猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

真夜中の処刑ゲーム

2017-03-31 04:10:03 | 日記
1983年のカナダ映画「真夜中の処刑ゲーム」。
警察がストライキに突入した夜。無法地帯と化した街に、"ニューオーダー"と称する
自警団が出現。彼らは、秩序の回復を掲げてゲイバーを襲撃するが、誤ってバーテン
ダーを殺してしまう。彼らはボスを呼び出し、事態の収拾を相談するが、到着したボ
スはサイレンサーで客と店員を次々と殺し始めた。隙を見て逃げ出したゲイの男はア
パートの1室に助けを求め、そこに集まっていた5人の男女は、アパート内にトラップ
を仕掛け、ニューオーダーと対決を開始する。

カナダのサスペンス映画。日本未公開だが、テレビで放映されたことがあるらしい。
出演者も知らない人ばかり。いかにもB級という感じのチープな作りの映画だが、ま
あまあおもしろかった。自警団と言いながら、実は殺人集団の男たち。彼らに襲われ
たゲイバーの客が、殺される直前になんとか逃げ出し、アパートの1室に助けを求め
る。その部屋にいた男女や、隣人の男性も加わって殺人集団と対決するのである。
ニューオーダーの連中は当然銃を持っているが、アパートの住人たちは武器らしい武
器を持たない。そこで、アパート中にいろんな罠を仕掛ける。ニューオーダー、アパ
ートの住人双方に死者が出る。住人たちがとっさに武器を作ったりするのだが、普通
の人がそんな物すぐに作れる?と、無理矢理な展開にはちょっと笑ってしまう。行動
力ありすぎでしょ。まあ住人たちも命がかかっているわけだけど。
1人1人見せ場があって、結構観られる映画だ。オチも「おやっ」という感じ。私は
B級作品にもそれなりにおもしろいものがあると思っているが、この映画もその類だ
と思う。暇な時にチープな映画でも観ようか、と思って観る分にはいいかもしれない。




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誰のせいでもない

2017-03-28 21:16:53 | 日記
ドイツ・カナダ・フランス・スウェーデン・ノルウェー合作映画「誰のせいでもない」
を観にいった。
作家のトマス(ジェームズ・フランコ)はスランプ状態で、恋人サラ(レイチェル・マクア
ダムス)との仲もぎくしゃくしていた。ある雪の日、トマスが車を走らせていると、突然
子供が車の前に現れ、急ブレーキをかけた。車を降りると、車の前で虚ろに座り込んで
いる幼い少年がいた。ケガがないのを確かめてホッとしたトマスは、子供を近くの家ま
で送る。しかし、ドアを開けて出てきた母親ケイト(シャルロット・ゲンズブール)は、子
供に「ニコラスは?」と聞くと、半狂乱になって飛び出していった。

カナダを舞台にしたサスペンスフルな人間ドラマ。雪深い道で起きた交通事故が、1人の
男と3人の女の人生を変えてしまう。淡々と進んでいく地味な映画だが、なかなかおもし
ろかった。作家のトマスはスランプに陥っており、恋人サラは献身的に彼を支えようと
するが、トマスにはかえってそれが重たかった。サラはトマスと結婚して子供を持ちた
いと思っていたのだが、結局トマスはサラと別れてしまう。2年後、作家として成功した
トマスは、あの事故の現場を初めて訪れ、ケイトと再会する。ケイトは「あなたを憎ん
ではいない」と言い、その日から2人の間に不思議なつながりが生まれる。
仕事で成功しても、トマスは事故のことを忘れた日はなかった。サラと別れた後、子持
ちの女性アン(マリ・ジョゼ・クローズ)と交際するようになったトマス。子供もとても
懐いていた。やがて、事故の時車の前で座り込んでいた5歳だったクリストファーは16
歳になり、トマスの元に彼から手紙が届く。「僕を覚えていますか。あなたの小説のフ
ァンです。今度会って欲しい」と。事故の記憶はクリストファーを縛り付け、トマスに
会って話さないといつまでもその苦悩から逃れられないと思ったからだ。1度は断った
トマスだったが、ケイトから怒りの電話がかかってきて、会うことを決意する。
罪の意識と許し。それが繊細に描かれていて、考えさせられた。トマス、ケイト、サラ、
アン役の俳優たちの演技もとても良かった。この物語で悪いのはトマスだけではない。
あえて言うなら運が悪かったのだと思う。いくつもの、何人ものミスが重なり、事故は
起きてしまった。青年になったクリストファーもトマスにとんでもない嫌がらせをして、
お互いに許し合うことになるのだが、トマスはあまり感情を表に出さない人なので、彼
がどんなふうに考えているのか、少しわかりにくい面もあった。
それにしても別れて10年以上が経ち、結婚して子供もいると言うのに、サラがトマスを
未だに恨んでいたというのは意外だった。確かにサラはトマスに傷つけられたが、望み
通り家庭を持てたのだから、もういいじゃないか、と思うのだが。トマスに一生懸命尽
くしてきた分、怒りや憎しみも持続するのだろうか。でもこの2人は一緒にはなれなか
ったのだと思う。それも運命だ。「白い沈黙」の時も思ったが、カナダの雪景色がとて
も美しかった。夏の景色も良かった。




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GF*BF

2017-03-25 23:27:31 | 日記
2012年の台湾映画「GF*BF」。
戒厳令下にあった1985年の台湾。高校生のメイパオ(グイ・ルンメイ)とチョンリャン
(ジョセフ・チャン)は水泳部で、カップルだと思われていた。メイパオを好きなシン
レン(リディアン・ボーン)はそのことをチョンリャンに訊ねてみるが、「付き合って
いない。ただの友達」と言う。そこでシンレンはメイパオに告白し、2人は付き合う
ことになる。それからメイパオ、シンレン、チョンリャンの3人はいつも一緒に行動
し、愛情と友情を深めていく。

台湾お得意の切ない青春映画。1985年から2012年にかけての、27年に亘る男女の
物語である。女子高生メイパオはチョンリャンとカップルだと思われていたが、メイ
パオのことが好きなシンレンはチョンリャンに聞いて確かめる。2人がただの友達だ
と知ったシンレンは、メイパオと付き合い始める。それから3人の楽しい関係は続い
ていく。やがてシンレンとチョンリャンは大学に進学し、メイパオは就職するが、彼
らの愛情と友情は変わらなかった。シンレンとチョンリャンは民主主義を訴える学生
運動に身を投じ、メイパオも時に参加したりした。だが、メイパオとシンレンの間に
亀裂が生じてくる。
1980年代から90年代にかけて、台湾は激動の時代だったようだ。その時代背景を踏
まえて3人の関係を見ていると、とてもおもしろかった。台湾映画や香港映画って本
当にいいなあ。特に高校生たちがいろんな面で日本の高校生みたいで親近感が湧く。
メイパオのキャラクターはあまり好きではなかったが。カラオケの場面はちょっとや
りすぎだ。冒頭の場面は何だったのだろう?と思いながら観ていたが、ラストでつな
がってくる。それがとても感動的で、切なくて、悲しい。メイパオはかわいそうだっ
た。
青春はいつか終わりを告げる。失ったものもある。それでも3人の友情は変わらない。
とにかく3人の演技がいい。繊細な心の機微をよく表現していたと思う。悲しいけれ
ど希望も見えるラストシーンがとても良かった。




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哭声/コクソン

2017-03-22 23:07:50 | 日記
韓国映画「哭声/コクソン」を観にいった。
のどかな田舎の村で、家族を残虐に殺す異常な事件が相次いで起こるようになった。
加害者は一様に正体を失い、目は濁り、皮膚は湿疹でただれている。村の警察官ジョ
ング(クァク・ドウォン)は捜査を始めるが、幻覚性キノコが原因との検査結果が出る。
しかし村人たちは山の中に住み着いた日本人と思われるよそ者(國村隼)が怪しいと噂
するようになった。事件はその男が来てから起こり始めたからだ。最初は噂を一笑に
付していたジョングだったが、事件の謎が深まるにつれ、そのよそ者のことが気にな
り出す。そしてジョングの娘ヒョジンの様子がおかしくなった。何者かに操られてい
るかのように凶暴になったヒョジンを見て、家族は祈祷師のイルグァン(ファン・ジ
ョンミン)を呼ぶ。

韓国のスリラー映画。すごくおもしろかった。私はサイコパスの犯人の連続殺人事件
ものと思って観ていたのだが、物語は違う方向に。でもこれはこれでおもしろかった。
田舎の村で突然起こり始めた残虐な殺人事件。それは山によそ者の男が住み着いてか
ら始まった。その男が犯人ではないかと噂する村人たち。男はふんどし1枚の姿で、
鹿の生肉に食らいつくという異様さ。このよそ者役の國村隼の演技が怖い。韓国で2
つの映画賞を受賞したのもうなずける、鬼気迫る演技。そして祈祷師役には有名俳優
ファン・ジョンミン。この祈祷シーンもすごかったなあ。韓国の祈祷ってあんなふう
にやるのか。悪霊を追い出すための祈祷の間、苦しむ警察官ジョングの娘、ヒョジン。
この子役もとてもうまかった。
それにしても韓国の警察って無能だなあ。私はよく韓国の警察は無能だと書いている
が(韓国の方すみません)、この映画でもそうだ。ジョングがもう1人の警察官と一緒
に山の中の男の家を訪ねるシーンがあるのだが、男は留守で、勝手に家の中に入る。
そして奥の部屋に一連の事件の被害者の写真が大量に壁に貼られているのを発見する。
2人の警察官はパトカーに乗って帰るのだが、もう1人の警察官が「あいつが犯人だ」
とつぶやくのを聞いて、ジョングは「何言ってるんだ?」みたいなことを言うのだ。
あんな写真を見つけて、おかしいと思わないのだろうか。日本の警察ならすぐ動いて
いると思うけど。田舎の警察官だからのんびりしているのか?
ラストの國村隼の乾いたような笑い声と顔が印象に残った。ずっと前から観たかった
映画で、映画館で観た甲斐があった。おどろおどろしい物語で、私は好きなジャンル
だ。満足。




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砂上の法廷

2017-03-18 19:18:24 | 日記
2016年のアメリカ映画「砂上の法廷」。
大物弁護士が自宅で殺害され、17歳の息子マイケル(ガブリエル・バッソ)が容疑者と
して逮捕される。敏腕弁護士のラムゼイ(キアヌ・リーブス)がマイケルの弁護を引き
受けることになったが、彼は完全黙秘を続ける。開廷された裁判では多くの証人がマ
イケルの有罪を裏付ける証言を重ねていく。だが、その証言のわずかな綻びから、ラ
ムゼイは嘘を見破る。そんな矢先、マイケルが沈黙を破って驚くべき告白をする。


法廷ミステリー映画である。キアヌ・リーブス主演で法廷ものと来ればおもしろいだ
ろうと思ったのだが、期待外れだった。まあ途中まではそこそこおもしろかったのだ
が…。弁護士と検事の丁々発止のやり取りを想像していると、肩透かしを食らう。
自宅で刃物で殺害された大物弁護士。家にいたのは息子マイケルと母親(レニー・ゼ
ルウィガー)だけ。マイケルが「僕がやった」と言ったため彼は逮捕される。もちろ
ん刃物には彼の指紋も残っている。しかし彼はそれ以降沈黙を貫き、弁護士ラムゼイ
とも全く話をしようとしない。裁判はマイケル有罪の方向で進んでいく。だが次第に
被害者がとんでもないクズ男だったことがわかってくる。
おもしろくないことはないのだけど、何が真実なんだろう?というハラハラ感もない
し、全体的に平坦な感じ。そして取ってつけたようなどんでん返しのラスト。ハア?
ふーん、それで?と思ってしまった。印象に残ったのは、キアヌは年を取ってもかっ
こいいということと、レニー・ゼルウィガー老けたな、ということだった。




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