三大ヒロインオペラを選べと言われたら、好き嫌いはともかく私は、トスカ=カルメン=椿姫を選ぶだろう。この3つの共通項は
ヒロインがテナーとバリトンとで交互に1対で1舞台で渡り合う競演の醍醐味。そしてヒロインは、自殺、殺人、病死と様々だが、死で以て幕がおりる。物語がしっかりしている。主役3人が歌舞伎同様の大見得を切るようなアリアがあることだろう。
私が最初に知ったのはカルメンだった。ただしそれは前奏曲だけだ。アリアとして知ったのは、中学の時親父がステレオを買い込み、歌の好きだったオフクロが17㎝LPのトスカアリア集を買ってきた時だった。たしかカヴァラドッシがリチャード・タッカーでトスカはアイリーン・ファーレルではなかったかと思う。まだ中学の時にはオペラには興味もなく、オペラ全曲を揃える経済的余裕も時間もなく時を過ごした。
それでも子供心にも「星は光ぬ」「妙なる調和」のアリアは美しく思い、記憶に刷り込まれた。
2009-2010年とNHKが気になるトスカを放映した。当初ブログでは2月にメトロポリタンを見たあと、NHKの放映分の感想をと思ったが、結局手持ちの分を含めて、見聞きし夜更かしが長引いた。
プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
プラシド・ドミンゴ(カヴァラドッシ)
キャサリン・マルフィターノ(トスカ)
ルッジェーロ・ライモンディ(スカルピア)、他
ローマRAI交響楽団&合唱団
ズービン・メータ(指揮)
監督:ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ
プロデューサー:アンドレア・アンダーマン
収録時期:1992年7月11-12日
収録場所:ローマ市内ロケ収録
収録時間:114分
画面:カラー、4:3
音声:ドルビーデジタル・ステレオ
日本では2009年3月だが、作成は1992年、ドミンゴもライモンデディも若い。この時は「リゴレット」同様に世界同時中継だったが日本は108カ国に入っていなかった。なぜだ。GNP No3でもオペラ文化度はアフリカ各国以下なのだ。
ローマの歴史遺産を空撮あり接写ありとなめますように撮り続け、カメラワークが落ち着かない。だが音は素晴らしい。メータの音楽が適度に主張し劇の進行を邪魔せずすばらしい。マルフィターノが幾分サロメの役柄を入れ込みトスカの可憐さではなく妖艶さを出している。ドミンゴ、ライモンディともに音だけではこれが最高だと思う。ただし演技は3人がやり過ぎの感あり、画像の流れを殺してしまったきがする。
ローマの映像にハマっているのはカバイヴァンスカのトスカだろう。
プッチーニ:歌劇《トスカ》 全曲
トスカ…ライナー・カバイヴァンスカ(ソプラノ)/カヴァラドッシ…プラシド・ドミンゴ(テノール)/スカルピア男爵…シェリル・ミルンズ(バリトン)/堂守…アルフレード・マリオッティ(バリトン)/アンジェロッティ…ジャンカルロ・ルッカルディ(バリトン)/スポレッタ…マリオ・フェラーラ(テノール)/シャローネ…ブルーノ・グレルラ(バス)/他
アンブロジアン・シンガーズ、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、指揮:ブルーノ・バルトレッティ
演出:ジャンフランコ・デ・ポジオ
制作:〔映像〕1976年10月〔音声〕1976年8月
ただこれは映像がまさり音楽がシンクロしない。
監督 ブノワ・ジャコ
製作 ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ
原作戯曲 ヴィクトリアン・サルドゥ
脚本 ジュゼッペ・ジャコーザ、 ルイジ・イリッカ
撮影 ロマン・ウィンディング
作曲 ジャコモ・プッチーニ
指揮:アントニオ・パッパーノ
出演 アンジェラ・ゲオルギュー(ソプラノ)
、ロベルト・アラーニャ(テノール)、
ルッジェーロ・ライモンディ(バス・バリトン)
2001年ヴェネチア国際映画祭正式出品作品
ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ、ブノワ・ジャコ監督
アンジェラ・ゲオルギューのインタビュー映像
2001年フランス/ドイツ/イタリア/イギリス
オペラ映画としてはこれが1番。ゲオルギューの華が良い。「歌に生き恋に生き」が似合う。ここでのアラーニャはこの弱さが生きる。そしてここでの主役はライモンディだ。前作から8年の月日は役者の凄さがでている。音楽はメータほどではないが、パッパーノも合格点だ。
メトロポリタンとチューリヒ歌劇場の舞台を見た。
・プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
トスカ:カリタ・マッティラ
カヴァラドッシ:マルセロ・アルバレス
スカルピア:ゲオルゲ・ガグニーゼ
堂守:ポール・プリシュカ
アンジェロッティ:デイヴィッド・ピッツィンガー
スポレッタ:ジョエル・ソレンセン
シャルローネ:ジェイムズ・コートニー
羊飼い:ジョナサン・メイクピース
看守:キース・ミラー
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
ジョゼフ・コラネリ(指揮)
照明:マックス・ケラー
衣装:ミレーナ・カノネーロ
装置:リシャール・ペドゥッツィ
演出:リュック・ボンディ
収録時期:2009年9月
収録場所:ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場(ライヴ)
オーソドックスに舞台を作るとなるとドラマの筋書きがしっかりしているだけに、ゼッフィレッリの演出を超えるのは困難だろう。越えようとするところにほころびが出る。マッティラにはマルフィターノの妖艶さもゲオルギューの華もない。普通の女のトスカでは物足りない。ただ、ガクニーゼのスカルピアはライモンディとは違った味を出していた。役柄にあっていた。
芸術劇場- チューリヒ歌劇場“トスカ”(全3幕) -
エミリー・マギー ヨナス・カウフマン
トマス・ハンプソン ワレリー・ムルガ
チューリヒ歌劇場合唱団 チューリヒ歌劇場児童合唱団
チューリヒ歌劇場管弦楽団 パオロ・カリニャーニ
これだけしっかりした時代背景、舞台設定の筋書きのトスカだけに時代読み替えは有り得ないだろうと思っていたら、劇中劇のスタイルでチャレンジしてきた。このことは評価するが、中途半端な仕上がりに終わっている。コスト削減オペラをやるくらいならばコンサート形式のほうがましか?と思う。
何だかんだ言ってもトスカの行き着くところはカラスになる。
絵のないオペラはオペラじゃないと言ってみても、このトスカは例外だ。モノ録音ではあるが今までのものは音としてもこの迫力を乗り越えていないと思う。そして音は悪い、画像は白黒で二幕目だけ、歌舞伎で言うところの一幕見だが、コヴェント・ガーデンの画像とシンクロさすと、やはりカラスは偉大な役者でもあったのだと思う。
・プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
マリア・カラス(トスカ)
ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(カヴァラドッシ)
ティート・ゴッビ(スカルピア)、他
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ヴィクトル・デ・サバタ(指揮)
録音:1953(モノラル)
maria callas at covent garden 1962 and 1964
ジュゼッペ・ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」より
「世のむなしさを知る神よ」
ジョルジュ・ビゼー:歌劇「カルメン」より
前奏曲、「ハバネラ」、第3幕への間奏曲、「セギディーリャ」
マリア・カラス(エリザベッタ、カルメン)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
指揮:ジョルジュ・プレートル
演出:フランコ・ゼッフィレッリ
(1962年11月4日の上演)
ジャコモ・プッチーニ:歌劇「トスカ」より第2幕(全部)
マリア・カラス(トスカ)
レナート・チオーニ(カヴァラドッシ)
ティト・ゴッビ(スカルピア)
ロバート・バウマン(スポレッタ)
デニス・ウィックス(シャルローネ)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮:カルロ・フェリーチェ・チラーリオ
演出:フランコ・ゼッフィレッリ
(1964年2月9日の上演)
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ヒロインがテナーとバリトンとで交互に1対で1舞台で渡り合う競演の醍醐味。そしてヒロインは、自殺、殺人、病死と様々だが、死で以て幕がおりる。物語がしっかりしている。主役3人が歌舞伎同様の大見得を切るようなアリアがあることだろう。
私が最初に知ったのはカルメンだった。ただしそれは前奏曲だけだ。アリアとして知ったのは、中学の時親父がステレオを買い込み、歌の好きだったオフクロが17㎝LPのトスカアリア集を買ってきた時だった。たしかカヴァラドッシがリチャード・タッカーでトスカはアイリーン・ファーレルではなかったかと思う。まだ中学の時にはオペラには興味もなく、オペラ全曲を揃える経済的余裕も時間もなく時を過ごした。
それでも子供心にも「星は光ぬ」「妙なる調和」のアリアは美しく思い、記憶に刷り込まれた。
2009-2010年とNHKが気になるトスカを放映した。当初ブログでは2月にメトロポリタンを見たあと、NHKの放映分の感想をと思ったが、結局手持ちの分を含めて、見聞きし夜更かしが長引いた。
プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
プラシド・ドミンゴ(カヴァラドッシ)
キャサリン・マルフィターノ(トスカ)
ルッジェーロ・ライモンディ(スカルピア)、他
ローマRAI交響楽団&合唱団
ズービン・メータ(指揮)
監督:ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ
プロデューサー:アンドレア・アンダーマン
収録時期:1992年7月11-12日
収録場所:ローマ市内ロケ収録
収録時間:114分
画面:カラー、4:3
音声:ドルビーデジタル・ステレオ
日本では2009年3月だが、作成は1992年、ドミンゴもライモンデディも若い。この時は「リゴレット」同様に世界同時中継だったが日本は108カ国に入っていなかった。なぜだ。GNP No3でもオペラ文化度はアフリカ各国以下なのだ。
ローマの歴史遺産を空撮あり接写ありとなめますように撮り続け、カメラワークが落ち着かない。だが音は素晴らしい。メータの音楽が適度に主張し劇の進行を邪魔せずすばらしい。マルフィターノが幾分サロメの役柄を入れ込みトスカの可憐さではなく妖艶さを出している。ドミンゴ、ライモンディともに音だけではこれが最高だと思う。ただし演技は3人がやり過ぎの感あり、画像の流れを殺してしまったきがする。
ローマの映像にハマっているのはカバイヴァンスカのトスカだろう。
プッチーニ:歌劇《トスカ》 全曲
トスカ…ライナー・カバイヴァンスカ(ソプラノ)/カヴァラドッシ…プラシド・ドミンゴ(テノール)/スカルピア男爵…シェリル・ミルンズ(バリトン)/堂守…アルフレード・マリオッティ(バリトン)/アンジェロッティ…ジャンカルロ・ルッカルディ(バリトン)/スポレッタ…マリオ・フェラーラ(テノール)/シャローネ…ブルーノ・グレルラ(バス)/他
アンブロジアン・シンガーズ、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、指揮:ブルーノ・バルトレッティ
演出:ジャンフランコ・デ・ポジオ
制作:〔映像〕1976年10月〔音声〕1976年8月
ただこれは映像がまさり音楽がシンクロしない。
監督 ブノワ・ジャコ
製作 ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ
原作戯曲 ヴィクトリアン・サルドゥ
脚本 ジュゼッペ・ジャコーザ、 ルイジ・イリッカ
撮影 ロマン・ウィンディング
作曲 ジャコモ・プッチーニ
指揮:アントニオ・パッパーノ
出演 アンジェラ・ゲオルギュー(ソプラノ)
、ロベルト・アラーニャ(テノール)、
ルッジェーロ・ライモンディ(バス・バリトン)
2001年ヴェネチア国際映画祭正式出品作品
ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ、ブノワ・ジャコ監督
アンジェラ・ゲオルギューのインタビュー映像
2001年フランス/ドイツ/イタリア/イギリス
オペラ映画としてはこれが1番。ゲオルギューの華が良い。「歌に生き恋に生き」が似合う。ここでのアラーニャはこの弱さが生きる。そしてここでの主役はライモンディだ。前作から8年の月日は役者の凄さがでている。音楽はメータほどではないが、パッパーノも合格点だ。
メトロポリタンとチューリヒ歌劇場の舞台を見た。
・プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
トスカ:カリタ・マッティラ
カヴァラドッシ:マルセロ・アルバレス
スカルピア:ゲオルゲ・ガグニーゼ
堂守:ポール・プリシュカ
アンジェロッティ:デイヴィッド・ピッツィンガー
スポレッタ:ジョエル・ソレンセン
シャルローネ:ジェイムズ・コートニー
羊飼い:ジョナサン・メイクピース
看守:キース・ミラー
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
ジョゼフ・コラネリ(指揮)
照明:マックス・ケラー
衣装:ミレーナ・カノネーロ
装置:リシャール・ペドゥッツィ
演出:リュック・ボンディ
収録時期:2009年9月
収録場所:ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場(ライヴ)
オーソドックスに舞台を作るとなるとドラマの筋書きがしっかりしているだけに、ゼッフィレッリの演出を超えるのは困難だろう。越えようとするところにほころびが出る。マッティラにはマルフィターノの妖艶さもゲオルギューの華もない。普通の女のトスカでは物足りない。ただ、ガクニーゼのスカルピアはライモンディとは違った味を出していた。役柄にあっていた。
芸術劇場- チューリヒ歌劇場“トスカ”(全3幕) -
エミリー・マギー ヨナス・カウフマン
トマス・ハンプソン ワレリー・ムルガ
チューリヒ歌劇場合唱団 チューリヒ歌劇場児童合唱団
チューリヒ歌劇場管弦楽団 パオロ・カリニャーニ
これだけしっかりした時代背景、舞台設定の筋書きのトスカだけに時代読み替えは有り得ないだろうと思っていたら、劇中劇のスタイルでチャレンジしてきた。このことは評価するが、中途半端な仕上がりに終わっている。コスト削減オペラをやるくらいならばコンサート形式のほうがましか?と思う。
何だかんだ言ってもトスカの行き着くところはカラスになる。
絵のないオペラはオペラじゃないと言ってみても、このトスカは例外だ。モノ録音ではあるが今までのものは音としてもこの迫力を乗り越えていないと思う。そして音は悪い、画像は白黒で二幕目だけ、歌舞伎で言うところの一幕見だが、コヴェント・ガーデンの画像とシンクロさすと、やはりカラスは偉大な役者でもあったのだと思う。
・プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
マリア・カラス(トスカ)
ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(カヴァラドッシ)
ティート・ゴッビ(スカルピア)、他
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ヴィクトル・デ・サバタ(指揮)
録音:1953(モノラル)
maria callas at covent garden 1962 and 1964
ジュゼッペ・ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」より
「世のむなしさを知る神よ」
ジョルジュ・ビゼー:歌劇「カルメン」より
前奏曲、「ハバネラ」、第3幕への間奏曲、「セギディーリャ」
マリア・カラス(エリザベッタ、カルメン)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
指揮:ジョルジュ・プレートル
演出:フランコ・ゼッフィレッリ
(1962年11月4日の上演)
ジャコモ・プッチーニ:歌劇「トスカ」より第2幕(全部)
マリア・カラス(トスカ)
レナート・チオーニ(カヴァラドッシ)
ティト・ゴッビ(スカルピア)
ロバート・バウマン(スポレッタ)
デニス・ウィックス(シャルローネ)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮:カルロ・フェリーチェ・チラーリオ
演出:フランコ・ゼッフィレッリ
(1964年2月9日の上演)
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声も気質も、プリマドンナとして、女性として、なんて勝手な推測をして聴いていました。
ゲオルギューは女性として魅力的ですね。
レオンティン・プライス、レナータ・テバルディ、アントニエッタ・ステッラ、レナータ・スコット、他にカバリエがありますが、これは実演を聴きました。
全盛期でしたから素晴らしかったです。
肥満型のプリマでしたが、魅力を感じました。
相手役はかわいいカレーラスでした。
ニルソンのリサイタルでトスカのアリア、聴きました。レコードでは相手役はコレッリ、これも素晴らしいです。