とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

猛暑の中で聴く、シベリウスの交響曲全曲

2014年08月22日 | クラシックDVD

 正直暑さに弱い。昨日も一日家に引きこもった。連日の猛暑に参っているが、TVのスイッチを入れると広島の惨事が映し出された、広島は連日の雨のようだ。やはりここ数年の気象状況の変化が気になる。瀬戸内気候として温暖小雨の地域と学校で習った社会科の教科書は書きかえられているのだろうか。TVの司会者、コメンテーターが「広島で過去に起きた災害をもとに対策法ができたのに広島市は何をしていたのか」と非難していたが、この発言こそが「マスゴミ」の所以だし、現場でのリポーターの発言よりも、現場の映像そのものがすべてを語り、リポーターの存在そのものが救助の邪魔でしかないだろう。

 気象異変を感じるのは我家も同じだ。平成元年に都内から現在地に越してきた当初は、夏にはほぼ毎日のように夕立を経験し、そのあとの涼風に都内では得られない心地よさを味わった。それから数年後、夕立は豪雨に変わりBS放送はたびたび画像が乱れ、アンテナ受診から、有線テレビへの加入をやむなくされた(最大の理由はJ-sportsのラグビー中継を見るためだったが)。越した当初は団地内の大きな調整池の存在が、無駄に思え我家の坪単価がこのために負担増になったのかと思った。しかしその後、小手指駅前の水浸し、団地外の住宅での被害、そして調整池の水位状況を目にして、団地開発をし、土地・建物を斡旋してくれた大学時代のクラスメイトへの感謝に変わった。それから数年豪雨は少なくなったが、練馬・杉並地区での豪雨がニュースになった。そんなことが思い出されたニュースの惨状だった。もしその宅地開発業者が自主的な砂防ダム、調整池の必要性の意識が、付加価値として商品価格に転嫁できると判断できたなら?・・・・「マスゴミ」に欠ける視点は資本主義経済・自由主義の選択をした国民に対しては、「自分の財産は自分で守る」が原則であることが前提にすべきで、報道として危険を感じたなら、なぜ報道として自らが木鐸として危険地域の分譲を報道しなかったのか、また行政の怠慢を非難する前に自らの番組にどれだけ木鐸としての意識があるのか。その日に流したTV番組は何だったのか、夕刊記事に「危険ですよ」のお知らせはあったのか、結果の非難は誰でもできる。木鐸としての役割ができないのであれば「マスゴミ」でしかあり得ない。と思いつつTVのチャンネルをビデオに切り替えた。

 過去に撮りだめしていた中に、まさにBSアンテナが再三の豪雨で役立たずになったころ、有線放送に切り替えたときの録画があった。画像にSky-Aのマークがあることからも当時の録画だ。当時のSky-Aは放映時間は早朝、深夜だがそれでもNHKのBS並みにクラシック音楽を放映していた。今回のシベリウスはすっかり忘れていて、整理していた中から出てきたが、この番組ではサバリシュのある意味空白期間ともいえる、スイスロマンド管弦楽団の常任指揮者時代の録画や、ブザンソンコンクール優勝後の佐渡裕がトリノ放送交響楽団とパガニーニコンクール優勝後のカバコフとの共演のベルクの協奏曲など私にとっては「お宝」映像を放映してくれた。どちらもDVDとして市販された形跡がない。

 今日の本題のシベリウスの交響曲全曲は「あけてびっくり玉手箱」の驚きだった。この映像はgoogleで検索してもみあたらない。録音時期は以下の表のとおりだが、映像からは放送局のスタジオで、観客なし。それにしてもセーゲルスタムが常任就任3年目に手中に収めたオーケストラをを先代常任指揮者に明け渡し全曲を分担する企画を承認したのもすごし、それにこたえ競演した二人も凄いことだと思った。中でもオッコ・カムの映像は、1968年第1回カラヤン指揮者コンクール優勝者として脚光を浴び、1982年にヘルシンキフィルの常任指揮者として来日以来、私の記憶ではナクソスレーベルにいくつかの録音が手元にあるが、いわゆるメジャーレーベルから姿を消してしまい過去の人だった。来日時期とこの映像は重なるが、来日時の演奏は当時FM東京のオリジナルコンサートで放送され、オープンリールで録音し、カミサンより廃棄されるまでは愛聴盤だった。今回コンクール優勝後のCDと聴き比べすると、2番はベルリンフィルのつややかさが際立ち、まさにカラヤン的な仕上がりだが、なぜかカラヤンは、下表参照のように1-3番はDGには録音していないのだ。でも映像つきの演奏は、荒れは目立つがむしろそれが却って特徴かもと思ったりしている。

 4,5,7番のシベリウスの個性を引き出したベルグンド演奏は、サウスポーの指揮ぶりを含め、楽しめるが音だけならカラヤンの美しさもなければ、ザンデルリンクの重量感もない。室内楽的なまとまりのある演奏だ。1,6番のセゲルスタムについてはまずは風貌に驚く。ひげもじゃ、腹の出っ張りの「親父」の30年前の姿は、風貌道理にきちんと整理された演奏だった。

本場の演奏という売りは確かだが、音だけ見れば全曲ではやはりザンデルリンクの演奏が私のお勧め。4-7番に関してはカラヤンの美しさに勝るものはないように思える。1番に関しては比較的音が悪くないマルケヴィッチの演奏が分析的で面白い。

 猛暑の中でもエアコンの中で聴くと、シベリウスの音楽もいいもんだ。

 フィンランド放送交響楽団の3代の常任指揮者によるシベリウスの交響曲全曲

 

 

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