猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

美しき運命の傷痕

2016-01-30 03:32:50 | 日記
2005年のフランス・イタリア・ベルギー・日本合作映画「美しき運命の傷痕」。
夫の浮気に悩む長女ソフィ(エマニュエル・ベアール)。体が不自由で施設に
いる母親(キャロル・ブーケ)の面倒をみて、孤独な日々を送る次女セリーヌ
(カリン・ヴィアール)。年の離れた大学教授フレデリック(ジャック・ぺラン)
と不倫関係にある3女アンヌ(マリー・ジラン)。彼女たちは、22年前に起きた
悲劇によって父親を失った。そしてその悲劇は、彼女たちの人生に強い影響
を及ぼしていた。

ポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキの遺稿を映画化したものだ。
とても重い映画である。3姉妹の物語なのだが、彼女たちはそれぞれ問題を
抱えている。長女は夫の浮気に気づいていて、どうすればいいか悩み、次
女は男性不信のようなタイプで、友達もおらず、施設にいる母親の面倒を
みるだけの孤独な生活を送り、3女は妻子ある中年男性と不倫をしている
が、不倫相手から終わりにしようと言われて悩んでいる。母親役のキャロル・
ブーケの演技が圧巻。さすが大女優。この母親は口がきけず筆談をしてい
るのだが、いつも仏頂面でワガママで、次女を困らせる。その光景を見てい
ると、私だったらあんな母親の世話はできないなあ、と思う。絶対無理。会い
たくない。
3姉妹の母親は22年前に悲劇的な死に方をしていて、娘たちは未だその
トラウマから抜け出せない。この物語の中で1番かわいそうなのは父親かも
しれない。ラストで父親の死の真実がわかるのだが、それを知った母親の
返事(筆談の)は、フランス映画だなあ~、と思わせられる。アメリカ映画
ではこのラストは有り得ない。私は好きだけど。ラストシーンは強烈に心に
残った。エマニュエル・ベアールも相変わらず美しい。
この映画、原題は「地獄」である。ちっとも美しい運命じゃないのに、変な
邦題をつけるものだ。



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アイム・ノット・ゼア

2016-01-25 03:45:37 | 日記
2007年のアメリカ映画「アイム・ノット・ゼア」。
アルチュール(ベン・ウィショー)は、プロテスト・ソングを書くのをやめた理由を
背広姿の男たちに詰問される。彼はアメリカを放浪しながらソングライティングの
技術を学んだウディ(マーカス・カール・フランクリン)や、社会派フォーク歌手の
ジャック(クリスチャン・ベール)らについて語り始める。やがて彼らの物語は1つ
に結びついていく。

歌手ボブ・ディランの半生と、6人の俳優たち(クリスチャン・ベール、ケイト・ブラ
ンシェット、リチャード・ギア、ヒース・レジャー、ベン・ウィショー、マーカス・カール
・フランクリン)がそれぞれ異なるイメージのボブ・ディランを演じる。
うーん、さっぱりわからなかった(*_*)久し振りにわからない映画を観た。それも
アメリカ映画なのに。困った。理解できなかったので感想が特にない。キャストは
豪華だし、演技も良かったと思う。でもストーリーがわからない。ヒース・レジャー
の家庭の話は何なの?リチャード・ギアの話は何なの?さっぱりわからな~い!
ボブ・ディランという人がますますわからなくなる。
ケイト・ブランシェットの演技は鬼気迫るものがあった。女性なのに見事に男性
を演じている。さすがとしか言いようがない。それとリチャード・ギアがかっこよ
かった。シャルロット・ゲンズブールもかわいかった。感想はそれくらい。
あとベン・ウィショーがゲイだと知った。グザヴィエ・ドランもだけど、美形の人に
ゲイって多い気がする。もったいない。



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戦場のメリークリスマス

2016-01-23 03:15:56 | 日記
1983年の日本・英国・オーストラリア・ニュージーランド合作「戦場のメリー
クリスマス」。
1942年、日本統治下にあるジャワ島レバクセンバタの日本軍俘虜収容所で、
朝鮮人軍属カネモト(ジョニー大倉)がオランダの男性兵デ・ヨンを犯す。日
本語を解する俘虜の英国陸軍中佐ジョン・ロレンス(トム・コンティ)は、共に
事件処理にあたった粗暴な軍曹ハラ(ビートたけし)と奇妙な友情で結ばれ
ていく。一方、ハラの上司で所長の陸軍大尉ヨノイ(坂本龍一)は、日本軍の
背後に空挺降下し、輸送隊を襲撃した末に俘虜となった陸軍少佐ジャック・
セリアズ(デヴィッド・ボウイ)を預かることになり、その反抗的な態度に悩ま
されながらも彼に魅せられていく。

昔観たことがあるが、だいぶ忘れていて、改めて感動的な映画だと思った。
私は大島渚監督の映画はこれしか観たことがないのだが、凄い映画を作っ
たんだなあ、と思った。戦時下の極限状態の中での人間の尊厳。「戦場に
かける橋」にも通じるものがある。豪華なキャストにも惹かれるが、彼らの
演技がまたいい。ビートたけしや坂本龍一は多分うまくないんだろうけど、
見入ってしまうのは大島監督の演出の素晴らしさなのか。
戦争で捕虜を取ったのは日本軍だけではない。どこの国でもやったことだ。
当時は当たり前のことだったんだろうけど、捕虜収容所なんて考えただけで
私は恐ろしい。セリアズ少佐の存在感が凄い。彼の学生時代の回想シーン
で、弟の話が出てくるが、あれは本当に悲しい。二度と歌を歌わなくなった
弟のことを、セリアズ少佐はずっと忘れなかっただろう。
ラストシーンがとてもいい。ラストは強烈に記憶に残っていた。この映画を
観た人は、皆ラストは忘れられないのではないだろうか。ラストシーンから
エンディングの曲に続くシーンは、悲しくも感動的だ。
この映画、カンヌ国際映画祭でグランプリ有力視されていたが、受賞でき
なかったとのこと。受賞して欲しかったなあ。デヴィッド・ボウイも亡くなった。
この映画を観て改めて彼の美しさを思った。

しばらく前にこの映画のDVDをレンタルしたが、数日後NHKのBSで放送
された( ̄▽ ̄)



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ピンクとグレー

2016-01-20 14:42:21 | 日記
日本映画「ピンクとグレー」を観にいった。
大人気スター俳優・白木蓮吾(中島裕翔)が突然自殺する。第一発見者と
なったのは、子供の頃からの親友で売れない俳優の河田大貴(菅田将暉)
だった。大貴は動揺しながら、数通の遺書を手にする。大貴は遺書に導か
れ、蓮吾の短い人生を綴った伝記を発表する。すると一躍時の人となり、
憧れていたスターの地位を手に入れる。しかし、蓮吾を失った喪失感にも
がきながら、親友の死によって得た偽りの名声に苦しむ大貴は、次第に
自分を見失っていく。

NEWSの加藤シゲアキの小説の映画化。ジャニーズにも小説書ける人が
いるんだなあ…なんて言ったら偏見か。小学生の頃からの親友である男子
2人プラス女子・サリー(夏帆)の長い付き合いが描かれる。高校生の頃、
微妙な関係だった3人だが、サリーは大貴を選ぶ。大人になって同棲する
2人だが、蓮吾のようにスター俳優になかなかなれない大貴の心は焦る。
そんな時に突然訪れる蓮吾の死、ショックを受ける大貴。前半はこんな感
じなのだが、後半で物語は大きく変わる。この瞬間には驚いた。やがて画
面はグレーに変わる。
なかなかおもしろい青春映画だったが、少し詰め込みすぎな感じがした。
わかりづらい点もあったし。蓮吾の姉の死は事故なのだろうか、自殺なの
だろうか。そもそもあのくらいで死なないと思うのだが…。中心となる俳優
の演技は良かった。菅田将暉、中島裕翔、夏帆は熱演だった。悲しい映画
だが、全体としてはおもしろかった。ラストシーンもいい。
映画館で隣の席の人が、友達に「原作と全然違ってた!」と言っていたの
で、小説を読むとまた雰囲気が違うのかもしれない。



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禁じられた歌声

2016-01-16 06:36:35 | 日記
フランス・モーリタニア合作映画「禁じられた歌声」を観にいった。
アフリカ、マリ共和国のある町で、少女トヤは父キダンと母のサティマ、そして
12歳の牛飼いの孤児イサンと、ささやかながらも慈しみ合う幸せな生活を送っ
ていた。そこにはいつも父の奏でる音楽があった。しかし、町はイスラム過激派
のジハーディスト(聖戦戦士)に占拠され、様相を変えてしまう。彼らは音楽、た
ばこ、サッカーや不要な外出など次々に禁止し、毎日のように悲劇と不条理な
懲罰を繰り返していく。

イスラム教圏の映画は初めて観た。静かに人間の尊厳を訴える、いい映画
だったと思うのだが、あまり盛り上がりもなく、少し退屈に感じた。
人々が平和に暮らす砂漠の町に、ある日突然イスラム過激派がやってきて、
皆が普通に行ってきた音楽や歌やサッカーまでもを禁止してしまう。それでも
人々は隠れて音楽を楽しみ、少年たちはボールを使わずにサッカーの試合を
し、静かに抵抗する。このボールを使わないサッカーのシーンは悲しい。何故
音楽やサッカーがいけないのか私にはわからない。そしてキダン一家に訪れ
る更なる不幸。
キダン一家は日中テントの中で音楽を奏で、お茶を飲み、牛の放牧はイサン
に任せ、静かな時間を過ごしていく。食事の場面がなかったが、どんなものを
食べているのだろう、と思った。こういう生活は私には考えられないなあ~。
それに、砂漠で原始的な生活をしているのに、人々が携帯電話を持っている
のに驚いた。どこに携帯電話屋さんがあるの?テレビもないのに、子供でも
携帯電話を扱えるんだ?びっくり。
気のふれた女性が出てくるのだが、異常な行為ばかりしている彼女がさっさ
と殺されなかったのが不思議だ。異常すぎて過激派も取り締まらなかったの
だろうか。町の中で自由に生活していたのは彼女だけである。



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