・ワーグナー:『ニーベルングの指輪』ハイライト
「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」
ユハ・ウーシタロ、アンナ・ラーション、ザビーネ・フォン・ヴァルター、
イリヤ・バンニク、ジェルマーン・ヴィラール、クリスタ・マイヤー、
ジョン・ダスザック、マッティ・サルミネン、スティーヴン・ミリング、
フランツ=ヨーゼフ・カペルマン、ゲルハルト・ジーゲル、他
バレンシア州立管弦楽団
ズービン・メータ(指揮)
演出:カルルス・パドリッサ(ラ・フラ・デルス・バウス)
装置:ローラント・オルベター、衣装:チュ・ウロズ
収録時期:2007-2009年
収録場所:バレンシア、ソフィア王妃芸術館(州立歌劇場)ライヴ
私はワグナーが好きだ。すでにこのブログでニーベルングの指輪はについて触れている(2009/12/30)。今回は市販のBlu-rayDiscを購入したことがなかったので、サンプラーとして値段が1300円と安く、音のテストとして5.1チャンネルを体験したく購入したので鼻からワグナーの評価は念頭になかった。
いざ蓋を開けると、これはもー!!!「驚き、桃の木山椒の木 驚いたなーモー!!!!」驚きのオンパレード。CGを駆使したではなく全編CG。しかも出だしのラインの乙女は天井から吊り下げられた生け簀の水に浸かり、おっぱいが水鉄砲で飛び出す始末。
ワルキューレは電線工事車に乗って舞台を駆けまわり、何を意味するかつかめぬままに天井から吊り下げられた群舞が度々登場。
ハイライト版だから刺激的なところの寄せ集めしたのだといえばそうかも知れない。全曲版を見てないので断言は出来ないが、ワグナーの音楽をバックミュージックにした、舞台版スターワーズと言えよう。はっきり言って「ヤリ過ぎ」。
最近のオペラ演出の時代の読み替えにはいささかうんざりしていたが、この演出はどこが天才のひらめきかはわからない。
バイロイト100年記念のパトリス・シェローとP・ブーレーズのリングには「驚き」だったが、その後に「感動」と「納得」があった。私自身はだからと言ってこの演出を「繰り返す」事はできない。でもここにはレビ=ストロースの「神話の論理」に描かれる、「冷たい社会」と「熱き社会」の理念対比が感じられた演出だった。
バドリッサの演出は全曲を見ないで結論を出すのはいかがなものかだが「面白ければ何でもあり」的な空虚さでリングのもつニヒリズムとペシミズムを表現したと解釈すればいいのだろうか。
シェローの演出には何人もの歌手が出演を辞退したそうだが、この演出に辞退した歌手はいなかったのだろうか?
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