カセットテープのPCオーディオ化は昔YAMAHAのUW500が発売されたときにすぐに飛びついて試みた。しかしこれは16bit44kHz仕様であったので、Lpよりはカセット向きと前回の皇帝同様にすでに実証済みだ。しかしLpはジュースでいえばフレッシュパック、カセットは濃縮還元ジュースで基本が違うことからそれに手を加えれば味は落ちると思っていたが、前回の皇帝では音が良く聞こえた。最近SPレコードの復刻にもPCオーディオで採録しDVD化しているのを見かけるが実物を聴いていないのだが効果があるのだろう。
今回は24bit,96kHzで試みた。ベートーヴェンの1番のピアノ協奏曲を初めて聴いたのがいつかは思いだせない。多分FM放送で聴いたのが最初だろう。LP時代には自分では所持していなかった。最初に所持した1番がカラヤン指揮のエッシェンバッハのカセットだった。 カセットはソニーが発売されたときに飛びついて購入したほどで、FM放送の録音には欠かせないものだった。ただオープンテープとは違い長時間録音には構造上の制限があり、編集もオープンデッキのようなつぎはぎができないことから留守録音には不便だったが、我が音楽生活では愛用した。だがそれはもっぱらFM放送の録音用でのことで、音質の点から、LPレコードが優先され、CDが開発されるまでのつなぎでしかなかった。
このカセットも通勤電車で聴くことがもっぱらで家で聴くことはなかったのだが、今回 PCオーディオ化で気付いたことは演奏時間の長さだ。これはカラヤンの意向だと思うが、旋律1つに情緒たっぷりに歌い上げていく、それこそこの曲の持つ古典主義の形式の殻を打ち破るかのようなロマン派の萌芽を最大限引き出した演奏が美しい。特にベルリンフィルの甘味たっぷりの弦の上にエッシェンバッハのピアノの音色が融け合っての美しさは他にあるだろうかと思えるほどだ。それを良しとするかいなかでこの演奏の評価はわかれるが私は良しとする。
私の手持ちあれこれ
私の推薦盤
⑨リヒテル+C.ミュンシュ+ボストン交響楽団:このCDは2枚組で他にブラームスの2番の協奏曲にベートーヴェンのピアノソナタが含まれているが、いずれもがミュンシュがモスクワ演奏旅行に行った折にリヒテルのリサイタルを聴き感激して、ボストン交響楽団に招いた折に録音したもので、当日のLIVEも残されているが、この録音が優れている。とにかくミュンシュのバックにリヒテルのピアノが力強く響き渡り豪快な演奏。まさにエッシェンバッハ+カラヤンの対極にある演奏。(ブラームスは残念ながら指揮とオケがラインスドルフとシカゴで滞在日程の関係で変わってしまい、LIVE版の音のひどさを我慢すればミュンシュが聴ける。) ⑥F.グルダはピアノ協奏曲全集で5番と同じシュタイン+ウィーンフィルとの演奏だが、5番は至極まっとうな優れた演奏だが、1番は自由闊達なテンポの揺れ、装飾音がちりばめられたユニークな演奏で面白い。
その他
⑧リヒテルが「プラハの春音楽祭」でのLIVE録音で1番と3番の協奏曲がセットになっている。録音さえ良ければ推薦したいところだが、何とか聴ける状態では、アンチェルの指揮に興味のある人にはお勧めできる。このCDの解説はリヒテルよりもアンチェルに紙面が割かれている。「悲劇の指揮者」として、68年のソ連軍のプラハ進駐を機に亡命した彼の生い立ちを述べるとともに、C.ミュンシュが彼の演奏を非常に評価していたことから自らの後任としてパリ管弦楽団の常任指揮者に要請したのだが、任が重すぎると断られてしまったエピソードで締めている。彼の最後のプラハの春での「我が祖国」同様に録音の質を越えた名演であることには間違いない。
⑤ギレリスの弾く全集、彼の全盛期の録音だが、当時のソ連社会の技術水準の音で重く明瞭性に欠ける音
④ギーゼキングのそれこそ歴史的なLIVE録音だがそれなりに聴けるが、あえて選んで聴く演奏とは思えない。むしろヒットラー時代のドイツ帝国のラジオ録音が優秀であったことの証を知る演奏
① クララ・はスキルとのバッハ、モーツァルトの2台のピアノのための協奏曲が聴きたくて購入したCDのおまけ。聴きたい曲はモノラル録音でこれだけがステレオ録音だった。
DVD
② 最新の5.1Ch録音とHivsionでの録音、映像ともに鮮明だが、ウィーンフィルとの弾き語りの史上初の全集が売りだが、正直それだけか?グルダの演奏があれば、あえて映像をもとめて選ぶ意味があるかは疑問。
⑦ LD時代の多分1990年代の初めの録音だったと思う。T.トーマスとラローチャとの会話が面白いく、どのように協奏曲が奏でられるかの楽屋話が聴ける。
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