ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

荻窪「邪宗門」に行く

2023年08月25日 | カフェ・喫茶店

邪宗門という名前の喫茶店が国立にあるのを知っていた、が、行こうとしたら閉店していた。荻窪にたまに行くとき、ぶらぶら散策していると「邪宗門」という袖看板とスタンドが立っている店に遭遇した。よく見ると喫茶店であったので、いつか入ろうと思っていた。

今回は時間があったので、ミニヨンに寄った後、喫茶店のハシゴをして邪宗門にも寄ってみた。

邪宗門をネットで調べてみると、邪宗門という名前の喫茶店が数店あるようで、国立邪宗門は閉店したが他の邪宗門は健在だと言うことが分かった。同じ系列なら雰囲気も同じだろうと思って、今回、荻窪邪宗門を訪問してみた。

ホームページを読むと、ここは40年の歴史があるという。うっかりすると通り過ぎてしまうような荻窪駅北口の狭い商店街にある。ドアを開けると年配のマダムが笑顔で迎えてくれる。そこで注文をして、座席は2階です、とのこと。以前は1階もあったがマスターの書斎になって現在は2階のみの営業。1階にはカウンターと厨房がある。厨房には若い男性がいる。

2階に上がる階段は急で、ゆっくり上がると、2階はそれほど広くなく、4人掛けの座席が2つと2人がけの座席が2つくらいしかない。席が空いていた良かった、その空いていた2人がけの座席に座り、くつろぐ。客は若い人ばかりに見えた。最近はこういうレトロな喫茶店が若い人に流行っているのか。

私の座席の前には大きなスピーカーがあったが、音楽は控えめな音で流れていた。昔はミニヨンのような名曲喫茶だったのかもしれない。壁にはいろんな落書きがしてあり歴史を感じた。

コーヒーの味は酸味のあるもので500円だった。座席が狭かったので30分くらいくつろいで失礼した。

ご馳走様でした。


映画「紙の月」を観る

2023年08月25日 | 映画

テレビで放送していた映画「紙の月」(2014、𠮷田大八監督)を観た。何かの賞をいっぱい受賞した、という説明に惹かれて録画しておいたもの。

この映画は角田光代の同名小説を映画化したもの。映画化の前にはNHKでドラマにもなったらしい。角田光代の小説は読んだことがないが、彼女の書いた小説を映画化した「八日目の蝉」はむかし観た記憶がある。

ストーリーは、1994年、バブルが崩壊しつつあるころ、夫とふたり暮らしの主婦梅澤梨花(宮澤りえ)は銀行の支店で定期預金の営業をしていた。顧客から預かった金を銀行に入金するまで自分で保有しているが、ふとしたきっかけで流用できることを知ってしまう。一度目は小さい金額だったのですぐに補填したが、あるとき、高齢な顧客から預かった200万円を着服して、その顧客の孫の大学生と遊んで派手に使ってしまう。やがて火遊びと銀行の金の横領はエスカレートしていき、最後は・・・

ありがちな話であろうが、金がほしくなる動機が今ひとつピンとこなかった。金に困っていたわけでもない、何かほしいものがあったわけでもない、何も動機がない主婦がこんなことをするだろうか。顧客の孫の大学生と遊びたかったというのが直接の動機で、そう考えたのは亭主に満足していなかったから、というのが本当の動機かもしれない。そして最後には支店で取調中の会議室の大きなガラス窓を椅子でぶち破って逃走し、アジアのどこかの街でさまよう、普通の人にはあまりにも縁のない話ではある。

宮澤りえは良い演技をしていたと思うが、それ以外で素晴らしいと思ったのは、営業先の年寄り役の石橋蓮司、支店の事務責任者役の近藤芳正、そして支店のオールドミスの小林聡美だ。いかにもいそうなタイプの人間をうまく演じている。近藤芳正はテレビの「おやじ京都呑み」で角野卓造と二人で京都の飲み屋などを訪問する番組に出演しているので注目していたが、どういう俳優かは知らなかった。一方、小林聡美は「かもめ食堂」シリーズのあの雰囲気が好きだった。このベテランたちの演技力はたいしたものだ。

役者の演技力もあってまあまあ楽しめた映画だったが、普通の人にはあまり現実味がない。主役の美人行員の宮澤りえとオールドミスの小林聡美とが役割を交替して、支店の実務を知り尽くしているオールドミスが大金を横領して若い顧客の孫に貢ぎ、美人行員の指摘で発覚する、というのがまだ現実的だが、これではドラマにならないか。

 


荻窪「名曲喫茶ミニヨン」に行く

2023年08月24日 | カフェ・喫茶店

荻窪の「名曲喫茶ミニヨン」を訪問した。今年3回目か。大好きな名曲喫茶の一つである。入店したときは4組くらいの先客があった。窓側の席に腰かけ、アイスコーヒーと本日のケーキを注文、900円。

午後の日差しが窓から入ってくる良い雰囲気、2つの大きなスピーカーから流れてくるクラシック音楽を聴きながら小声で話している人たちもいる。ここは特に会話禁止ということはない、そういう意味では普通の喫茶店だが、音楽をじっくり聴く人に配慮してみんな小声で話している。

かかっている曲のLPアルバムがカウンターの入口近くに出してあるので、曲の内容を確認したい人は見に行けば良い。リクエストもできる。スピーカーの音量は比較的大きな方。花も活けてあり、女性店主の店らしいおしゃれな感じがある。

1時間ちょっと滞在してゆっくりくつろいだ。ワルター指揮のベートーベンの「田園」がかかっていて、最初から最後までじっくり聞けたのは良かった。客が結構入ってきた。年配の人もいるが、若いカップルもいた。

この店は喫茶の他に定期的に音楽コンサートも開催しているようだ、また、店の奥にギャラリーに絵画が展示してある。誰でも入れるようなので、今日、許可を得て初めて入ってみた。喫茶店の中の内ドアを開けて奥の部屋に入ると絵画が10点以上展示してあった。

ゆっくり寛げました。

ご馳走様です。また来ます。


松屋で「富士山豆腐の本格麻婆定食」を食べる

2023年08月23日 | グルメ

ランチに松屋で「富士山豆腐の本格麻婆定食」590円を食べた。今は期間限定メニューというのがほとんどなく、通常の定食メニューの中から麻婆豆腐を選んだ。麻婆豆腐は最近食べたばかりだったが、なぜかハンバーグなどのには食指が動かず、また、麻婆豆腐を選んでしまった。

この麻婆豆腐定食は初めてだが、出たきたものをみると、麻婆豆腐・ご飯・味噌汁・野菜、がセットになっている。食べた感想を述べると、

  • 麻婆豆腐には花椒もちゃんと入っており、辛さと痺れのバランスは良く、美味しかった。ただ、豆腐が一丁崩さないまま盛り付けてあるのはどうかな、と思った。見た目はインパクトあるが、やはり麻婆豆腐と言ったら豆腐は小さく四角に切って麻婆と混ざっていてこそだと思う。中華料理店に行って注文してもほぼ例外なしにそうなっている。
  • カレーの時も感じたが、辛い料理と味噌汁は合わないと思う。麻婆豆腐の場合だったら中華スープを付けてほしい。今日は先に味噌汁を飲みながら野菜を食べて、その後に麻婆豆腐をご飯にかけて食べた。

これで590円はやはり安いであろう。コスパ最高である。

ご馳走様でした。

 

 

加藤陽子「それでも、日本人は戦争を選んだ」を読む(その2)

2023年08月22日 | 読書

(承前)

本書は、2007年の年末から翌年の正月にかけて、神奈川県の私立栄光学園高等学校(男子校)の生徒に5日間にわたって加藤教授が日本の近現代史を講義したものである。

本書を読んで参考になった所や教えられたことが少なくなかった、その一部を述べてみよう。

  • 満州事変前後に、満州事変と東大生の感覚、ということが書いてある。満州事変の2ヶ月前に東大生に「満蒙の武力行使は正当なりや」を問うと何と88%が「然り」と答えた、また、事変後のアンケートでは「満蒙を日本の生命線とみなすか」と「満蒙問題は軍事行動をもって解決すべきか」と聞いているが、854名の学生の9割が「はい」と答えている、と紹介している。
  • そして、少なくとも国家がやる行為について批判精神があると思われる集団の中でさえ、ちょっとでも針で突けば暴発する空気はあったとしている。これに関する加藤教授の考えがハッキリ書いていないのが残念だ。

  • 本書で引用されている文献には自分が今まで知らなかったり関心を持たなかったものも少なくない。例えば、陸奥宗光の「蹇蹇録(けんけんろく)」は読んだことがなかった。早速購入して引用箇所を確認してみた。時間を見つけて全部読了してみたい。
  • 「満蒙は日本の生命線だ」と軍部が国民に訴えていたが、加藤教授は本当の意図は違うと指摘している。石原莞爾が木曜会の1928年1月の会合で「我が国防方針」を説明し、対露戦争のためには全シナを根拠として遺憾なくこれを利用すれば20年でも30年でも戦争継続できる、と述べていることを紹介している。対露戦や米国との持久戦争のため満蒙の資源を利用するというのが真の目的だと主張されている。満州事変や石原莞爾については今後更に勉強して、知識を深めて行きたい。
  • 盧溝橋事件について、その前年、1936年6月に日本側だけがこれまで1771人だった兵士の数を中国側と事前協議せずに5774人の増派してしまった、その場所も事件にかかる豊台の兵営で、そこで演習をしていた、この影響が大きいとしている。これでは事件が起こらない方が不思議とさえ書いている。これは知らなかったが、事件の1年前の話だから事件にどれだけの影響を与えたかはわからないが、今後勉強して確認してみたい。

(その3)に続く


ゴルフ帰りに益子町「ひまわり祭り」と「道の駅ましこ」に寄る

2023年08月21日 | 街歩き

益子に来てゴルフをした帰りに、近くの「ひまわり祭り」(8月11日から20日)に行ってみた。

このひまわり祭りは益子駅から車で10分弱の畑の中に会場があり、そこから歩いて10分のところに道の駅ましこがある。会場には200台分の臨時駐車場があり、今日は平日の3時ころだったがすぐに駐車できた。ただ、雨が降って下がぬかるんでくると閉鎖され、道の駅から歩くことになる。

入場料は無し、ひまわりの切り取り、持ち帰りができる、その場合、協力金一人100円が必要で、かつ、切り取りは一人5株まで。切り取ったひまわりは束にして新聞で茎の部分を包んでくれて、水に浸し、これをビニール袋てくるんでくれる丁寧なサービス付きだ。今日は二人分10株を切り取って200円払った。

このひまわり園にはひまわりが約100万本咲いているそうだ。ここのひまわりは高さが1メートルくらいの低いものだったが普通こんなものなのか? 畑の中なので運動靴や日差しよけの傘や帽子が必要。私たちが行ったとき、ひまわりはほとんど太陽と反対側に向いて、かつ、下の方を向いていた、これはなぜだか分からない、普通、太陽の方を向いていると思うのだが・・・。家に帰ってから調べてみると、開花後は下を向くようだ、それは種の重さによる、また、雨から種を守る、鳥などに種を食べられないようにするためなどの理由のようだ、知らなかった。

また、ひまわりは成長期には太陽の方に向くが、開花すると太陽を追いかけなくなり、太陽が上がってくる東の方を向いて固定される、これも知らなかった。さらに、調べていくと、ひまわりの花言葉は12あると言う、最も情熱的なのは「あたなを見ています」というものだ。

さて、ひまわり祭りを見た後、近くにある道の駅ましこに立ち寄った。この道の駅は、2016年10月オープンした栃木県24カ所目の道の駅だ。地元の野菜や果物などが売っていたので買って帰った。

今日は天気が不安定で急な雨もあるとの予報だったが、全然降られないでラッキーだった。熱中症にもならずにいろんなところに寄って、無事帰宅した。

無事、帰宅し、切り取ったひまわりを花瓶がわりのコップに入れて食卓を飾った。

お疲れ様でした。


「ましこゴルフ倶楽部」でゴルフをする

2023年08月21日 | ゴルフ

栃木県益子町の「ましこゴルフ倶楽部」でゴルフをした。何回か来ているゴルフ場だが、数年ぶりの訪問である。間が空いたのは、ここはリモコンカートでもなく、カートのフェアウェイ乗り入れを認めてないからだ。ただ、カートにはナビがついているのは素晴らしい。今日は、ゴルフの後、益子町のひまわり祭りを見たいと思い、近くのここを予約した。費用は2人で13,000円、安い。


(正面に見える山は芳賀富士、アウトの9番ホール)

けっこう混んでいた、猛暑なのにゴルフ好きは関係ない、という人が多いのだろう、私もそうだ。また、夏休みの人もいるだろう、せっかく休みに予定して楽しみにしていたのだから、止めるわけにもいかないのだろう。現役世代は若いけど仕事でストレスがたまってたり、接待や飲み会で不摂生をしているので猛暑を甘く見ないでほしい。前日は酒を飲まず、早く寝て、氷嚢など暑さ対策を万全にしてほしい。

このコースのコースレイアウトは非常に気に入っている、プロゴルファーの芹澤信雄が設計に関与しているので結構面白い。ワングリーンなのも良い。ただ、グリーンは猛暑にやられて茶色にはげているところがいくつかあった。インの2番ショートホールのグリーンは全部はげていた。ただ、フェアウェイは良く整備されていると思った。また、今日はラフが伸びていたため、コースを難しくしていた。ボールがラフに入ると探すのにひと苦労だった。

プレーの進行は、必ずしもスムーズではなかったが、許容範囲であろう。毎ホール少し待たされたが、何とかハーフ2時間20分くらいで回れた。混んでいるし、4サム、3サムと2サムが混在しているので仕方ないだろう。

昼休みも50分程度で適切である。ロッカー室も広かったが、風呂の脱衣所がイマイチ狭い感じがした。脱衣所のレイアウトがうまくないためだ。レストランは普通、食事もまあまあだった。まあ、2人で食事付きで13,000円なのであまり文句を言ってはいけないだろう。

無事にラウンド終了し、楽しめました。


加藤陽子「それでも、日本人は戦争を選んだ」を読む(その1)

2023年08月20日 | 読書

今年も8月15日を迎えた。江戸末期から昭和の敗戦にいたる日本の歴史は若いころから興味があり、時間を見つけては勉強してきた。今回は東京大学の加藤陽子教授の著書を読んで見ようと思った。今まで加藤教授の本は読んだことがなかったが、本屋の歴史書のコーナーには加藤教授の本が目立つので一度読んでみたいと思っていた。今回はAmazonを見て一番レビューコメントが多かった本書(朝日出版、2009年)をKindleで購入した。

本書を読み終わってからウィキで調べたのだが、加藤教授は1960年生まれ、日本の歴史学者、専門は近現代史、歴史学研究会委員長、東京大学教授、主な作品には本書が掲げられていた。

歴史学研究会をホームページで調べると、委員会活動の基本方針の第1項には「学問研究の自由と独立を擁護する歴史学研究会創立以来の活動を受けとめ、歴史学分野の自由な雰囲気をさらに広める」とある。また、第2項には「日本の侵略と植民地支配に対する国民の歴史認識を歪めようとする動きに反対する。象徴天皇制やそのあり方の問いなおしを利用した、社会の権威主義的統合および国家主義的傾向を容認しない。」とある。

この第2項は第1項と矛盾してないか。学問研究の自由を擁護する、歴史学分野の自由な雰囲気をさらに広めると言いながら、この委員会の歴史認識と異なる学問研究は認めない。学問の自由が無いように見える。

更に、改憲、アジア太平洋諸国に対する戦争責任、「日の丸」「君が代」の強制、メディア規制など、民主主義に関わる諸問題に対しなどに、積極的な行動をとる(⇒改憲に積極的に行動をとるとはどういう意味か?)、不当な教科書攻撃に反対し、新しい歴史教科書をつくる会などによる歴史認識を歪めようとする活動を批判し、あるべき教科書制度について議論する、行政機関が所蔵する公文書の公開の問題に、歴史学の立場から取り組むとともに、「特定秘密の保護に関する法律」の撤廃をめざすという条項もある。

このように見てくると、この研究会はイデオロギー色が強い研究会だと言える。学術団体が政治的な動きなどするのは如何なものか。

また、研究会のホームページで委員長や委員の氏名・肩書きなどの情報は見つけられなかった。このような情報公開の姿勢は如何なものか。加藤教授はこの研究会の委員長なのか確認のしようがない。研究会のホームページには学術会議に関する声明などがあるが、代表者の名前くらい出すのが普通ではないか。

(その2)に続く


映画「ふたりのマエストロ」を観る

2023年08月19日 | 映画

シネリーブル池袋で「ふたりのマエストロ」(2022、仏、監督ブリュノ・シッシュ、原題La Scala)を観た。原題はLa Scalaとしているが映画ではMaestro(s)と出ていた。クラシック音楽が題材と言うことで観なくてはと思った。シニア料金1,300円、小さい劇場だったが半分近く入っていたか、若い女性が結構入っていたのには驚いた、音楽関係の人か。

ストーリーは、今はときめく話題の指揮者ドニ・デュマール(イヴァン・アタル)、有名な賞を受賞して人気があるが、父のフランソワ・デュマール(ピエール・アルディティ)は大ベテランの指揮者、ただ全盛期は過ぎている。親子は日頃からうまくいっていない。ある日、父の携帯にミラノスカラ座から次期の音楽監督就任依頼の電話がある。ところがこれがスカラ座の担当者のミスで本来は息子のドニへの就任依頼だったことから難しいことになっていく・・・・

この映画は、2011年のイスラエル映画「フットノート」のリメイクとのこと。フットノートではユダヤ教の聖典タルムードを専門とするライバル研究者の父と息子という設定だった。ストーリー設定としてはなかなか面白い着眼だと思った。

観た感想をいくつか述べよう

  • フランス映画はパリが舞台になる映画が多いが、この映画もそうだ、パリの街や家の中の様子が多く映っているところが好きだ。パリには1回だけしか行ったことがないが好きな街なので、年に1回は行ってみたいというのが私の願望だ。ただ、最近は物騒な騒動があるから難しくなったかもしれないが。
  • 父が本当のことを妻から言われてショックを受け、パリの街をさまよった末、息子の家に行く、そこで酒を飲みながら初めて父子で本音で話をすると、父の口から衝撃の事実が・・・、と言う公式サイトの説明だが、映画を観ていてちっとも衝撃など感じなかった、何なの?という感じだ。実の親子ではなかったのか、父の愛人の子だったのかハッキリ覚えてないが、観てる観客が驚くような話ではないと思った。
  • これも公式サイトによると、「最悪の不協和音は、やがて圧巻のフィナーレへ」と言うことだが、映画の最後の場面を観ると、私には「何だこれ?」と言う感じだった。どうしてこれが圧巻のフィナーレなのか、こんなのあり得ないだろう、と感じた。
  • そこで更に考えると、結末はハッピーエンドな感じだが、はたして監督や脚本家はそう観てほしいと思って制作したのか。結末部分からエンドロールが流れる時にシューベルトのセレナーデが静かにかかっていた。セレナーデは、恋人の家の窓の下で演奏する音楽で、シューベルトが詩人レルシュタープによる詩に音楽をつけたもの。詩の内容は恋する人への想いをせつせつと歌い上げるもの、これとこの映画の父子の関係とに何か暗喩があるのか。
  • このセレナーデを含む「白鳥の歌」は未完に終わったが第7曲まであり、さらに第8曲から第13曲まではハイネの詩に音楽をつける予定だった。これらの詩を全部読めば監督や脚本家が暗示していることも分かるかもしれないが、セレナーデのもの悲しいメロディーはハッピーエンドではないよ、と言っているようにも思う。シューベルトは「冬の旅」などで恋に破れる若者の詩に作曲している。なんとなく和解したように見えるが、結局はこの先、破局を迎えることを暗示しているのではないか、だとしたら、この単純でないところがフランス映画らしいと言えよう。
  • ミラノスカラ座の芸術監督というポジションはフランス人指揮者が喉から手が出るほどほしいものとして描かれているが、はたして本当にそう感じているのか。フランス人の気質からすると、表面上は「何だ、そんなもん、何がスカラ座だ」となるのではないか。確かにクラシック音楽はオペラにはじまり、それはイタリアで始まって全盛を迎え、フランスやドイツに普及していった歴史がある。しかし、そうだとしてもフランス人というのはスカラ座なんかよりパリオペラ座が最高のものと思っているのではないか。たとえ心の中ではスカラ座にも憧れていても、そうとは簡単に言わないひねくれたところがあるような気がするけど。

クラシック音楽ファンであれば観て良い映画だと思う。


四谷のジャズ喫茶「いーぐる」に行く

2023年08月18日 | カフェ・喫茶店

四谷のジャズ喫茶「いーぐる」に久しぶりに行ってみた。何回か来たことがある喫茶店だ。四谷の駅から歩いてすぐ、看板を見て地下への階段を降りると、そこは別世界だ。

店内に入ると、空いている席があるので、そこへどうぞ、と案内された。2人がけのテーブル席に腰かける。2人がけだけどテーブルは大きく、スペースも十分な余裕がある。テーブルは木目調の上品な感じ。店内には観葉植物や自転車の模型や絵画などが飾られており、落ち着いた雰囲気。

一番奥には大きなスピーカーが2つあり、比較的大きな音でジャズのナンバーを流している。入り口を入って直ぐの左側にカウンターと厨房があり、その続きでオーディオルームがある。LPのターンテーブルが見えるが、今日私が滞在したときはすべてCDを使っていた。かけている曲のCDがオーディオルームの外の壁に出してあるので確認できる。

アイスコーヒーとチーズケーキのセット880円を注文した。コーヒーもケーキも美味しかった。客はみんなおとなしくジャズの曲に身をまかせている感じであった。次々とと新たな客が入ってくる、カップルだったり男や女一人だったり。比較的若い人が多かったのが印象的だ。有名店なので一回行ってみようか、という感じの若者もいた。

久しぶりに訪問したが、良い雰囲気の店だ。私が今まで訪れたジャズ喫茶の中でもトップクラスのハイ・クオリティーの店だ。清潔感もあり、それなりの雰囲気もあり、落ち着いた感じがして、最高の場所と言えよう。調度品なども店主の趣味の良さがうかがえる店だ。会話はまわりのお客さんに留意してください、との注意書きがあるが、みんな静かにジャズを楽しんでいた。

1時間ちょっと滞在してくつろいだが、何時間でも居れる雰囲気がある。いつまでも残ってほしい店だ。

ご馳走様でした。また来ます。