とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

雨の日はオペラ モンテヴェルディのオルフェオ

2017年09月07日 | 雨の日はオペラ

 6月にNetでモンテヴェルディの代表的なオペラのセットを購入した。彼の代表作の4つのオペラが7枚のDVDに収められ、新品が1480円という値段につられ購入した。正直モンテヴェルディはこれまで聴きこんできた作曲家ではないし、手持ちも少なく、人様に推薦するほどの知見もない。私がモンテヴェルデイの作品を最初に知ったのは、1997年にベネチアに行ったときに、波に洗われていたサンマルコ広場を通り、寺院を見学した時にその威容に圧倒された。そして帰国後、レーザーディスクで売り出された、サン・マルコ寺院で録画録音されたガーディーナーとバロックソロイストの「聖母マリアのための夕べの祈り」を旅の思い出として購入したのが、最初のモンテヴェルディとの出会いだった。

 8月の長雨で外に出られず、その折に、まずはすくないながら手持ちのあるオルフェオを、比較方々見た。  

 手持ちの中では一番古い舞台だが、正直、バロック音楽の明るい、躍動感を意図的に排した演出には疑問がわいた。物語は毒蛇に噛まれて死んだ新妻を取り戻すために冥途に向かい、取り戻すが、帰路に閻魔さまと約束した、「この世に着くまで妻を振り向かぬ」おきてを破り、水泡に帰すという結果に終わる。ルネサンス・バロックの「人間=一般人」の躍動感は、暗い舞台と古楽演奏のくすんだ演奏が、私の描いていた「バロック」音楽の響きと違和感があり、暗闇の中の舞台も「明るいバロック」の先入観からはかけ離れた演出に違和感を感じた。

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 最初に購入したDVD=最初に観たオルフェオだけに、私の推薦盤。歌手も、演奏者団体も指揮者も、知らない、ましてや曲自体も、「音楽史」の中だけで名前を知っていただけだが、オペラが好きになり、そもそも近代オペラの始源は何かを調べたら「モンテヴェルディ」と書いてあった。たまたま「聖母マリアの夕べの祈り」を聴いたことからモンテヴェルヂに興味を持ったことと、古楽演奏者、ジャン・クロード・マグロア、を中心としたイタリア人の演奏団体のプロダクションと言うことと、日本語字幕付きにひかれて購入した。

 演出者も指揮者も演奏団体も、初めての知らない人たちだった。しかもDVDがDYNAMICという聴きなれないイタリア製に(ただし表示はMade in EU)不安を持ったが、結果は素晴らしい仕上がりだった。簡素な舞台に、冥途とこの世を明るさで仕分け、古楽器奏者が、舞台進行に合わせ、舞台に登場しスポット浴びる演出も素敵だった。歌手もBig Nameの大スターはなく私には初めて聞く名前の人たちだが、適材適所で不満は感じられず、極力動きを排し、歌手たちの表情での表現は素晴らしいと思った。

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 これは2009年のミラノ・スカラ座の舞台の録画BDだが、前者の古楽演奏団体とは真逆に、オペラの殿堂、ミラノスカラ座のプロダクションで、大歌劇場でのバロックオペラの舞台だ。前者、マグロアの音楽が、時代考証的な、バロックオペラの再現に力点を置いたのとは反対に、現代の舞台装置・楽器を、技術を駆使して、バロックオペラをRemakeしたもので、広い舞台を生かした演出で、「昔々のお話」を現代手法で表現した。美術。衣装。装置ともどもバロックの雰囲気を配慮したもので楽しめるもので、誰もが楽しめる舞台に仕上がりはすばらしいが、繰り返しは見る気にはなれない。

 

 

 

 



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