日曜日の深夜、NHKが招聘したNHKホールでのスカラ座の引越し公演のリゴレットが放映された。しかし早寝・早起きの年金生活者の省エネ生活から、録画をし、雨の日はオペラと決め込み今日観る事ができた。
NHKホールの音には期待はしていなかったが、正直、ミキサーが旨かったのだろう、オケの音はこもりがちで多少犠牲にされたが、声が非常にうまく録音され、すばらしかった。結果的には画像も良く改めてNHKの技術・機材の良さをしった。むしろNHKホールで聞くよりは音は録音の方が良かったのでは?と思う。ただスカラの音は会場ではどのように響いたのだろうか。
肝心の舞台だが、これはステージの広いNHKホールを見事に生かした演出だった。特に「影」を効果的に使った舞台が印象的だ。それにバイロイトの訳のわからぬ演出家の自己満足に比べ、まさに「歌舞伎」同様伝統が文化を象徴するかのスカラの良さが出ていた。
主役リゴレットのレオヌッチは、とても70を超えた歌手とは思えない声で、2006年の手持ちのBlu-rayのチューリッヒ歌劇場での公演よりもすばらしいと思った。総合的にも、ジルダ役のエレーナモシュクにしろマントヴァ公爵のデムーロにしても、声も演技もチューリヒよりは勝り、唯一劣るのは、オーケストラの音だった。スカラのオケが悪いと言うよりは、会場の悪さだと思うが、なにせチューリッヒの指揮がネロ・サンテだけに、指揮者の格の違いもあるかもしれない。それにしても、ドゥダメルの指揮とはスカラ座も思い切った起用を行ったものだ。録音からは、先に述べたようにオケの音は抑えたのかあまり良く捕らえていないようだが、テンポ良くまい進してこの悲劇の結末を劇的に終わらせていたのも良かった。
やはりリゴレットはレオ・ヌッチが良い。
私のその他の手持ち
総合的にはスカラの東京公演に劣るが、演出もチューリッヒの中ではおとなしい出来で、このところの定番の時代の読み替えも極端に走らず、サンテの分厚い音楽が聴けすばらしい。ここでのレオ・ヌッチはおそらく心技体ともにBEST?ではないか。惜しむらくは演出に恵まれず、彼の魅力が十分に生かしきれていないが、少なくとも音だけではこれが一番か?
若かりしR.シャイーとウィーンフィル、まさにドゥダメル=スカラと好対照の音楽作り、劇の推進力ではドゥダメルが勝るが、この歌劇の特色であるメロディーの流れはシャイーに軍配を上げる。もっともこのDVDは音楽と映像は別撮りのため、指揮者の資質の比較には意味を成さないが結果はそうなって出ている。
このDVDはオペラ映画の出来としてはすばらしい。
My Blog 今夜も夜更かしオペラ ドミンゴのバリトン も参照してください。(2011/1)
http://blog.goo.ne.jp/yyamamot7493/e/5da4f3ace3ecedb13be42df6521391da
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます