今年のオザワ松本フェスティバルがNHKで放映された。その中にベルリオーズの歌劇「ベアトリーチェとベネディクト」があった。しかし指揮はOZAWA氏ではなくギル・ローズというこれまで耳にしたことのない名前だった。私が年を取ったことにもよるが、小澤+斎藤記念+松本で衝撃的な感動を味わった、火刑台のジャンヌダルク、ファウストの劫罰、オイデプスといったものからは遠くなってきた舞台が続く中、今年こそは、好きなベルリオーズの舞台と期待していただけに残念だった。
しかし冷静に考えれば、私自身はこのNHKで初めて舞台の映像をみた。見たこと自体がこの作品を選んだマエストロ・オザワのすごさだろう。これまでのベルリオーズの作品は、音楽における革命家そのものだった。以前このBlogで私は、フランス大革命=モーッアルト 7月革命=ベルリオーズ パリコミューン=ワーグナーと重ね合わせ、音楽の質そのものがこの3人によって、社会情勢同様に革命的な変化をもたらしたとしてこの3人の作曲家が好きだと述べた。その意味からは、ベルリオーズのこの作品は、これまでの革命的な音楽から自身の老成化のなかで成熟した音楽にかわっている。そのことが小澤征爾80歳がこの時に選んだ曲目として納得できた。ただマエストロ・オザワの醸し出す音楽が聴けなかったのは何としても残念でならない。
初めて見た舞台なので比較対象もないし、私自身にアイデアもない。舞台も、演出も、そして演奏もわかりやすいもので、その意味では一見平凡に思えるが、細部を観れば様々な仕様がなされ、満足の得られた出来栄えだった。
私の手持ち
残念ながら、映像の手持ちはない。絵のないオペラはオペラでないが、CD時代になりオペラものが安価に入手できるようになり、当時ベルリオーズのスペシャリストと名をはせていた、コリン・デービスロンドン交響楽団の演奏を購入した。シェークスピアの「空騒ぎ」が原本だが、「フランス語」を理解できない身には、正直曲の内容理解は乏しかったし、革命家=ベルリオーズの音楽が好きだったものには、この音楽は正直理解できなかった。ベルリオーズらしくない音楽だった。
2003年がベルリオーズ生誕200年の記念年だったが、ベルリオーズスペシャリストであり、私の好きな指揮者だったミュンシュもマルケヴィッチもこの曲を録音せずに世を去り、結局記念新録音はやはりコリン・デービス盤だけだったのでやむを得ず入手したが、やはり絵のないオペラはオペラではなかった。ただこの盤には全曲の対訳がついていた(ただし英語)
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