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読響「荒井里桜 チャイコフスキー バイオリン協奏曲」を聴く

2023年08月09日 | クラシック音楽

テレビで読響の演奏会の様子を放映していたので録画して観た。観たのはチャイコフスキーのバイオリン協奏曲で、バイオリンのソリストは荒井里桜、指揮は横山奏。

荒井里桜は24才、19才の時、藝大在学中に第87回日本音楽コンクールのバイオリン部門で1位になった。それ以外にも、在学中・卒業後にいろんな賞を獲得している。藝大を首席で卒業したあと、ローザンヌ高等音楽院に留学・卒業し、現在はジャニーヌ・ヤンセンに師事、バイオリンは5才の時に両親に勧められてなんとなく始めたと、いまはスイスで勉強しているが、美しい山と景色に魅了されているとのこと。ヤンセンはやさしく、チャーミングな人と言っている。自分の声をそのまま音色にしているところを学んで、大事にして行きたいとのこと。優秀な若手バイオリニストであるが知らなかった。本当に日本人の若手は頼もしい。

この曲は作曲当時著名なバイオリニスト、レオポルト・アウアーに初演を依頼したところ、演奏不可能と拒絶された曲だ。宇野功芳氏によれば、初演時に高名な批判家ハンスリックは「悪臭を放つ音楽」と酷評した、ロシアの家畜小屋のわらの匂いがするというわけである、保守的で気品が高いウィーンの聴衆にも同じような印象を与えたはずた、とした上で、確かに上品さや高貴さには欠けるが、ロシアの雪景色が眼前に彷彿とするような第二楽章や、両端楽章もドイツ音楽には見られぬものだ、と述べている。

今日の荒井里桜は一生懸命演奏していたが、楽しんでいるようにも見えたのは既にかなりの場数を踏んでいるからだろうか。若い人には華がある。今後更にいろんな経験や苦労を重ねて、華やかさだけでなく陰も出せる演奏家になってほしい。