とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

[ガウディーの鍵」を読む

2013年10月27日 | この本は面白い
 

「風の影」と同様と言うか同じ出版社集英社の腰巻の宣伝文句が旨いのか、正直連続空振りの本だった。ある意味自分の思い込みが強すぎたのだろう。風の影は時代設定がスペイン内乱を時代背景とし、ガウディーの鍵は1926年の彼の死は暗殺であるという設定でスタートする物語だ。私の思い込みは少なくとも第二次世界大戦前史となる、スペイン内戦(内乱とするか内戦とするかはその人の歴史観だろう。)が背景であるべきで、ジョージ、オーエルやヘミングウエーとは違う、歴史としてしか知らない作家のスペイン内戦の歴史観を知りたかったのだが、空振りだった。
 「ガウディーの鍵」はそうしたバロセロナの歴史の視点を1928年のガウディーの死=作者は暗殺と解して物語がスタートする点からは、少なくとも歴史背景としてのスペイン内戦は無視できないはずだが、其の部分を意識的に無視してこの作者は宣伝腰巻どおりに「謎と暗号をちりばめ、圧倒的なスケールで描くスペイン発ダビンチ・コード」と言う出来になっている。もっとも圧倒的スケールとは何かと言うと、脇役が日本のやくざの娘が「わび・さび・盆栽」の世界とガウディーの世界を対比し、スペイン人人身売買家業と日本やくざの「金持ち」を示すのだが、スペイン発ダビンチコードの二番煎じであることはいつわりない。

 結論はスペイン人にとっては日本人が太平洋戦争を歴史教科書で総括できないように、スペイン内戦は総括できていない問題を歴史背景として描くのは、映画の1シーンを挿入するようなものだろうが、「ガウディー暗殺」として市電に引かれた事故としてではなく始まる物語を、キリスト教の問題だけで進めるのは無理がありだからこそ謎解きは、文庫本1冊で終わるのだろう。
 その意味ではやはりダビンチコードの二番煎じだ。
 したがって私のこの本の評価は、「この本が面白いか?」だ。



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