 121.45 Stuart Burrows Donald McIntyre Edith Mathis Tanglewood Fest DG 1973/10
6 Ozawa,Seiji Saito Kinen Orch UK Giuseppe Sabbatini José van Dam Susan Graham 東京オペラシンガーズ DVD-NHK 1999/09/03
7 Sylvani Cambreling Staatskapelle Berlin 146.00 Paul Groves Willard White Vesselina Kasarova Staatskapelle Berlin Chor ARTHAUS

1999/08/25



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