今日は朝から雨、春の雨はひと雨ごとに暖かくなるが、雨自体は冷たい。そんな中で、外出はあきらめこのところ、そろそろ身の周りの整理、今はやりの「断捨離」でもしようと思い立った。すでにLDをBD-Rへのダビングをし終わったことから、カセット録音の音楽をHDへ取りこむことを思い立った。すでにLP,VHSは始めていたのだが、その中にNHK-FMをダビングしたギドン・クレーメルとヴァレリー・アファナシェフによるブラームスのヴァイオリンソナタNo.1の「雨の歌」があった。
彼らの1987年に録音したブラームスのNo.1,2のCDを買ってからすっかりカセットの存在を忘れていた。彼らは1984年に初来日で、ブラームスの3番のソナタとシューマンの未完の3番のソナタ、そして1986年来日時に同メンバーで1番「雨の歌」を演奏した。
当時は仕事が忙しく深夜タクシーでの帰宅が続き、結局大学時代の友人から譲りうけたN響の定期会員を放棄する羽目になった。そんなことからFM東京のTDKオリジナルコンサートやNHK-FMのクラシックコンサートをあらかじめ雑誌「週刊FM」から選びタイマーをセットしてカセットにエアーチェックしそれを通勤の行帰に聴いていた。
当時はバブル絶頂の時代を迎え、ヨーロッパで話題になるとすぐに日本の「呼び屋」が迎えまさに東京は居ながらにして世界をリードする若手が続々来日した時代だったが、残念ながら仕事に追われ生で聴く機会を失っていた。カセットから流れる音楽は当時の思い出をよみがえらしてくれた。音は断然CDがすぐれるものの、当時の日本のエネルギーのあった活気がコンサート会場から感じられ記録としてのカセットは残したい価値を感じた。とくに3番はこのカセットしか当時を示すものはないのだろう。
わが手持ちの雨の歌は以下の通り
クレーメルはオイストラッフの愛弟子、アファナシェフはギレリスの愛弟子だが、残念ながら残念ながら両者の師匠による演奏はないようだ。私が最初に手にしたブラームスの「雨の歌」は大学の時に当時ロシア関係文献の書店だった神田神保町の「ナウカ」で見つけたソ連製のLPだった。オイストラッフとバウアーによるもので、今聴いてもオイストラッフの甘い美音が春雨のようだ。でも私には弟子たちの演奏が数段上回ると思う。
① ② ③ ④
ブラームスそのものが好きな故、「雨の歌」も特徴あるCDを買い求めた。①のスーク&カッチェンは英国ではブラームスのスペシャリストといわれたカッチェンだが「ガチガチ」のピアノは美しくなくその上にスークの美音が乗る何とも水と油の妙が面白い。なお蛇足だがこの二人にチェロのシュタルケルを加えたトリオはそれこそ三人が方向の違う感性をぶつけ合ってめちゃくちゃに面白い。
②は個人的にはすごく魅かれる。リヒテルらしくないピアノがカガンを包み込むように優しく寄り添う。秋雨の中を抱き合いながら相合傘で歩いているような「雨の歌」だ。③はブラームス室内楽集のセットものの抱き合わせ、セット物の中では付録か?。とりたてて何もないが唯一1714年製のストラディヴァリウス使用とのことだが。④は1975年9月のアスコーナ音楽祭の当日プログラムでBeethovenのNo.1のソナタとBachのパルテータNo.2のいわゆる3大Bのプログラムであるが、シェリングは良いのだがピアノの録音が(演奏も?)悪くペダルの音が耳触りに響く。だが3曲聴くと真面目な人が真面目に弾くと音楽も緊張する証拠となる演奏。ただし聴き終わると疲れる。
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