11日に肋骨を骨折したため、家に引きこもっていた。たまたま台風の襲来もあり、「雨の日はオペラ」とばかりに録りだめした録画を漁るとザルツブルグ音楽祭2014年のドンジョバンニがあった。これは「またか」とバイロイト同様のここ数年続く悪しき伝統の「読み替え演出」で観終わった後にドット疲れが出て、口直しがほしくなり、たまたま骨折した翌日に録画した下記の演奏を観た。
7月12日(日)放送<N響 第1809回 定期公演>
1.組曲「マ・メール・ロワ」(ラヴェル)
2.シェエラザード(ラヴェル)
3.「愛と海の詩」作品19(ショーソン)
4.交響詩「海」(ドビュッシー)
管弦楽:NHK交響楽団
メゾ・ソプラノ:マレーナ・エルンマン
指揮:エド・デ・ワールト
(2015年5月15日 NHKホール)
この演奏会は、当初はデビット・ジンマンが指揮する予定だったが、私同様に骨折したため演目はそのままで、急遽エド・デ・ワールトに変更になったそうだ。だからという訳ではないが、正直この演奏には満足できなかった。もっともこのプログラム構成に無理があると思うのだが。私の手持ちでもシェエラザード(ラヴェル)と「愛と海の詩」作品19(ショーソン)の両者を満足させてくれるものはない。水と油のような両極を同時に演奏会に架けることが無理だと思うのだ。
N響の演奏ではシエラザードでは歌手はそこそこだが、オケの音色に色気が感じない。また歌い手もメゾとはい軽やかな、躍動感が物足りない。愛と海の詩では分厚い管弦楽の音色は出ていたものの、歌手の迫力が物足りずオケのうねりにかき消されてしまっている。
これを機に手持ちのロスアンジェルスのLPを96kHz 24bitのPCオーディオ化を試みた。ラヴェルのシエラザードは文句なしに私の推薦盤だ。フランス語を理解できない身であるが、ラベルの異国情緒が小粋に流れロスアンジェルスの可憐なメロディーが心地良い。しかし、「愛と海の詩」は、オケがチャラチャラして薄っぺらな響きで、ロスアンジェルスの線の細い歌声が貧弱に響くだけだ。ただこのLPは抱き合わせの「オーベルニュの詩」が素晴らしいので価値はある。(手持ち③と③)
やはり2曲は水と油で両者を満足させる演奏は至難の業なのだろうか。レジーナ・クレスパンとアンドレ・クリュイタンスだったらとか、ジェシー・ノイマンとレバインだったらどうだろうと想像しているのだが。
(私の手持ちあれこれ)
①&① 水と油をうまくこなしているものの、指揮者バルビローリとプレビンが入れ替わっていたらもっと生きた演奏になったと思うのだが。ただしベーカーの歌は教科書的で色気がない。
②手持ちのシエラザードでは私の一押し推薦盤。この2枚組CDはラヴェルの歌曲集で歌手も様々で玉石混交だが、この曲とヨセファン・ダムのドンキホーテだけでも価値あるCDと思う。
④ラベルが習作で書いたシエラザード序曲とピアノ三重奏の管弦楽編曲版というラヴェル好きのためのCDでそれ以外はない。指揮者パスカル・トゥートリエのラヴェルは聴ける。
⑤バーンステインのピアノの弾き振りのラベルのコンチェルトのおまけ。オールラヴェルプロのLIVE DVDで見て楽しいが、音も録画もいまいち
⑥ NHKの放送録画:スーザン・グラハムもサイトウ記念も素晴らしいが、なにか優等生的に、素通りしてしまい後に残らない。ペンギンガイドでは彼女がトゥートリエとBBC交響楽団のバックの演奏は、愛と海の詩とのカップリングで三ツ星推薦マークになっている。
Chausson② 愛と海の詩では手持ちの中での私の推薦盤。これはバーゲンセールで300円で見つけた拾いもの。何よりもモンセラ・カバリエのドラマチックな歌が凄い。それに輪をかけた、ウイン・モリスの指揮、シンフォニカ オブ ロンドンという得体のしれないオケが吠えまくる迫力が、「フランス風」のある種エレガントな先入観を木つ端微塵に吹っ飛ばす爆演もすばらしい。
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