今年もあの「究極のひとり上手じいちゃん」ことジョアン・ジルベルト翁が来日を果たします。昨年来てくれりゃ空前絶後の三連覇の偉業達成というところだったのですが、さすがにそこまで世の中オイシイ話はありません。しかしながら1年おいてまた来てくれるなんて、じいちゃんイカすじゃありませんか。なんせライヴのタイトルコピーが「最後の奇蹟」でっせ。なんなんだその「最後の」ってのは。これで来日公演は最後ってことでしょうか。年齢的体力的にもアレだし。巷では「まさか今度こそフリーズしたまんま東京国際フォーラムのステージ上で大往生か・・・?!」という不謹慎な憶測も飛び交う中、11月の来日公演、さてどんな「奇蹟」をじいちゃんは皆の前で再現してくれるのでしょうか。楽しみです。
ちなみに店主、今年は悩み悩みしつつ東京まで行くのを諦めました。それは2004年、二度目の来日公演最終日で遭遇した「レッド・ツェッペリンも真っ青」の4時間弱のショウを目の当たりにしてしまったからというのが大きいですね。あとはじいちゃん見たさにポンポン臨時休業やらかすとお客さんから見放されてしまいますので(←これが一番大きな理由)。
さて。
そんなジョアンのじいちゃん愛用のギター(以下クサいけど気分的にヴィオラゥンと書きます)のレプリカモデル、Di Giorgio(ディ・ジョルジオ)社の「Tárrega(タレガ)」が10月半ばにサンバタウンに入荷します。
詳しくは上記のリンクで別ページに記載してありますが、いやもうホントにいわくつきの名器(迷器?)と呼んで差し支えないほどのエピソードを残してくれています。ジョアンの方で?いや、サンバタウンの方で(苦笑)。
まずとにかく仕上げが粗い。日本のビルダーさんが見たら思わず吹き出してしまいかねません。まあこれは日本とブラジルの品質に対する意識の違いなのでいかんともしがたいところがありますが、それ以上に不良品率も高いです。一昨年にTárregaを輸入したときなんざ、どういうわけか3本に1本は「難有り品」として放出せざるを得ないほどの散々な目に遭いまして、二度とこの楽器は取り扱うまいと封印を誓ったのですが、世の中にはじいちゃんの大ファンが沢山おられまして、その後も「それでもやっぱり」とのリクエストが相次ぎ、今回あえて封印を破った次第であります。
が、はっきり申し上げます。仕上げ等の品質や、美しい「クラシックギター」の音を重視されるのであれば、同じ価格で日本のビルダーさんの製作した物をお選びになることをお勧めします。そういう意味ではこのTárrega、「とにかくジョアンのあの音が欲しい」というジョアンバカのための1台といっても過言ではないでしょう。そして難有り品だろうが何だろうが、うち1本は今度こそ店主の愛器として(弾けもしないくせして)持っておきたいと思っています(結局完売してしまうところが凄いといえば凄い)。こんなんでよろしければご予約も承っておりますので、勇気のカタマリのような方は是非サンバタウンまでお問合せ下さいませ。
本当は60~70年代のDG社のヴィンテージモデル(ヘッドが彫りなしの黒いやつで白いトリムがついてるやつ)をブラジルまで行って調達したいところなんですけどね。ブラジルのギタリスト達が今も大切にこの古い年代モノを愛用しているというのにはやはりその当時の製品にしかない音色や弾き味があるのでしょう。店主もそろそろ向こうの弦楽器工房を見学して周りたいものです。
ひとつ気がかりなのが、ヤマハが一昨年にじいちゃんにヴィオラゥンをプレゼントしており、今回のステージでそれをメインで使用する可能性があるという点(ちなみに一昨年時は初演の大阪で『弦が張りたてなので』と言いつつ数曲弾いたという履歴があります)。そういえばヤマハの「ボサノヴァ」という機種のヴィオラゥン、本当にバカ売れしてますよね。店主はまだ触ったことがありませんが、大変評判が良いそうです。ボサノヴァ弾き語りに挑戦してみたい方は是非一度お試しになってみて下さい。
あ、ちなみに入荷予定の貨物の中には、カエターノ・ヴェローゾがNoites do NorteのライヴDVD、そう、「北伯の夜」ってやつ(笑)。字幕設定が「japonês 日本人」ってやつ(大笑)。あれの弾き語りコーナーで使っているTárregaの一つ上のグレード「Master」も1台紛れ込んでいます。こちらはヘッド形状も異なり(DG社のトップグレードクラス用ヘッド)、ボディもサイド・バックはマホガニーを使用しています。そういえばカエターノの新譜まだオーダーしてなかったなあ。手配しとこ。
特筆すべきは1台紛れ込んできた「Master」で、これが思いのほか良かったです。音はデカくて芯があり、けっこうマッチョで驚きました。小スギヤマと言っては言い過ぎかもしれませんが、そういう印象がありました。