先日NHKでマエストロ・オザワ80歳 バースディーコンサートが放映された。深夜のこの時間帯に、この放映をどれほどの人が見ているかは知らないが、私は録画をして観た。聴き終わって、当日会場でこの演奏を聴かれた人がとてもうらやましく思えた。この曲をこんなにも激しく熱く演奏されたのは私の手持ちの中にはない。それがまたSeiji・Ozawaを象徴するかのような曲として、アルゲリッチのピアノの出だしのから、音楽の泉が流れ出した。そして彼女のピアノは音楽に対する情熱の激流と変わり、それに押されOzawaの作る音楽は大河となって合唱で終わる。まさにマエストロ・オザワ80歳にふさわしい演奏だった。この20分弱の曲が、なにかマエストロ・オザワの人生を奏でていた。
この曲はMozart の K.505コンサートアリア同様に、演奏者の質が揃わないと、駄作の作品に聞こえるが、演奏者が優れるとこんなにも贅沢な音楽はない。そしてどちらも私はこれまでコンサートで生を聴いたことがない曲だ。でもこの録画で十分満足した。
K.505はこのBlogで掲載済み http://blog.goo.ne.jp/yyamamot7493/e/c2fe7a4c047f5a4652cd943afbe426828
我が手持ちのCD&Lp
上から順に
このCDは、私の記憶ではBeethovenの生誕200年記念全集作成のためにドイツグラモフォンが、カタログの穴埋めに作成したものではなかったか。何せ看板だったカラヤンの録音がない。演奏は、良い意味での教科書、悪く言えば平凡。しかし抱き合わせのヴァイオリン協奏曲はシュナイダーハンとヨフッフムとベルリンの演奏が素晴らしい。次のCDと比較すると、面白い。
ゲバントハウス管弦楽団の創立250周年を記念しての歴史的名演奏シリーズの中の1枚だが合唱幻想曲は録音時に10年の開きはあるが、コンビチュニーの指揮する1960年の録音は上記のウィーンの演奏に比べ古色蒼然とした旧東独のベートンヴェン像が聴ける。また抱き合わせがヴァイオリン協奏曲のピアノ版で、エレガントで女性的なBeethovenの中では異色な作品が、ピアノ版では、それこそ頑固おやじのがちがちの演奏に生まれ変わっているのが面白い。
初めて手にしたこの曲のLP。1957年録音のカールベーム、ウィーン交響楽団、はまさに上記のコンビチュニーとの東西対立時の演奏だ。この聴き比べからは、録音も演奏も当時は東側がすぐれていたと思われる、伝統を引き継いだのはゲバントハウスだったのがしのばれる。
正直このCDはリリークラウスのMozartが聴きたくて購入したもので、合唱幻想曲はおまけ、事実その程度の代物、録音も演奏もこの曲がメインだったら買わなかった。
コンヴィチュニー、べームの演奏を聴いた後にこの、アバド、ポリーニ、ウィーンPhの演奏を聴くと、東西対立が、西側勝利を音楽で示したような、明るさを感じる。(実際の西側勝利はこの演奏の3年後だが)まさにBeethovenが描いたこの曲が「ハレの日の音楽」を示している。ただ演奏はクールでマエストロ・オザワの「熱さ」は感じられないが、すべてにおいて美しい演奏だと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます