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気ままに生活してるシニアの残日録

千葉市緑区の「ホキ美術館」に行く

2023年08月07日 | 美術

九十九里浜1泊旅行の初日、ゴルフの後、まだホテルに行くには時間が早かったので、千葉市緑区の土気(とけ)駅近くにある、ホキ美術館に行ってみた。過去に2、3回来たことがある。ホキ美術館は2010年11月3日に開館し、そのコレクションは、故保木将夫氏が収集した写実絵画作品約500点から成っている。

保木将夫氏は医療器具の製造・販売会社である東証プライム市場に上場しているホギメディカルの創業者だ。美術館は2019年の豪雨の時、浸水等の大きな被害を受けたが、関係者の努力により再開にこぎ着けた。


(駐車場から見た景色、四角い箱の右側を行くと入口がある)

この美術館には大きな特徴が2つある。

  • ホキ美術館は、日本初の写実絵画専門美術館だ、写実絵画とは画家が見たままに、そしてその存在を描いた作品。1年に数点しか描くことができないほど、画家が時間をかけて1枚の絵と向き合い、こつこつと緻密につくりあげた作品だ。見ていると写真と言われればそうか、と思うほどの精巧な作品だ。
  • 美術館の建物はこのコレクションのために設計されたもので、その建物自体が一つの美術作品と言える。地上1階、地下2階の三層の長い回廊を重ねたギャラリーで、一部空中に浮いている部分もある大変ユニークな形をしている。内部はピクチャーレールのない展示室、天井に埋め込まれたLEDとハロゲンの照明、床には長時間の鑑賞に疲れないゴム素材を採用するなど、絵画鑑賞に最高の設備を備えた最新鋭の美術館だ。


(入口に向かう通路)

館内を歩いてみると、細長い回廊のような空間の両脇に作品が展示してある。一方通行で回廊の奥の先端まで行くと階下に降りて次の回廊がまた出てきて、そこに作品がある。一番上のフロアーの回廊には外光が入るようになっている。それ以外のフロアーにも一部外光が入るところがあり、うまく考えられている。


(入口と反対側の景色、回廊部分が空中に突き出ている)

鑑賞の感想を若干述べよう

  • 館内は写真撮影禁止だ。これは残念なことだ。再考してもらいたい。そうすればもっと来場者が増えるだろうし、写実絵画の普及にも貢献すると思う。
  • 写実絵画の現代的な意味について、写真がなかった時代には写実と言うことが大きな意味を持ったであろうが、写真がこれだけ普及した現代で写実絵画と写真とは何が違うのか。
  • それをネットで調べると、写実絵画は今もあるが、 多くは架空の生物や場所、 理想の美女や全てにピントがあった昆虫など 「写真では絶対に撮れないもの」を描く、とか
  • 「写真のような絵」は大抵の場合、写真を見ながら写真をトレースして描いている。しかし写真はカメラが単眼のため、奥行を表現するのが不得意だが、人間は両方の目で見て立体感や距離感を感じているわけだから、写真を見て写真以上に写実的に表現できる能力があるので写真を超える作品になる、など
  • 絵画の専門家でもないので、答えはわからないが、まだストンと腹落ちするところまではいっていない

ゴルフの後なので、そんなに長い時間じっくりと観ることはできなかったが、いつ来ても素晴らしい建物、設備、作品に触れ、充実した時間を過ごせた。

お疲れ様でした。