前述 に述べたように、このところワーグナーを連日、聴いている。きょうのBlogで取り上げたのは、2011年に購入したDVDだ。同じ年に購入した、ズービン・メータのリングの印象が強烈で、ショルティーのリングが置き去りになったので今回あらためて紹介したい。メータのリングは2011/01/19に「今夜も夜更かしオペラ メータのニーベルング指輪ハイライト」と題して記述しました。
このDVDは1965年にBBCのTV番組として製作された、国際的な数々のレコード大賞を獲得した伝説的なレコードの録音現場のドキュメンタリーのDVDだ。今もって我が国のレコード芸術なる雑誌では、ことあるごとに、この録音を推薦盤にしているほどだ。ただ私は、このDVDを観たことで、私の持論である「絵のないオペラはオペラではない」との思いを強くした。したがって、CDの全曲盤の価格が低下した今日でも、この全曲盤は聴いたが、LpでもCDでも所持はしていない。この録音風景ではいかに「音だけで舞台風景を描きだせるか」にプロデューサーのJ.カルショーと指揮者G.ショルティーが苦心したかを中心に映像が編集されている。ただどんなに音で舞台を描こうとしても、聴く者の感性は一様でなく、視覚のとらえた光は音からは得られないことを知った。昨今のバイロイト演出では視覚が音楽を邪魔するが、それを含めて舞台だと思うが、その舞台を音では表せない限界がこのDVDで明らかにしている。そしてこのDVDで、晩年来日時のインタビューかなにかで聴いた、「私は同じ曲を指定された時間で何回でも演奏できる」と豪語したことを思い出した。映像では角笛の出だしの微妙な遅れのだめだし、演奏時間の細かな指示を出すさまが登場した。このDVDはLP時代の記念碑であることには違いないが、「絵のないオペラはオペラではない」
私のコレクションにショルティーの振るオペラDVDはいくつかある。その中ではリヒャルト・シュトラウスの「影のない女」がすばらしいと思った。ウィーンフィルの多彩な音色を精緻に積み上げ、歌手も役柄にはまりゲッツ・フリードリヒの演出も見事で、リングもモノクロでも「絵のあるオペラ」を残して欲しかった。反面、モーツアルトもベルディーもプッチーニも音楽に遊びなく、楽しめなかった。
ただ、ショルティーはバイロイトでリングを振ったのだから、どこかに映像が残っていないのだろうか、やはり絵のあるリングを見てみたい。
このDVDは付録として、リング全曲から、録音効果抜群の部分が70分弱ハイライト集として5.1Chで聴くことができる。
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