1976年にブーレーズとシェローのコンビによるリングが終了したときは、このプロダクションにたいしての賛否が分かれ観客、マスコミが大騒ぎになり「事件」となったそうだ。当時私は、NHK-FNの放送をきいたのだが、「絵のないオペラ」を聴いたので、なんで大騒ぎになったのかわからなかった。音楽は、カールベームの贅肉を落とした引き締まった演奏をさらに絞った凝縮された響きに驚いた印象が残っていた。初めて映像を見た時は、オペラなのに役者が動き回るのに強い印象を受けたが、衣装が神話の世界から、18世紀イギリスの産業革命期の風俗に置き換わったことに新鮮さを感じたが、音楽との違和感は今も当初もあまり感じなかった。歌手の舞台での動きと音楽の凝縮された音にバイロイト特有の「もやとした」不明瞭さが取り除かれたのが新鮮に思えた。これはカール・ベームの音楽を踏襲したリングと思った。
今回改めて何年振りかに全曲通して観た印象と変わっていない。むしろシェローの演出の悪しき模倣が、この後に続き、現状のバイロイト音楽祭をだめにしたことだけが残念でならない、時を同じくして、ブーレーズもシェローも世を去ったが、このリングとベルクのツェルハ補筆の「ルル全曲」、ヤナーチェックの「死者の家から」は私にとってはDVDではなく実演を観たかったが永遠の「夢物語」となった。
下記資料はHMVからコピペ、演奏時間は私の手持ちで比較 2009年12月30日のこのBlogで、私の他の手持ち、カールベーム、サバリッシュ、バレンボイムのリングを述べておりますのご参照いただければ幸いです。
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