すみません、あれほど「確実に入荷するまでは新着情報の宣伝はすまい」と心に誓ったはずなのに、先方からの「送ったよー」という知らせに居てもたってもいられず、つい気がはやってぜじろぐ記事にしちゃう、青臭さが未だ抜け切らないサンバタウン店主です。
昨日は映画「ディス・イズ・ボサノヴァ」をネタにしてしまいましたが、映画の中での中心人物としてボサノヴァ思い出話に花を咲かせる二人、「青春好々爺」ことホベルト・メネスカルと「永遠の伊達男」カルロス・リラ。その後者の甥っ子であるクラウヂオ・リラ(Claudio Lyra)という人物と、彼のファーストアルバムとなる自主制作CD「Em paz com os meus」を紹介させていただきたく候。
クラウヂオは・・・えーと、そういえば彼、何年生まれなのか訊くのを忘れちゃいました。いきなりバイオグラフィ解説につまづいております。大丈夫でしょうかワタシ。まあ気を取り直していきましょう。クラウヂオは元々コパカバーナの生まれ。もちろんバリバリのカリオカです。現在は有名なサッカーチーム・フラメンゴの本拠地ガヴェア在住ですので、当然ながらフラメンギスタらしいのですが「ガヴェアに住み始めたのは3年前。でもそれ以前にコパカバーナにいた子供時代、ジュニオールっていう元ブラジル代表のスーパースターがフラメンゴにいたんだけど(おお!存じ上げておりますぞ!)、当時の僕の家はそのジュニオールと同じマンションでね、その時からフラメンゴの大ファンだったのさ」と筋金入りのサポーターぶりを披露してくれています。なに音楽と関係のないサッカー談義で盛り上がってるんでしょうかワタシ達。さっさとCDの中身の話に移りましょう。
それにしてもどうです、このとことんフラワーでハンドメイドなアートワーク。60-70年代テイスト炸裂です。おじさんとの接点を見つけづらいったらありゃしません。肝心のサウンドですが、これはもう21世紀のラヴ&ピース。純粋かつ素朴に音楽と向き合っていたデビュー当時のレニー・クラヴィッツと共通するものを感じました。あの頃彼が残した「楽器というものはそれ本来の温かさで鳴るべきだ」という、言ってることはわからんが言いたいことはわかる、そんなコメントをつい思い浮かべてしまいました。つまりはですね、クラウヂオの音楽のベースはまぎれもなくロックなわけであります。ところがところが、そこへ70年代前後の肌触りのするソウル&ファンクありーの、とろけそうに優しいマラカトゥ・アクースチコ、最近のロス・エルマーノスの作品で聴かれるセンス抜群のホーンありーの、最後にゃとどめにベベートの新作「Amendoeira」かと間違ってしまいそうなハートウォーミングなボッサ調ありーのと、最強のMPB布陣ともいうべき楽曲がズラリ勢揃い。だからといってただの懐古趣味的な音使いばかりしているわけではなく、今を生きるミュージシャンとしての自覚が作品からちゃんと伝わってくるのです。彼の音楽性を伝えるにあたり、カルロス・リラの名はヘンな先入観を与えてしまって、むしろ邪魔にさえなってしまうんではなかろうかと心配になってくるほどカッコいい音楽を展開してくれています。この寒い季節、クラウヂオのモッサリした親しみのある歌声で、心が芯からあったまりそうです。恋人(死語)とコタツでみかんでも食べながら聴いたらあまりのシアワセ感ゆえにハグ&キッスの嵐で凄い展開になるんではないかと、ワタシにはもはや関係のない情景を想像してしまいます。
なお蛇足ながらゲストにCarlos Lyra(やはり), Fatima Guedes, Chiquito Braga, Mauricio Maestro (元ボカ・リヴリ), Kay Lyra(カルロス・リラの娘さん、つまり従姉妹), Nicolas Krassikといった面々が名を連ねております。
能書きはともかく、百聞は一見に如かず。彼の音楽と動画はサイト「MySpace」にてご覧いただくことができますので、是非チェックしてみて下さい。
ボサノヴァシンガーの山本のりこさんのご紹介がキッカケとなって、今回めでたくクラウヂオ・リラのCDを取り寄せることに成功しました。のりちゃん本当にありがとうございます。今回は小規模ショップにも卸売できます(但し1オーダー3枚以上)ので、ご興味がおありの方は是非zezi@sambatown.jpまでご連絡下さいませ。
というわけで、サンバタウン単独での取扱量なんて所詮たかが知れてますが、これを契機に彼の名前が日本でも広く知られるといいなあと願うばかりです。どっか日本盤とか出してくれないかなあ(またゆっとる)。
それでは年末年始あたりに入荷しましたら、また大々的にプロモーションさせていただきますのでよろしくお願い申し上げます!