NHKのプレミアムシアターで、ベルリオーズの「トロイ人」が放映された。いくらベルリオーズ大好き人間の私でも60歳を越すと、体力も集中力も衰え、夜中4時間のお付き合いは出来ない。TV番組で夜中に付き合える番組はラグビーとサッカーのワールドカップの決勝戦か日本の試合ぐらいで2時間が限度だ。
したがってNHKの快挙?は、バイロイト音楽祭の生中継同様、私には録画鑑賞でしか応えられなかった。この「トロイの人」はすでに商品化されたユニテルのものの放送だった。もっともNHKもこの時間帯に見ている人を想定はしていないのだろうが。
結論から言えば、先のメータのリング同様、驚きの演出で、音楽がどこかへ飛んでしまった。ヴァレンシア+パドリッサの舞台創りはどこまでエスカレートするのだろうか。
オペラそのものより、今度は何を料理するのかそちらの興味が湧いてきた。さしあたりは、ロッシーニの「アルミーダ」か「ウイリアム・テル」あたりだろうか?。
CGをふんだにに使い、舞台は正にスターワォーズの劇場版。人口衛星からの地球の眺めは何を言いたいのか見当がつかないが、その場面では音楽は「イタリアへ行け」と鳴っている。とにかく4時間音楽と舞台の映像が「水と油」のように反発しているのに、違和感を感じながらも進んでしまう演出の強引さには舌を巻く。通常でも4時間のオペラは観終わると疲れが出るが、これはハンパではない。

ランス・ライアン(T エネ)
エリザベーテ・マトス(S カサンドル)
ダニエラ・バルチェッローナ(Ms ディドン)
ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ(Br コレブ)
ジョルジョ・ジュゼッピーニ(Bs パンテ)
ステファン・ミリング(Bs ナルバル)
ズラータ・ブリチョワ(Ms アンナ)
ディミトリ・ヴォロパエフ(T イラス)
アスカル・アブドラザコフ(Bs プリアム)、ほか
バレンシア自治州合唱団
バレンシア州立管弦楽団
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
演出:ラ・フラ・デルス・バウス(主宰:カルルス・パドリッサ)
収録時期:2009年10月、11月
収録場所:バレンシア、芸術館(ライヴ)
収録時間:本編240分、特典映像(メイキング)21分
画面:カラー、16:9

プラシド・ドミンゴ
ジェシー・ノーマン
タティアナ・トロヤノス
アラン・モンク
ジョセリン・タイロン、他
メトロポリタン歌劇場バレエ団
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
ジェイムズ・レヴァイン(指揮)
演出:ファブリッチオ・メラーノ
舞台装置・衣装・視覚効果:P.ウェックスラー
収録:1983年10月8日、メトロポリタン歌劇場(ライヴ)
収録時間:251分
画面:カラー、4:3
私が最初に手にした「トロイ人」はLD3枚組だった。メトロポリタン歌劇場設立100周年記念だから成し得た正に歴史的な演奏だ。ドミンゴの若さが弾ける輝ける声とジェシー・ノーマンの圧倒的な存在感を示す舞台だ。メトの総力を上げた舞台作りは、これが最後だろう。Made in USA の輝けるモニュメントであり、メトだから成し得た忠実な舞台創りであり、私が理解できる「トロイの木馬」の歴史劇だ。私はこれが1番ベルリオーズを感じる。

スーザン・グラハム
グレゴリー・クンデ
アンナ・カテリーナ・アントナッチ
レナータ・ポクピック
リュドヴィク・テジエ
ニコラ・テステ
シャトレ座合唱団
レヴォリュショネール・エ・ロマンティーク管弦楽団
サー・ジョン・エリオット・ガーディナー指揮
モンテヴェルディ合唱団
ヤニス・コッコス演出
ライヴ収録: 2003年10月/パリ、シャトレ座
字幕:英・仏・独・西語
画面:Anamorphic[16: 9]
音声:LPCMステレオ/DTSサラウンド
収録時間:312分
これちらは最初,NHKもスポンサーとして名を連ね、ベルリオーズ生誕200年記念としてパリで上演されたものが放映され、それを当時のビデオで録画して観たのが最初だった。その後DVDで発売されたときに、音楽の素晴らしさと演出の斬新が気に入り即購入したものだ。演出がメトのようにお金を掛けられない、シャトレ座の狭い空間での上演の制約を、ギリシャ神話を現代劇仕立てにし、狭い舞台空間をミラー効果を多用して表現した。また音楽は、古楽演奏のオーソリティーのガーディナーが小飼の楽団を使用して、ベルリオーズの時代の音を再現した演奏も小気味良く響き、素晴らしい物になっている。


これはロンドン交響楽団Live シリーズで12枚組のBoxの中にCD4枚に収められている。指揮はベルリオーズのスペシャリストのコリン・デービスだ。正直私は彼のベルリオーズよりは彼のモーツァルトのほうが好きだが、ペンギンガイドでは絶賛のロゼッタマークだ。たしかに、彼は全曲盤の蘇演並びに全曲録音を最初に行った、この曲のオーソリティーだ。しかし絵のないオペラを4時間付き合うだけの、体力も、気力もなくなったものには、未だ全曲を通しで聴いたことはない。
私にはミュンシュかマルケビッチが録音を残せなかったのが残念でならない。
Hector Berlioz (1803 - 1868)
Les troyens
• 演奏者 : Heppner, Ben (Tenor), DeYoung, Michelle (Mezzo Soprano), Lang, Petra (Mezzo Soprano), Mingardo, Sara (Alto), Mattei, Peter (Baritone), Milling, Stephen (Bass), Tarver, Kenneth (Tenor), Spence, Toby (Tenor), Anastassov, Orlin (Bass), Martirossian, Tigran (Bass), Cals, Isabelle (Mezzo Soprano), Ewing, Alan (Bass), Yang, Guang (Mezzo Soprano), Greenan, Andrew (Bass), Earle, Roderick (Bass), Bezduz, Bulent (Tenor), Melrose, Leigh (Baritone), Stone, Mark (Baritone)
• 指揮者 : Davis, Colin,
• 楽団 : London Symphony Orchestra,
したがってNHKの快挙?は、バイロイト音楽祭の生中継同様、私には録画鑑賞でしか応えられなかった。この「トロイの人」はすでに商品化されたユニテルのものの放送だった。もっともNHKもこの時間帯に見ている人を想定はしていないのだろうが。
結論から言えば、先のメータのリング同様、驚きの演出で、音楽がどこかへ飛んでしまった。ヴァレンシア+パドリッサの舞台創りはどこまでエスカレートするのだろうか。
オペラそのものより、今度は何を料理するのかそちらの興味が湧いてきた。さしあたりは、ロッシーニの「アルミーダ」か「ウイリアム・テル」あたりだろうか?。
CGをふんだにに使い、舞台は正にスターワォーズの劇場版。人口衛星からの地球の眺めは何を言いたいのか見当がつかないが、その場面では音楽は「イタリアへ行け」と鳴っている。とにかく4時間音楽と舞台の映像が「水と油」のように反発しているのに、違和感を感じながらも進んでしまう演出の強引さには舌を巻く。通常でも4時間のオペラは観終わると疲れが出るが、これはハンパではない。

ランス・ライアン(T エネ)
エリザベーテ・マトス(S カサンドル)
ダニエラ・バルチェッローナ(Ms ディドン)
ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ(Br コレブ)
ジョルジョ・ジュゼッピーニ(Bs パンテ)
ステファン・ミリング(Bs ナルバル)
ズラータ・ブリチョワ(Ms アンナ)
ディミトリ・ヴォロパエフ(T イラス)
アスカル・アブドラザコフ(Bs プリアム)、ほか
バレンシア自治州合唱団
バレンシア州立管弦楽団
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
演出:ラ・フラ・デルス・バウス(主宰:カルルス・パドリッサ)
収録時期:2009年10月、11月
収録場所:バレンシア、芸術館(ライヴ)
収録時間:本編240分、特典映像(メイキング)21分
画面:カラー、16:9

プラシド・ドミンゴ
ジェシー・ノーマン
タティアナ・トロヤノス
アラン・モンク
ジョセリン・タイロン、他
メトロポリタン歌劇場バレエ団
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
ジェイムズ・レヴァイン(指揮)
演出:ファブリッチオ・メラーノ
舞台装置・衣装・視覚効果:P.ウェックスラー
収録:1983年10月8日、メトロポリタン歌劇場(ライヴ)
収録時間:251分
画面:カラー、4:3
私が最初に手にした「トロイ人」はLD3枚組だった。メトロポリタン歌劇場設立100周年記念だから成し得た正に歴史的な演奏だ。ドミンゴの若さが弾ける輝ける声とジェシー・ノーマンの圧倒的な存在感を示す舞台だ。メトの総力を上げた舞台作りは、これが最後だろう。Made in USA の輝けるモニュメントであり、メトだから成し得た忠実な舞台創りであり、私が理解できる「トロイの木馬」の歴史劇だ。私はこれが1番ベルリオーズを感じる。

スーザン・グラハム
グレゴリー・クンデ
アンナ・カテリーナ・アントナッチ
レナータ・ポクピック
リュドヴィク・テジエ
ニコラ・テステ
シャトレ座合唱団
レヴォリュショネール・エ・ロマンティーク管弦楽団
サー・ジョン・エリオット・ガーディナー指揮
モンテヴェルディ合唱団
ヤニス・コッコス演出
ライヴ収録: 2003年10月/パリ、シャトレ座
字幕:英・仏・独・西語
画面:Anamorphic[16: 9]
音声:LPCMステレオ/DTSサラウンド
収録時間:312分
これちらは最初,NHKもスポンサーとして名を連ね、ベルリオーズ生誕200年記念としてパリで上演されたものが放映され、それを当時のビデオで録画して観たのが最初だった。その後DVDで発売されたときに、音楽の素晴らしさと演出の斬新が気に入り即購入したものだ。演出がメトのようにお金を掛けられない、シャトレ座の狭い空間での上演の制約を、ギリシャ神話を現代劇仕立てにし、狭い舞台空間をミラー効果を多用して表現した。また音楽は、古楽演奏のオーソリティーのガーディナーが小飼の楽団を使用して、ベルリオーズの時代の音を再現した演奏も小気味良く響き、素晴らしい物になっている。


これはロンドン交響楽団Live シリーズで12枚組のBoxの中にCD4枚に収められている。指揮はベルリオーズのスペシャリストのコリン・デービスだ。正直私は彼のベルリオーズよりは彼のモーツァルトのほうが好きだが、ペンギンガイドでは絶賛のロゼッタマークだ。たしかに、彼は全曲盤の蘇演並びに全曲録音を最初に行った、この曲のオーソリティーだ。しかし絵のないオペラを4時間付き合うだけの、体力も、気力もなくなったものには、未だ全曲を通しで聴いたことはない。
私にはミュンシュかマルケビッチが録音を残せなかったのが残念でならない。
Hector Berlioz (1803 - 1868)
Les troyens
• 演奏者 : Heppner, Ben (Tenor), DeYoung, Michelle (Mezzo Soprano), Lang, Petra (Mezzo Soprano), Mingardo, Sara (Alto), Mattei, Peter (Baritone), Milling, Stephen (Bass), Tarver, Kenneth (Tenor), Spence, Toby (Tenor), Anastassov, Orlin (Bass), Martirossian, Tigran (Bass), Cals, Isabelle (Mezzo Soprano), Ewing, Alan (Bass), Yang, Guang (Mezzo Soprano), Greenan, Andrew (Bass), Earle, Roderick (Bass), Bezduz, Bulent (Tenor), Melrose, Leigh (Baritone), Stone, Mark (Baritone)
• 指揮者 : Davis, Colin,
• 楽団 : London Symphony Orchestra,
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