CINECHANが観た映画について

映画ブログ。感想というより記録のようなもの。
基本的にはネタバレに近いものがあります。

23-002「ある男」(日本)

2023年01月08日 01時10分15秒 | 日本映画
そこまでしなければ生きられない人間だっているんだ
 弁護士の城戸は、かつての依頼者・里枝から、亡くなった夫・大祐の身元調査をして欲しいという奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経験後に子どもを連れて故郷へ帰り、やがて出会った大祐と再婚、新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築いていたが、大祐は不慮の事故で帰らぬ人となった。
 ところが、長年疎遠になっていた大祐の兄が、遺影に写っているのは大祐ではないと話したことから、愛したはずの夫が全くの別人だったことが判明したのだ。
 城戸は男の正体を追う中で様々な人物と出会い、驚くべき真実に近づいていく。(「作品資料」より)


 故郷で文具店を営みながら暮らすシングルマザーの里枝と、文具店に通い、絵を描くことが好きな男、大祐の仲が縮まり、やがて家族となっていく姿が冒頭描かれる。

 それは、よくあるようなラブストーリーの形であったが、やがて大祐が不慮の事故で亡くなり、疎遠であった大祐の兄が弔問に訪れるが、遺影を見て、大祐ではないと言う。

 そして、大祐と名乗っていた男の正体を探るため、里枝は離婚調停で世話になった弁護士の城戸に依頼する。

 そんな城戸が大祐を知ると思われる様々な人物と会っていくうちに、思いもかけぬ真実に突き当たる様を描いたヒューマン・ミステリー。

 大祐と名乗っていた男の正体、そして何故名前を変えたのか。また本当の大祐はどうなったのか。

 そういう謎部分も興味深い展開であったが、城戸が調査をしていくうちに明らかになる真実に胸を痛めてしまう。

 実は、調査をする城戸自身にもあるコンプレックスがあるようで、時折それを指摘されたりする。

 城戸は冷静に受け止めるのだが、心の奥底には苦々しさ、そして消してしまいたいという気持ちがあるよう。

 そんな気持ちが、大祐の調査で明らかになっていく真実に更にのめり込ませている。

 明らかになった真実は、アッと驚くようなことではないが、それでも消してしまいたい過去や、どうしようもない出自が絡んでいたりする。

 そして、誰でも他人になりすましたい、自分ではないものになりたいという気持ちもあるのかもしれないな。

 大祐の正体、そして明らかになっていく過去、その調査過程も興味深く、惹き込まれるヒューマン・ミステリーであった。

/5

監督:石川慶
出演:妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、眞島秀和、小藪千豊、坂元愛登、山口美也子
   きたろう、カトウシンスケ、河合優実、でんでん、仲野太賀、真木よう子、柄本明
於:新宿ピカデリー

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