とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

1962年 ウィーン芸術週間でのハンスクナパーツブシュのコンサート録画を観て。

2015年11月23日 | クラシックDVD/CD

 ことあるごとに「あなたが死んだら、残るのはごみの山、生きているうちに何とか始末して」と我が趣味の、音響製品、LpレコードLD,CD,DVD etcと音楽関係のスコアー,資料等が目の敵に言われ続けている。すでに仕事を辞めた直後には、もう年なんだからとスキー、アウトドアー用品をきれいに廃棄され、書籍類は転勤のたびごとに、一度も読んでいなかったと、勝手に処分され大喧嘩になったが、今はまともには戦えず白旗状況で数少くなった我が財産のカメラと音楽関係に攻め込んできたことの防戦に必死の状況だ。そんなことから、新規導入も ままならず、久しぶりに、資料的に興味を持っていた、1962年のクナンパーツブッシュ+ウィーンフィルと 1966年のザルツブルグ音楽祭のフィガロの結婚のLiveDVDを買った。

今日はクナンパーツブッシュのコンサートについての感想です。

 高校生時代に学校の図書館で「レコード芸術」なる雑誌を読んでいた。そこに時折「名指揮者は誰だ」的な特集があった。まだ当時は没後ではあるがレコードは現役だった、フルトベングラー、トスカニーニ、ワルターの名が常連で、私が好んでいたミュンシュは関脇ぐらいの扱いで、マルケヴィッチなどは名前すら上がらない状況の中、ウノ某評論家は、ワルターに匹敵する名指揮者としてクナンパーツブッシュの名をあげていた。横綱格指揮者にあったワルターのみがステレオ録音を残していたのでベートーベンを中心に幾枚かのLPは所持し聞いてはいたが、クナンパーツブッシュは聞いたこともなく、大学に入りバイトで稼いだ金で、ウノ某の絶賛したブルックナー8番、ワグナーのトリスタンとイゾルデの前奏曲と愛と死、それにフィデリオを購入したが、いずれもが締まりのない、だらけた演奏で、とても名演とは言い難い代物だった。それ以来ウノ某の評論なるものは無視してきた。

 そんな記憶を持ちながら、今回LIVE録画のDVDをNETで見つけ(存在は以前から知っていたが無視してきた)、ベートーヴェンのピアノ協奏曲4番以外は、すでに聴いていた曲で半世紀前の印象比較もかねて購入した。LIVEとスタジオ録音で演奏が違うのか興味を兼ねて購入した。

 結果はスタジオ録音では修正できたであろうところがLiveゆえにぼろ丸出しの想像以上にひどい代物だ。録画も録音も戦後の復興後でそれなりの技術進化を得た時代だが、エレクトロニクス革命の50年間の差は、それこそ無限に近い差を感じた。肝心の巨匠?クナンパーツブッシュの演奏は、最初のレオノーレ第3番では現在ならば音楽大学での卒業もままならない出来ではないか、テンポのでたらめ(きっとウノ某はこれを哲学的解釈というのだろう)音の不ぞろい、ホルンはモロに音を外す(これは即興的演奏というのだろう)で驚きの序曲だった。

 このコンサートのそれこそ呼びものだったバックハウスを独奏者とした、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番では、巨匠?同士の爺の意地の張り合い音楽の見本。それにしてもクナのリズム感のなさが、すばらしいとでもいうのだろうか?時代にとりのこされたもののノスタルジーか?。お互いにテンポは譲らないジジイの意地の張り合いが終わりまで続く演奏。途中何度もコンマスのウィリーボスコフスキーがバックハウスをみてテンポを調整するシーが見られる。しかもバックハウスの使用するベーゼンドルファーのピアノは響かない。録音の取り方に問題があるのか、ピアノの余韻も感じない。出だしから最後まで指揮者とピアニストの意地の競争で終わる協奏曲。どうしてもバックハウスの演奏姿が見たいならば、後で述べるカール・べームとの共演を薦める。

 最後はビルギット・にルソンを独奏者に、ワグナー指揮者クナンパーツブッシュのお得意とするワグナー、トリスタンとイゾルデの「前奏曲と愛の死」だが、スタジオ録音のLPを所持していたが、ここでやっとまとも(もっともニルソンが敬老精神で合わせているにすぎないのだが=後で述べるべームとのテンポのほうがすこぶるツキの名演)演奏になるのだがそれにしてもウノ某評論家と称する識者は何処がクナンパーツブッシュが世紀の大指揮者というのだろうか?。価値観は時代時代で変わる、しかし「世紀の」という形容詞は時代を超えた普遍性を示す言葉であろう。この指揮者の普遍的な価値観はなんのだと疑問を持って聞き終えるとともに新たなゴミを買ったことを悟った。

(私の手持ちあれこれ)

①はメトロポリタン100周年記念ガラコンサートの中での演奏。No.2-4と同様の遅めのテンポだが100周年の熱気のなかでの高揚感あふれる演奏で映像版として私のお薦め

②はアムネスティーのための募金のためのコンサートLive.これまた人権擁護のコンサートにふさわしい素晴らしい演奏、音のみの私の推薦版

⑥⑦同一音源 来日演奏のアンコール曲 liveの熱気がそのままに雰囲気のある演奏 ⑧はレジェjドの歴史を聴くそれだけ、おとは聞ける程度のもの ⑩⑪私の好きな指揮者の演奏。⑩は分析の結果として音が鳴り、⑪は感性の行きつく先に音があるがテンポはみだれるも決してダレてはいない。そこがクナの演奏との相違。

⑫マルケヴィッチ同様の作りだが映像付きで、シカゴとの貴重な競演Live

     Beethoven  Pf Co No.4

①アラウのベートーヴェンは素晴らしいがとりわけ4番は穏やかな表現がひときわ際立つ。ここでのL.Bのサポートも際立つ私の推薦版  ②③同一音源①同様に素晴らしい。中庸の美しさ  ④音と映像は別撮りに思えるが⑥よりは映像も音楽も出来は数段上 ⑤はこの曲のスタンダード ⑦スタンダードとしては個人的にはお勧め ⑧⑨は同一音源。個人的には面白い演奏だがオケが弱体、その意味では⑩がお薦め ⑪~⑭は好きなはスキルの演奏。その中では⑪が音もよく演奏も素晴らしい個人的には私の一番気に入っている演奏 ⑯、⑰付録

 ①ワグナー生誕200年記念コンサートLive それだけ  ②マゼール得意のWithout Song of Wagner   ③French Wagner の極致 クリュイタンスの音楽が強く美しい  ④全曲の一部切り出しだが美しさはピカイチ  ⑤⑦同一音源。全曲からの切り出し。でも私の推薦版  ⑥は⑧があれば不要  ⑧とにかくこの曲が好きなならば聴くべし。カラヤン没後10周年記念コンサートのLive ジェシーノーマンの声に圧倒されるはず。ニルソンの声がかすむほどの圧倒的な迫力。超推薦版 ⑨-⑩私の好きな指揮者 ⑩⑪は同一音源だが音は⑩が原版で音はこちらが上。バイロイトの出演要請を断ったのはトスカニーニとマルケヴィッチだけ、それにしても贅肉をそぎ落とした、ワグナーは彼にしか出せない音楽。⑫これまた⑩同様のワグナーしかしこちらのワグナーは冷めきっている。⑬⑫の正反対の熱く燃えているワグナー、これが意外と興奮を呼ぶ ⑮⑫と同様の流れ ⑯高校時代にLPで最初に聞いたトリスタン。CD化を機会に購入私のこの曲の原点、アストラットヴァルナイの声がイゾルデの原点。

 

 



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