レッド・ツェッペリンの「Going to California」をやっててびっくりしたっ!
糖尿病リバウンドで太っちょさんになったミルトン・ナシメントが、アルバム「Pieta」を出した時期でしょうか、秘蔵っ子マリーナ・マシャードを伴ってのライヴDVDですが、いやとにかくマリーナ・マシャードの方が圧倒的に凄いです。フェルナンダ・ポルトやヘナータ・ホーザにひけをとらない素晴らしい才能がここでくすぶっています。早く彼女はリオかサンパウロへ行ってちゃんとしたプロデューサーにCD作ってもらわんといかん。どうもミナスに籠もったままだと、ちょっと日本人リスナーのツボからハズれ気味のフォークロックに走りがちな傾向があるように感じられるのは店主だけでしょうか。
それはともかく、カリフォルニアです(笑)。後ろでテロー・ボルジスがヴィオラなんか弾いちゃってますよ。もろハマりのサウンドです。くっそう、このパターン狙ってたのに。先越されちゃいました(んなアホな)。
このDVDはミルトン全盛期のパフォーマンスをあまり期待しすぎると正直肩透かしをくらった気分になるかもしれませんが、それは望むだけ無理というものです。まあ確かにドレッドヘアは似合いませんね(くすくす笑い)。ありし日のキャスケット帽姿で壇上に上がってくれればなあ。それだけでお金取れますよ。という冗談はさておき、死線をさまよった後の大悟の境地といいますか、「も、ワシ、ここでそのまま死んでもええもんね。後はみんながちゃんとやってくれるもんね」みたいな安心感がミルトンの周りにオーラとなって発散されています。復帰後間もない頃の旧作「Tambores de Minas」の時の、あの痛々しさはどこにも感じられません。そしてリンコン・シェイビ(この人のドラミングの弾力感といったらもう!)ほかサポートメンバー達が一体となってミルトンを支えようという意気込みがひしひしと伝わってくる懸命な演奏に大変好感が持てました。こちらも誠意を持ってしっかりと観さえすれば、そういうものはやはり感じることができるものですね。
後は繰り返しになりますが、マリーナ・マシャードの存在感。これは是非一度ご覧になっていただきたいと思います。
でも、やっぱり、ミルトン一人で歌う「A lua girou(月は巡った)」では、ぼろぼろ涙が出て止まりませんでした。やはりこの人は最高です(よよと泣く)。