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気ままに生活してるシニアの残日録

「パルムの僧院」(映画)

2023年01月14日 | 映画

シネ・リーブル池袋で「映画史上最も美しい俳優、ジェラール・フィリップ生誕100年映画祭」を開催しているのを偶然見つけた。フランス映画ファンとして是非見に行きたいと思い、早速今日のプログラムを見ると午後から「パルムの僧院」が上映されるので見に行った。ジェラール・フィリップ(1922-1959)は知らない俳優だったが、パンフレットによれば「戦後の暗く思い時代のフランスに彗星のごとく登場し、瞬く間にあらゆる階級・世代のフランス国民のハートを鷲づかみにし、キャリアの絶頂期36才の若さでこの世を去った。そのジェラール・フィリップが今よみがえろうとしている。2020年に彼の評伝「ジェラール・フィリップ 最後の冬」が出版されドゥ・マゴ賞を受賞、今年のカンヌ映画祭では彼のドキュメンタリー映画が上映され喝采を浴びた」とのこと。

「パルムの僧院」(1948年、仏、クリスチャン=ジャック監督、モノクロ)はご存知、フランスの作家スタンダール(1783-1842)の同名の原作を映画化したもの。小説を映画化したものは通常小説を読んでから映画を見に行くのだが、今回は逆になった。原作は文庫本2冊になる長編のため映画も174分と3時間近い大作である。過去の経験からいきなり見に行ってもストーリーを把握するのが困難と思い、ネットで調べて簡単なあらすじを理解して見に行ったが、ダメだった。特に前半が退屈で、いろんな人が出てくるものだからつい眠気が差し、自分のいびきで目を覚ます始末。後半から展開が面白くなってきたので頑張って最後まで見た。

長編小説を読む場合でも長時間の映画を見る場合でも、登場人物が多いときは自分で人物関連図をつくって理解するようにしているが今回は時間が無かった。やはり手抜きはダメだ。昨年、TVでトルストイの「戦争と平和」を放映していたので見たが、この映画は以前小説も読んでいたし、その時に作った人物関連図もあったし、ネットで事前にあらすじを再確認していたので問題なく見れたが、今回は失敗であった。

この映画の主な登場人物は次の通り(伯爵夫人役のマリア・カザレスのウエストが細すぎる、有り得ん、と思った。アヒルの首のようだ)。

  • 主人公の青年:ファブリス⇒ジェラール・フィリップが演ず
  • 刑務所長(将軍):コンティ
  • 刑務所長の娘:クレリア
  • 看守:グリロ
  • ファブリスの叔母:サンセヴェリナ侯爵夫人
  • パルマ公エルネスト四世(公爵夫人を愛する)
  • 警視総監(公爵夫人の愛人):ラッシ
  • 総理大臣:モスカ伯爵
  • クレリアの婚約者:クレシェンツィ侯爵

これらの人が複雑に絡み合い物語が進んで行く。学生生活を終えた主人公がパルマに帰郷、恋人の元カレを殺してしまい刑務所に、婚約者がいる刑務所長の娘と恋に落ちる、警視総監の愛人で叔母の伯爵夫人が脱獄を助ける、刑務所長は解雇、娘は婚約者と結婚せざるを得なくなる。パルマに戻った主人公は惚れた娘の幸せを願い自ら身を引く・・・、というのがストーリー。ハッピーエンドでないところがヨーロッパ映画らしい。また、刑務所長の娘と囚人が恋に落ち「許されない愛、親と恋人の板挟みで煩悶する」というのも良くあるパターンだ。対立する家同市の娘と息子が恋に落ちる(ロミオとジュリエット)、支配国家と被支配国家の娘と息子が恋に落ちる(アイーダ)などいくらでも悲恋のストーリーができた。

さて、映画を見ているのは20名程度だったが大部分がシニアの女性で、しかもお一人様だったのには驚いた。意識高い系のシニア女性が多いことを観劇等に行くといつも感じるのである。亭主はゴルフにでも行っているのか。恋愛ものだったのでどうしても女性が多いのかもしれない。