4月15日に英国人の指揮者サー・コリン・デイヴィス氏が亡くなられた。
学生時代にモーツアルトの40番を聴きたくて、最初安さだけでバルシャイ=モスクワ室内管弦楽団の17cmLPを買ったが、
正直馴染めず、(既述、追悼ルドルフ・バルシャイ参照)当時フィリップスレコードから1200円で売りだされた廉価版LP
に飛びついて買い求めた時が最初の出会いだった。小林秀雄のモーツァルトの「悲しみのシンフォニー」はこの演奏がふ
さわしいと思った。
しかし70年にセル=クリーブランドの初来日公演の実況をFM放送で聴いて、驚いた。モーツァルトのスケールの雄大さ
そして「かなしみの・・・・」甘さも嘘っぱちで、解釈の多様性を知り、就職してすぐにセルの演奏を買い求めた。しかし
其の演奏はFMで聴いたのとは別物であった。その後40番は好きな曲だけに、評判になった演奏は買い求めてきたが、2005年
に1970年のセルの東京公演実況版を入手し40番あさりは終止符を打った。
今回改めてデイヴィスのLPを取り出して聴いてみると、レコードのジャケットになぜか当時の思い出が浮かび上がり、懐か
しさとこのLPを聞きながら読んだ本のことが思い出した。セルの東京公演はバックミュージックには向かないが、このLP
をパソコンに取り込めば良きバックミュージックに使えると思った。
K.317戴冠式ミサ曲を始めとするK.341キリエ K。618アヴェ・ヴェルム・コルプス、K.165のエクスルターテイゥビラーテ
の声楽曲もデイヴィスで初めて知り、その後のケッヘル番号潰しのスタートになった。しかしLP自体は必ずしも最良とは言えず
CD時代にとなっては聞く機会は薄れてしまった。
歌劇『魔笛』はすでに2011/11に「今夜も夜更かしオペラ 魔笛」で述べたが、世間では評判になったが私にはいまいちだった。
しかし、オペラ指揮者としてのデイヴィスの手腕は伺える。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲
ドロテア・レッシュマン
ディアナ・ダムラウ
サイモン・キーンリーサイド、他
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
コリン・デイヴィス(指揮)
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
収録時期:2003年1月27日
収録場所:ロンドン、コヴェント・ガーデン王立歌劇場(ライヴ)
・モーツァルト:『レクイエム』ニ短調 K.626
ウテ・ゼルビヒ(ソプラノ)
ベルナーダ・フィンク(アルト)
スティーヴ・ダヴィスリム(テノール)
アラステア・マイルズ(バス)
ザクセン国立歌劇場管弦楽団&合唱団(ドレスデン)
コリン・デイヴィス(指揮)
収録:2004年2月11-15日 ゼンパーオーパー、ドレスデン
今でこそラトルを初め英国人の指揮者がヨーロッパの主要オーケストラのシェフとして、活躍が著しいが、其の先駆者がデイヴィスだったのだろう。
40番のLP時代とは別人の様な演奏で、年齢とこの間の経験からくる解釈のなせるものかこのレクイエムのモーツァルトはキレイ事の音の流れでは無く、
激しい起伏に富むドラマテックな演奏に驚かされる。なぜか70年の時のセルの演奏が重なる。映像では終始レクイエムを口ずさみながらの指揮ぶりが
映しだされている
・セレナーデ第14番ト長調 K..525『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』
・セレナーデ ニ長調 K.320『ポスト・ホルン』
・セレナーデ ニ長調 K.250『ハフナー・セレナーデ』
バイエルン放送交響楽団
コリン・デイヴィス(指揮)
このセレナーデの演奏は、小林秀雄のイメージモーツアルトが聞ける。また演奏も良く言えば中庸を得た演奏だがバックミュージックとして心地良い。
なぜかデイヴィスは私の好きな作曲家のモーツァルト、ベルリオーズのスペシャリストとして若くして名を売った指揮者だ。
だが私がベストといえるのは、今井信子を独奏者とした「イタリアのハロルド」だけだ。
この演奏だけが、ミュンシュ、マルケヴィッチの演奏を超えている。
■ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14a
■ベルリオーズ:歌劇『ベアトリスとベネディクト』序曲
■ベルリオーズ:交響曲『イタリアのハロルド』
サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団
タベア・ツィマーマン(ヴィオラ独奏)
■ベルリオーズ:歌劇『トロイアの人々』全曲
デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、ほか
■ベルリオーズ:劇的物語『ファウストの劫罰』全曲
デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、他
■ベルリオーズ:歌劇『ベアとリスとベネディクト』全曲
デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、他
■ベルリオーズ:劇的交響曲『ロメオとジュリエット』全曲
デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、他
ベルリオーズの主要作品を録音した最初の指揮者だ。(私の好きなミュンシュはトロイの人々を残さなかった)
上記作品はベルリオーズ生誕200年を記念しての全曲LIVE録音だ。
しかし価値はそこにあり、ペンギンガイドロゼッタマーク、グラモフォンアワード受賞であっても、個々の作品では、
ミュンシュ、マルケヴィッチを乗り越えてはいないと思う。しかしながら、主要作品をまとめて聴くにはお薦できる。
『
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