2013年度の所沢ミューズの企画公演「Week end」Piano SeriesはBeethovenだった。しかしあまりBeetjovenは好きではないので、清水和音の「傑作の森」の中期、ツィメルマンの後期三大ソナタをパスしてしまい、いまだ実演に接していないオピッツだけを選んでしまった。結論から言えばツィメルマンを選ばなかったのがミスジャッチだと悔やまれる。それこそミューズの常連のツィメルマンゆえに何もBeethovenをあえて聴くほどもと思ったのが失敗だった。
演奏会は当日にプログラムとは逆に前半はNo8,No.3休憩をはさみNo.17,No.14の順に演奏された。これはツィメルマンを聴いていない私の勝手な想像だが、前者のきらめくばかりの感性あふれる美音の響きに抗するため、自らの「地味さ」を払しょくせんがためにの演奏順序の変更なのかと思えた。演奏も「悲愴」も「テンペスト」も出だしの意気込みは感じたが、チラシのキャッチフレーズの「ドイツ正統派の巨匠」は良く言えば、教科書的な演奏なのだろうが、それならばケンプなりバックハウスで十分で、悪く言えばハとするような驚きもなければ、感性もあまり感じられず、使い古した楽譜のカビのにおいをかいだような演奏だった。少なくとも私の世代(年金受給者)にも古臭い演奏と思えた。
アンコールもNHKのピアノ講座の課題のような曲であり、正直楽しめた演奏会ではなかった。
My Collectionの中では、グレン・グールドがお薦めだ。彼のモーツアルトにはうんざりだが、ベートーヴェンは素晴らしい。あたかもオーケストラのような多彩な響きとスケール感で弾き終わる。むしろ彼は指揮者に転向していれば、バレンボイムよりもずうっと素晴らしい指揮者として、バイロイトでワグナーを響かせただろうと思った。彼は世評ではバッハ奏者だが、私はベートーヴェンの彼の演奏のほうが受け入れられる。
個々の演奏ではNo.8、No14は1965年の若きグルダ、No.17はリヒテルだがグールドのベートーヴェンが良いと思う。
アンコール曲(ピアノ・ソナタ 第18番 変ホ長調 作品31-3 より 第4楽章)
早めに会場についたので当日(3/23)売り出し開始とのことでゲルギエフとマリンスキーのチケットを買った。2012年に12月の演奏会はおふくろが救急搬送で入院したため好きな幻想交響曲のチケットがゴミ箱行きになったがこれまでミューズでのコンサートは期待を裏切られたことはなかった。事務手続き中に目の前にカルメン公演の座席表があり売り出し中だった。正直これは迷っていたのだ。時期が微妙でボランティアでの「稲作り」のちょうど最盛期に重なる時期とオペラにはミューズは不向きと思っていたが今回は、コンサート形式でカルメンがオクサナ・ヴォルコヴァなのだ。今回全国公演での売りはカサノヴァのカルメンなのだが、彼女のチューリッヒでのカルメンを観たが期待したほどでなく、色気のないカルメンは魅力は薄れる。むしろ所沢での公演はガランチャと張り合うヴォルコヴァを聴いてみたくなり、勢いでついでにチケットを購入してしまった。
毎回空席の目立つ所沢ミューズでのオペラゆえ、座席の売れ行きが進んでいないようで人ごとながら気になった。
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